見出し画像

セグウェイ事業を畳むことにした「九号机器人有限公司(Ninebot)」が中国初のCDR形式でSTAR MarketにIPO。CDRって何なのか確認したのち、目論見書チェック。Xiaomiへの売上が5割と依存度高し。次に見据えるのはサービスロボット市場

中国のハードウェアメーカー「九号机器人有限公司(Ninebot)」が流行りの中国科創板(STAR Market)に上場します。

画像2

九号有限公司公开发行存托凭证并在科创板上市 招股说明书

セグウェイ登場時には世界中の人々が心を躍らせましたが、いつの間にか中国企業に買収され、生産が終了されることになっていました。それでも上場するということは、何らかの成長事業があることになります。

今回のIPOは中国初のCDR形式ということでも話題になりました。恥ずかしながら預託証券についてよく分かっていなかったので、冒頭で簡単に整理しています。

Ninebotが第1号となる「CDR」とは何か。グローバル展開するユニコーン企業の急増と中国の厳しい外資規制

Ninebotの上場形式「CDR」とは「中国預託証券」のことで、米国において外国企業の株式を自国通貨(ドル建て)で購入できる「ADR」の仕組みを踏襲したものです。

画像1

RIETI「ハイテク企業を対象とする上場制度改革― レッドチップ企業による中国預託証券(CDR)の発行が可能に ―」

株式発行企業が対象国の預託機関に自社の原株を預け、預託機関が投資家に対して「DR(Depositary Receipt:預託証券)」を発行することで現地通貨建てでの取引が可能となります。

中国で急成長を遂げるユニコーン企業は、海外から出資を受けるためにケイマン諸島などに登記しているケースが数多くあります。

レッドチップ企業:中国本土で主な経営活動を行いながら海外で登記している企業

一方で、中国の証券取引所は厳しい外資規制を敷いており、国内上場は困難なケースが多く香港や米国でのIPOを選択する企業が増えていました(Alibabaは米国、Tencentは香港、など)。企業の成長が本国に還元されていない状況を受けて、中国証券監督管理委員会は規制改革の一環として2018年にCDRの発行を可能としました。

XiaomiがCDR第1号を目指していましたが、実現せず。制度施行から2年経ってようやくNinebotが初のCDR上場企業となります。

合わせて読みたい:

Ninebot概要

Ninebotは2012年に創業されました。

平衡车价格_平衡车什么牌子好_赛格威【纳恩博ninebot官方商城】

Ninebot

Ninebotは重心移動でコントロールできる次世代型モビリティを開発。どこからどう見てもセグウェイです。実際、2014年9月にはセグウェイから特許侵害で訴えられています。

NinebotはXiaomiやSequoia China等から約8,000万ドルを調達し、なんと訴訟から半年後の2015年3月に本家セグウェイを買収してしまいました。コピーキャットが本家を食って虎になったというわけです。

画像5

セグウェイ買収と同年の2015年にはIntelとGICから6,000万ドル、2017年には中国の政府系ファンドから1億ドルを調達してユニコーン企業に。UberやLimeといった企業を顧客に抱え、現在では1,000以上の特許を保有しているといいます。

持株比率はXiaomi(People BetterとShunwei)が21.82%、Sequoiaが16.80%と2ケタ、Intelも3.32%保有しています。

Ninebotの業績チェック

画像4

2019年の売上は前年比+8.0%増の45.9億元(689億円)、営業損失は-4,034万元(-6億円)と1/4くらいに減少しています。

画像16

売上を製品ごとに見ると、2017年まで「平衡车(セグウェイ的な重心移動型モビリティ)」が7割を担っていました。。

近年の成長を牽引しているのは電動キックボードです。

画像6

相手先別の売上を見ると、Xiaomiが52%を占めています。2年前までは7割を占めていました。

画像8

Xiaomi

Xiaomiといえばスマートフォンですが、最近はテレビなどのIoT製品に加えてロボット掃除機といった生活家電も次々と投入しています。

画像17

2018年に入って電動キックボード・ブームが到来し、UberやLimeにBirdやLime、Spinの米国勢、中南米のGrin等からのOEM契約が成長を牽引しました。2019年からはAmazonへの出品も開始。JD.comとあわせてEC販売も強化中です。

画像9

画像10

画像11

現預金は9,892万元(14.8億円)、株式以外に短期借入が1,000万元(1.5億円)ほどあるようです。

画像12

営業キャッシュフローは2,513万元、CAPEX3,798万元を差し引くとフリーキャッシュフローはマイナス。

NinebotはIPOで約3億ドルを調達する予定です。

モビリティからサービスロボットへ

市場環境を軽くチェックします。

画像13

重心移動型モビリティの需要は右肩上がりですが、市場規模は600万台程度と小さめ。

画像14

電動自転車の生産量はピークアウト。シェアバイクブームが去り、撤去された自転車の山が目に浮かびます。ofoの失速は記憶に新しいところ。

画像15

Ninebotが次に見据えているのはロボット市場。世界全体のサービスロボット市場は2021年に131.4億ドルまで拡大する見通しです。

赛格威机器人_-_创造AI运力

Segway Robotics

Segeayブランドでデリバリーロボットも開発したりしています。昨今の情勢から需要急増していそう。

市場環境の変化にうまく対応しているように見受けられるので、今後も成長を持続できるか楽しみです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?