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4月の1人あたりお米消費、3年ぶりに5Kg超え。家庭内消費が前年同月比+11.6%増加

巣ごもりシフトにより、家庭内でのお米消費が増えているようです。

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公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構 米の消費動向調査結果(令和2年4月分)

公益社団法人「米穀安定供給確保支援機構」の調査によると、2020年4月の1人あたりお米消費量は5,085g、前年同月比+3.3%の増加となりました。5Kgを超えたのは2017年4月以来3年ぶりです。

内訳を見ると、「家庭内」が3,609g(前年同月比+11.6%)と7割を占めています。外出制限の影響で「中・外食」は1,476gで▲12.7%と大幅に減少しました。

1人1ヵ月当たり精米消費量 月次推移

あまり見どころのないグラフですが、そもそもお米の家庭内消費量は4月に増加する季節性があるようです。新学期でお弁当を作ったりする関係?

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購入経路は「スーパーマーケット」が52.5%と最多、「家族・知人などから無償で入手」が13.3%で2番目に多い入手経路となっています。ありがたいことに自分もその一人です。

家庭内消費量が3.6Kgを上回ったのは2012年4月以来8年ぶりで、巣ごもりシフトにより人々が国民食へ回帰した様子が伺えます。

災害大国で数々の危機に直面してきたからこそ、日本では備蓄できるお米が主食になったのだなあと感じます。

とはいえ、長期で見れば日本人のお米消費量は年々減り続けています。

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(農林水産省「米をめぐる関係資料」令和元年11月

農林水産省の資料によると、1963年に年間1,341万トンもあった総需要量が2018年には813万トンと▲39%も減少してしまいました。生産量も減少の一途をたどっています。

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(農林水産省「米をめぐる状況について」平成31年4月

1人あたりでは1961年には年間118.3Kgもありましたが、2017年には54.2Kgと半減しています。

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(平成30年度食料需給表「結果の概要」)

供給熱量ベースでもお米はピーク時から半減しており、畜産物や油脂類、小麦にシェアを奪われていることが分かります。

国内消費が落ち込む中で、政府は海外輸出に力を入れています。

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(農林水産省「米をめぐる状況について」令和2年5月)

2019年の商業用コメ輸出金額は46.2億円と前年比+23%も増加。ここ4年で2倍となっています。日本食ブームもコメ輸出増を後押ししていると思われます。

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政府は2014年に「全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会」を立ち上げ、オールジャパンでおコメの輸出を促進しています。Japa Qualityの統一ロゴマークを作成し、フランス産ワインのごとくブランド化を図っている模様。

輸出事業者と輸出基地が戦略的に連携し、2019年の輸出数量1.7万トンから将来的には年間10万トンの輸出を目指しています。

日本の年間需要量813万トンに対しては1%程度に過ぎませんが、国内の需要量が毎年10万トンペースで減少していく中で、米の輸出拡大は喫緊の課題となっています。

その他、興味深いのが「米粉」の利用拡大です。

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いつだか米粉からパンを作れる「ゴパン」が人気となったように、お菓子や麺などに米粉を利用するケースが増えています。需要量は年間3.6万トンと年々上昇しているそう。背景にはヘルシー志向、グルテンフリー需要の高まりがあります。

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小麦にはグルテンという物質が含まれており、一部の方はグルテンに対してアレルギー反応を引き起こしてしまったり、そもそも消化に良くないとされています。また、テニスプレーヤーのジョコビッチが「食事をグルテンフリーにしたことでパフォーマンスが上がった」と説明したことにより、世界的にグルテンフリーがブームとなりました。市場規模は右肩上がりで、2024年には100億ドルに達するとも言われています。

米は成分としてグルテンを含んでいないため、グルテンフリー食品に米粉を活用するケースが増加しています。2018年にはグルテン含有量1ppm以下の米粉を「ノングルテン」と表示する第三者認証制度も開始。グルテン含有の表示が義務付けられている欧米への輸出拡大において効果的にアピールすることを目指しています。


水田の利用用途も、主食用米以外の割合が延年増加しています。

今回は外出制限という特殊要因によってお米の消費量が増加しましたが、中長期的には今後も国内消費量が減少していくことは確実。米産業を守るためには、海外輸出やグルテンフリー米粉といった新たなニーズを開拓することが不可欠といえそうです。


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