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2020雑多マイベスト(書籍・映画・短歌)

昨年まとめていたライブと展覧会はベストを挙げるほど数を重ねられなかった・・・。しかし、ライブではNUMBER GIRLを体験することができたし、展覧会では「ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ」が非常に良かった。

〇書籍【73冊】

田中宗一郎・宇野維正『2010s』'20
出てきた様々な言葉をしっかり噛みしめながら様々に向き合わねば。そして、それを身に着けて2021年の様々に向き合うことを当然にしていきたい。

上出遼平『ハイパーハードボイルドグルメリポート』'20
番組だけでなく、文章も味わい濃い。エンタメ感も残しつつ、ジャーナリズムが増されてて、筆者の実感も強く溶け込んで味わい強くなってる。

森山至貴『10代から知っておきたい あなたを閉じこめる「ずるい言葉」』’20
自分が「ずるい言葉」を発する立場にも、受ける側にも当然なりうることを意識せねばならないし、その意識があるから強い興味を持って読むことができた。

若林正恭『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬(文庫)』'20
昨年、『ナナメの夕暮れ』を挙げたが、それに引き続き彼の言葉は俺の心を強くくすぐる。個人の話であり、やはり社会の話でもある、そのバランスもいい。

吉村昭『羆嵐』'82
小説を読む割合が非常に低い俺なのだけど、今年読んだ小説の中で一番面白かった。『香水』も匂いの小説だったが、これも生臭い…自然のハードな匂い立ち込める小説だった。

〇マンガ
【数えるほど読んでないけどピックアップしたい】

大友克洋『童夢』
昨年『AKIRA』を読んで、この作品にも。『AKIRA』が散漫だとは言わないが、短い一冊の中に画角のオリジナリティや登場人物の設定の面白み〈「老人」対「子ども」〉が詰まっており、うま味はこちらに軍配が上がるかとも思われた。

近藤聡乃『A子さんの恋人 7巻』
もう、、、深夜二時に泣いた・・・。

田村由美『ミステリと言う勿れ 1~7巻』
タイトルは目にしていたが、叔母に借り、一気読みしてみりゃこりゃなんぞ。メチャおもろい。確かに俺がこれまで受容してきた「ミステリ」とは異なる。しかし、私たちを取り巻く様々に言葉でもって立ち向かうさまは、謎を解く名探偵と重なる所がないわけではない。

〇映画ベスト4〈今年公開作品は21本観た〉

・「フォードVSフェラーリ」
レースシーンも、半沢直樹感あるストーリーも、人間関係(対立関係含め)などもどれもガツンときた。

「透明人間」
女性の抱える恐怖心などを「透明人間」というある種古典的なモチーフを使うことで現代的に表現したことに感服した。こうなったら嫌だ、ということがちゃんと嫌なように巻き起こるから最悪。

・「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」
頭からケツまで最ッ高なノリ。ウケるポイント山盛り(声出して笑った)だけど、カーディBのくだりは…笑 モリーの全校生徒への挨拶の言葉、たまんねえ。ティーン&卒業ものではあるけど、別れの湿っぽさを回避するニュアンスも◎。

・「初恋」
右肩上がりにキマってく染谷将太と戦闘力バカ高いベッキーが最高だった。

〇旧作映画ベスト5〈61本観た〉

・「ハッピーデスデイ」2017
死にまくるけどアガりまくってくテンションがたまらなかった。まあ…2はなくても良かったかな。

・「キッズリターン」1996
どうしようもなく上手くいかない方に爽やかに転がっていく詩情よ。

・「ANNIE HALL」1977
女性と、という以上に人との関わり方が見ててツラいものがあった。メタ的なものやアニメが急に挟まったりと映像的な面白みも多分にあった。

・「HOUSE」1977
過剰にポップな脳内イメージ大暴れナイトメア。物語に戦争の存在と「愛」も添えつつ。

・「DO THE RIGHT THING」1989
今年のBLMを考える上で大きな作品となった。それと絡めずとも色を強調していたり、見応え十二分にある。

〇短歌10選

おねがいねって渡されているこの鍵をわたしは失くしてしまう気がする 東直子

〈地球に優しい〉とはなどとはよくも言ふわれら優しく滅ぶるほかなし 島田修三

恐ろしいのは鉄棒をいつまでもいつまでも回り続ける子供 穂村弘

ばくぜんと死を考える朝っぱら ナポリタン・スパたのむ昼過ぎ 白瀧ますみ

俺ひとりなくても何も変はらないだらうが今朝の飯食つてゐる 小笠原和幸

何者か我に命じぬ割り切れぬ数を無限に割りつづけよと 中島敦

改札機に券うらがへし入るること今日ただひとつの意思表示にて 安田純生

青春はたとへば流れ解散のごときわびしき杯をかかげて 大辻隆弘

友の死を話題にしつついつになく生き生きと我ら菓子など食べぬ 栗木京子

言はむすべ 為むすべ知らず 極まりて 貴きものは 酒にしあるらし 大伴旅人

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