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【アルバイト体験記】イオンで半年間アルバイトをして贈られたプレゼント

ここまで温かい社会経験はめったにないだろう

自然豊かな町の皆さんならだれもが利用したとこがあるであろうお店、イオン。今回はイオンでアルバイトをしていた時の思い出とプレゼントを書き記します。


アルバイト開始

大学生のころ、地元のイオンでアルバイトを始めました。
職種は日用雑貨の品出しです。人前に出ることが苦手だった私は、レジ係よりも心理的ハードルが低かったこの職種を選択しました。

地元のイオンについて

私は、物心ついた時からこのお店に親が運転する車に乗って足を運んでいました。
ついこの前知ったことですが、どうやらお店自体は私が生まれる前から営業を開始していたようです。
小さな私にとって、イオンはどんなものでもそろっているテーマパークのような場所でした。
右を向けば美味しそうなお菓子が、左を向けば楽しそうなゲームやおもちゃが所狭しと並んでいて、週末が来るのを毎週カウントダウンしていたほどです。
それから時が経ち、そのお店は買い物をする場所から働く場所になりました。こうして長い年月をともに歩むと、もはや第2の我が家と言ってもよいほどに愛着がわきます。

一緒に働いていた人

私とともに同じ売り場で働いていた人たちがいます。社員のKさん、ベテランパートのMさんとOさん、留学生のAくんです。
前のアルバイト先で出勤するのが億劫になり、アルバイトをすることに対して緊張していた私に、みんなが気さくに声をかけてくださったのですぐになじむことができました。
通勤中の車内が灼熱だろうが楽しく通勤できましたし、大学最後のアルバイトとしてここを選んでよかったと思ったほどです。

アルバイト中の出来事

主な業務内容は、ティッシュ、洗剤のような日用品からペット用品までを売り場に補充すること。
補充係なのでそこまでお客様と言葉を交わすことはありませんでしたが、時折商品の場所について問い合わせをいただきます。
取り扱っている商品は膨大な種類であるため、ほかの売り場の担当者と協力しながら探し上げることもしばしば。
目的の商品を見つけて案内した際に喜んでいただけたのは、アルバイト生活の中でうれしいことでした。
基本的に仕事は楽しいものでしたが、洗剤がたくさん詰まった箱はとにかく重たくて腰を痛めそうになりながら、混雑する店内をかき分けて苦労しながら補充しにまわっていた思い出もあります。
またある時、お店のキャンペーンで外箱が黒いティッシュやトイレットペーパーが大量に入荷してきて、売り場が黒ずくめになって異様な光景になった記憶が記事を書いている途中でよみがえりました。

もちろん、この中に体が縮む薬はありません。

こうしたイベントがありながら、世の中にはこんな商品があるのか、と今まで知らなかった商品やメーカーを知ることができたのは良き勉強となりました。

最終日のプレゼント

働き始めて半年がたち、私は上京の準備と就職の準備をしなければならなくなりました。
就職先は、東京にあるサブスクを運営しているIT企業です。
それに伴ってこのアルバイトを終了する意向をKさんに伝えました。
Kさんは少し寂しそうな表情をしていましたが、これから東京で頑張ってと声をかけてくれました。
アルバイト最終日、いつものように業務指示書をめくると、そこにはKさんからのメッセージが書いてありました。このようなメッセージです。

「takumiさん約半年間お疲れさまでした。人手不足で困っていたので本当に助かりました。ベンチャーに行っても頑張ってください。あまりKから学ぶことはなかったかもしれませんが、イオンでの経験をこれからも役立ててください。本当にお疲れさまでした。」

Kより

私はもうすぐ売り場に向かわなければならないのに、涙が出そうになりました。ですが、始業時刻までのこり5分余り行かなくてはなりません。

涙をぐっとこらえていつもどうりの業務を行い、終業時間間際になってAくんとばったり会いました。普段お互いの業務時間が合わず、なかなか会話できる機会が少なかったため、少しの間雑談をしました。
お互いの学校生活のこと、就職先のこと、帰国後の予定、このアルバイトでの思い出などそんなことを話しあっていた気がします。
そうこうしているうちに時間がきてしまい、もう少し話したいこともありましたが、お互いに「ありがとう」と言って別れました。
今でもあの時のことを思い出しては、懐かしいビデオフィルムを見ている感覚に陥ります。

業務が終了し、帰宅しようとするとMさんとOさんから渡したいものがあると呼ばれました。
「半年間ありがとう。この部門に入ってくれると聞いてとてもうれしかったよ」
そういわれて渡されたのは、青いプレゼント袋でした。
家に帰ってから袋を開けると、入っていたのは紳士物の靴下でした。


まさか、たったの半年しか勤務していない私にプレゼントを贈っていただけるとは・・・
それでも、私がアルバイトとして入ってくることがよほどうれしかったそうで、二人でお金を出し合い私にプレゼントしたそうです。

それから

あの日から1年以上が経ちました。
「ベンチャー」ではモバイルアプリエンジニアとして、紆余曲折ありながらも様々な機能を1年目から実装しています。
いただいた靴下は、今でも時折おしゃれをして出かけるときに履いています。なんだか、守られているような気がして。

私の移住先にもイオンはあります。ただ、それは子供ころから通っていたお店と比べて、広くて新しいところです。
移住してからすでに時間が経っていますが、あの小さくて、年季の入った雰囲気を懐かしく思ってしまうときがあります。
地元に帰ると、私は生存確認をするかのようにアルバイトしていたあのお店に立ち寄ります。
担当していたフロアに立つと、あの時の光景を思い出してしばらく意味もなく商品を見るふりをして思い出に浸っています。
ここまで温かい思い出に包まれているアルバイトの思い出は、私自身これ以外にありません。
小さなころからお世話になっていたお店がくれた特別な非売品を私は今でも大切に保管しています。
おそらく、私はお店が取り壊される日が来るまで生存確認をしに足を運ぶことでしょう。

クリスマスイブのうさぎ

実は、私がアルバイトとして入ったお店は、2022年のクリスマスイブに投稿した「【日記】地元のイオンで野うさぎ女子を発見」という記事の舞台でもあります。
小さな田舎町でもコラボをやろうと企画してくださった企画陣の方に感謝を申し上げます🙇

あとがき

今回この話を公開することにしたのは、仕事で行き詰まっていた寝付けない夜にふと思い出したことがきっかけです。

あの働くことが楽しかった記憶を消えないうちにアウトプットしなければ、きっと後悔するだろうと思い、この場を借りて公開することにいたしました。

働くすべての人に幸あれ。


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