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#026 旬の貝

#日経COMEMO #NIKKEI
2024年3月16日夕刊 あすへの話題 約690字 

<すぎ>
貝を食べたときに「ジャリッ」と砂を噛むのはどうも不愉快ですよね。貝を料理をする前にしなければならない「砂抜き」は時間もかかるし面倒なものです。今はスーパーで「砂抜き済」と書いてあるものや、真空パックや冷凍の貝のものもあり、年中売っているのでとても便利です。でも、旬のものを丁寧に料理することも大切、というエッセイ。時にはぴゅーっと塩水を飛ばしている元気なアサリを買って、丁寧に料理しようかな、と思いました。

<ことば>
蛤(はまぐり)
打ちつける:貝と貝を当てて音を出す
浅利(あさり)
蜆(しじみ)
ガチャガチャいわせる:両手に貝をいくつか持って混ぜると出る音
可否を見極める:いい貝か、悪い貝(死んだ貝や、空の貝)かを調べる
きれいな金属音:金属をたたいた音のように高い音
カラカラと音が鈍る:貝と貝を合わせたとき、貝の身が入っていない空の貝の音
バット:料理用の四角く浅い容器
ひたひた:鍋の中の食べ物と同じ高さぐらいの水を入れること
ちなみに:(今話している内容に関係する話を加えて話すときに使うことば。「また」「なお」「加えて」「ついでに」と同じ)
「貝の泥を出す」とき、蛤と浅利は海の貝なので塩水を入れるが、(淡水に生きている蜆の泥を出す場合は真水を入れる
そっとしておく:貝が揺れないように静かに置いておくこと
砂を吐く:貝の中にある砂が外に出ることを「貝が砂を吐く」という
そうしたことを、あまり気にかけずに済むように:貝を買ってすぐに料理ができるように
買受(かいうけ)人:生産者から買ってスーパーなどのお店に売る人
手をかける:料理をする人の代わりに面倒な準備をしてくれること
選別する:悪い貝を除く
砂抜きする:貝から泥や砂を除いておく
水温(ぬる)む:水に手を入れたとき、「冷たい」と感じないぐらいの水の温度になる
便利は風情や生物観察の機会を日常から奪う:料理をするには便利な商品が出てきているが、砂抜きをする中で貝の様子を観察したり水が冷たくなくなったことを感じるなどが無くなった
好奇心は自然と暮らしの交わりに発動する:暮らし(料理の準備)をする中で、自然に対しての好奇心が生まれる
お料理は興味の宝庫:料理をする中で「なぜ?」「どうして?」という自然に対する好奇心が多く生まれる
ガジガジ洗う:浅利を手の中で洗うときにする音と感覚。汚れが落ちるまで丁寧に洗う気持ちと、音や感覚を楽しんでいる表現。
煮立てる:沸騰したあと、そのまましばらくの沸騰させる
強火は身を堅くする:貝の身は強火で長く煮ると堅くなる
貝がゆっくり口を開く:貝が開くことを「口が開く」「口を開ける」ともいう
琥珀(こはく)酸を吐くさま:出汁(だし)が出る様子
平衡する:美しさが増すとおいしさも増す
旬:食材(料理の材料)が一番おいしくなる季節
身やせする:熱を加えると貝の身が堅く、小さくなる
浅利の塩気を考慮して赤味噌を控えてとく:浅利から塩が出るので、赤みそをいつもより少し少ない量を溶かす
初物:その季節にだけ食べられる食材を、その年や季節で初めて食べること
お料理は自然の摂理のうちであり、おいしいは自然とうちなる自然の共鳴だ:自然の大きな働きによって旬の食材が生まれ、おいしさが生まれる。
三月産卵を控えた牡蠣(かき)は断然だ:三月の産卵前の牡蠣は、比べるものが無いくらいおいしい
良油を用いる自家製マヨのタルタル:いい油を使った自家製マヨ(手作りのマヨネーズを使った)タルタルソース


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