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中古車EC「Vroom」のS-1が出ていたのでチェック

先日に報道があった中古車EC「Vroom」の上場申請書類が公開されていました。

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IPO市場が冷え込んでいた中で、ひさびさにユニコーン企業が上場することになりそうです。では、S-1の中身を簡単にチェックしてみたいと思います。

Vroom概要

先日も軽くまとめましたが、Vroomはアメリカで中古車のオンライン・マーケットプレイスを展開しています。

2013年創業、現在はPriceline.comのCEOだったPaul Hennessy氏がVroomを率いています。

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詳しい内訳は記載がありませんでしたが、General CatalystやT.Rowe、L Cattertion等が持分割合5%以上の株主として名前が挙がっています。

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VroomのECではアプリから簡単に中古車を購入することが可能。ユーザーを惹き付けるのが「送料無料」である点。7日間の試乗期間を設けており、気に入らなければ返品できます。

また、買い手だけでなく売り手もアプリでマイカーを売却できます。車両情報を登録し、条件がマッチする購入者が現われたら引き取り日を指定して売却完了です。

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営業エリアはアメリカ全土に拡大しており、2015年には「Texas Direct Auto」社を買収して各地に「VRC(vehicle reconditioning center:修理センター)」を設置。協力会社も含め、1日あたり326台に対応するキャパシティがあるとのことです。(前年比+38.7%)

Vroomの業績チェック

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Vroomの売上は11.9億ドル(前年比+39.3%)、営業損失は▲13.3億ドルに拡大しています。

2020年1Qは売上が前年比+59.9%増の3.8億ドルと成長が加速しているようです。

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売上の8割は小売で、卸売も18%ほど。また、2020年1Qは車両以外のアイテム売上が約3倍に増加しています。

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セグメント別に見ると、2019年まではEコマース売上は半数程度で、買収した「TDA」社と卸売も大きな割合を占めていました。ただ、直近四半期はEコマース売上が前年比2倍超と業績を牽引しており、売上比率6割異常となりました。

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月別の販売台数推移を見てみると、2019年5月以降は倍々ゲームで成長しており、コロナ禍に見舞われた3月、4月も過去最高の販売台数を更新しています。

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四半期の販売台数は7,930台と、前年比+148.8%増。また、アイテム売上が6倍になっています。

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(1Q 2020 Letter to Shareholders)

競合のCarvanaは5万2,427台(前年比+43%)と、Vroomの約7倍という規模感です。少し見劣りしてしまいますが、成長率は鈍化してきているので差を詰めていけるか期待したいところです。

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月間訪問ユーザー数は前年の2.3倍となる94.7万人に増加。売り手、買い手ともにユーザー基盤が着々と拡大しているようです。

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ここ3ヶ月で約5,000万ドルを燃やしており、手持ちキャッシュは約1.7億ドル。調達しなければ1年以内に現金が尽きる計算です。有利子負債は返済が進んでいるようです。

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直近四半期の営業キャッシュフローもマイナスですが、前年同期よりはプラスに近づいています。

アメリカの中古車市場は巨大で分散された市場

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先日のニュースが出たときにCarvanaの資料でもチェックしましたが、アメリカの中古車市場は8,410億ドル(約9兆円)と巨大です。一方、ディーラー上位100社を合わせても市場シェアは10%に届きません。中古車販売のEC化率は0.9%と、2%程度ある生鮮食品よりも低いとのこと。成長余地は限りなく大きいというメッセージを強調しています。

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最後に競合企業の時価総額を確認すると、業界最大手CarMaxは130億ドル(四半期売上49.6億ドル, 前年比+15%)ほど。

Carvanaは163億ドル(四半期売上11億ドル, 前年比+45%)で、売上規模は1/4以下ですが時価総額では上回っています。

上記2社と比べればVroomの規模はまだまだ小さいですが、個人的には後発企業がどう立ち回るかが、黎明期である中古車EC市場の今後を左右すると思っているので期待したいところです。

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