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2021年上半期ベストトラック・アルバム10選

まーずはベストトラックから!

星野源「創造」

こういうオーバーグラウンドならではの、ビッグタイアップだからこその暴れ方、ムチャ痛快。音にも言葉にも愛のある引用と彼ならではの血を注いで「独(いち)」を創り上げることに成功している。

lyrical school「TIME MACHINE」

まずはKMの作るトラックのかっこよさよ。そして、himeとhinakoの低音パートも新機軸で効いてた。『Wonderland』までの三部作には「時間」というものが鍵となっているのでは、と思っているのだけど、まさに「TIME」の語を冠したこの曲はヘッズの「futureなL」になるのは間違いない一曲となっている。

吉澤嘉代子「流星」

つくづく言葉の魔法を使うのに長けている。流星を「一瞬空に引っ搔いた傷がついたみたいだった」と「ひっかき傷」になぞらえる比喩はよくあれど、ここでの流星は「君の心に流る傷」であるという。サディスティックでもある詩中人物の表明だが、印象的な鍵盤の音とセルフコーラス醸すロマンチックなきらめきがそう思わせないよう作用している。

Base Ball Bear「SYUUU」

楽曲は一聴すると「高速四つ打ち」とカテゴリづけたくなる初期ベボベ の王道チューンに類する楽曲のように思えるが、リズム隊が強化されてその足腰の強さが当時とは段違いとなっている。また、そこに乗る歌詞は当時のような「心模様」を描いた抽象的なものではなく、コロナ禍の今を描いた応援ソングにも、「笑ってふざける」という活動の指針表明にも、「ありがとう ばかやろう」と状況に対する怒りの表明にも多層的に解釈可能な深みのあるものとなっている。いずれにせよ彼らが降らせた雨はリスナーの慈雨になるものといえよう。

リーガルリリー「地獄」

この世もこの世に存在するこの自分の中身も全てが地獄めく時が誰にでもあるのではないか。詰まった息を何とか吐いた時の混沌と勢いを表すような楽曲となっている。きっと歌詞の「僕」がした「許されないこと」とは大したことないことだろう、しかしながら「夜も眠れ」なくなるものだ。そんな夜はこの曲を大きめの音量で聴いて明日の近づきから目を少しそらしてはいかがか。

大塚愛,あっこゴリラ「あいびき」

タイトルが人間が抱える性欲と食欲の一次的欲求が匂い立つ掛詞となっている。「逢引」であれば「二人から出る愛汁だけ」「そっちが上 こっちが上」「繰り返されるそれがフライ返し」に意味がそっと宿るし、「合い挽き」であれば「ハンバーグ素敵」に目が向きながら、様々な「バラバラ」なものを混ぜて成形されてるのはまさにこの楽曲ではとメタな構造にも思いが馳せられる。

ウルフルズ「よんでコールミー」

熱っぽくないリフレインされるメロディーが心地よくて繰り返し聞いている。「会いたくて」ときみへの想いは募っていないわけではないのに「約束なんかしなくたっていいさ」とクールな一面をみせる。しかし思いは大文字でタイトルに現れているのだ。見逃すなかれ。

DYGL「Half of Me」

タイトなキックの音からサビへのヌケが気持ちいい。そのくらいのシンプルな感想しか持ち合わせていないのだけど、加えて思うのは聞くたびにMura Masaの'20年のアルバムの音を思い出すなーということ。シンプルなバンドサウンドながら、オーバーシー感がしっかりと存在している。

ミシェルメルモ「ちょいとまち」

ニューリリースにならんでたジャケットとタイトルに惹かれて聞いてみてつかまれたパターンのやつ。「宵のまち ちょいとまち されるがままの 未体験の調子」と韻を踏みながら高揚するメロディがたまらない。管楽器もそれに街角で起こった恋のひと時に色を添えている。「雪崩れる」の松本隆フレーバーも絶妙。

L'Arc~en~Ciel「ミライ」

4年ぶりに届けられたラルクの新曲。ラルクというものへの想いと、今の社会がより明るい方向へ進むようにとの祈りが込められたかのような光を感じる開けた楽曲。ザ・フー「ババ・オライリー」めいた打ち込みのリフが印象的であるものの、最後サビは少しリズムをズシッと落としてより粘りを強めているパートなど、「4人」が作り上げているのが感じられてグッとくる。ラストはドラムがマーチのリズムを刻んでて、この曲を従えて歩き出す彼らや僕らの姿を感じることができる。

1~3月、4~6月のFav Tunesのプレイリストを下に。

続いてアルバム~。一言ずつ。

NOT WONK「dimen」

聴きやすさも含めて何もかもがネクストステージだと思った。これから2021年が幕開けた印象。

吉澤嘉代子「赤星青星」

メジャーに移って、アレンジ面で前作にはピンとこなかったけど今作は二人の世界を描いたことによる憂いのあるアレンジがバシッとハマった。

Tohji,Loota,Brodinski「KUUGA」

聞いたことないが聞いたことないゆえにもっと聞きたいと思える中毒性をもった何かが霞の向こうから伝わってきた作品。

リーガルリリー「the World」

大きな地盤を挟んだ上と下とそれぞれに生きる存在と、その両方のモチーフとしての「東京」という場所をバンドで鳴らす強さとが素晴らしかった。

lyrical school「Wonderland」

先行リリース曲から強い曲が多く、全体としても楽しく聴けた。特にオープニングのBLACKPINKめいた「MONEY CASH CASH CASH」で彼女らがより大舞台で暴れる姿を見たくなった。

U-zhaan,環ROY,鎮座Dopeness「たのしみ」

肩に力は言ってないが、力の使い方を熟知してるスキルが表されている作品。ゆるいノリでツルッと聞けるのがいい。

(sic)boy,KM「social phobia」

やはり「ロック」な側面の強いKMのトラックがカッコええのだけど、世に出だしてきた(sic)boyのノっている勢いとがバッチリハマってて好き。

GRAPEVINE「新しい果実」

ベテラン故、破綻なくうまく構築されているが、どこかその構築物はどうしても我々の「?」をくすぐる気持ちのいい気持ち悪さがある。

Japanese Breakfast「Jubilee」

先行リリースの「Be Sweet」でガシッと心つかまれて、フルアルバムも当然よかったという流れのやつ。

YUKI「Terminal」

個人的には「megaphonic」の強化ver.的な印象を受けた。曲のフックの強さもそうだが、歌詞の多さやそれによる歌唱スタイルの変化・増加の面白みも見逃せない点だ。

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