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CRY ME A RIVER

こういう曲の良さっていうのは本当に若い頃にはわかんないもんで、20代30代のジャズマンがこういう曲を見事やってるのを聴くと、人としての成熟度が非常に高いのかな、と思います。

僕は40代になってようやくグッとくるようになりました。まー20代30代の時はこういう曲をやろうとも思った事はありません。

■ 背景

詳しくはWikipediaをぜひ。
日本語で書いてあります。
ジュリーロンドンの歌唱がオリジナルらしいです。
でギターはバーニーケッセルなんですね。
なんていうかな、もう純粋に聴けてないからかもしれませんが、やっぱりオリジナルのパワーってすごいものです。特にこの曲に関してはオリジナルが素晴らしいです。

■ 演奏

この曲を初めて知ったのは以前に書いた初めて買ったO師匠のアルバムでしたが、当時良いと思わず、飛ばしてましたよね。今聴いたらむちゃくちゃいいです。

私が大尊敬するお二人師匠が共演してるアルバムでもやってます。

アルバムタイトルにもなってます。ジャケットデザインに関しては突っ込みたい気持ちでいっぱいですが、やめときます。いや、ましな方。

他にも調べてみたらサムクックや、エアロスミスまでやってたりするんですね。

日本人だと八代亜紀が歌ってます。

JUJUという人がやってましたが、くそ寒くてノーカウントです。やったうちに入らない。なんかそのへんの歌うまギャルがたまたまカラオケで歌ってみた、みたいな感じ。ギャップ萌えですか。

サックスだと、デクスターゴードンと、ソニークリスがやってるのが聴けましたが、この曲ってちょっと間違えるとムード歌謡みたいになりますよね。
そこはゴードン先生はさすが、バキッとジャズになってます。
ちなみにソニースティットもやってます。さすが、完全にスティットの手癖オンパレードです。あんまでしたね。

■ コード進行

これリアルブックに載ってないんですかね。
意外ですよね。あんまりいい楽譜がないなー、と思って作ってみました。

間違ってたらごめんなさい。多分ほぼ合ってます。

①この曲のイケてるところというかポイントはやっぱり出だしの一音目、トニックマイナーの9thが曲全体の最高音であり、この伸ばしの音から入るのが非常にグッと来ます。

伸ばしのあとの八分音符は皆さんよっかかって吹かれる事が多いようです。そりゃそうか。

なので、例えば僕としてはバーブラストライサンドの歌唱とかでこの音を伸ばさないですぐ下がって伸ばす歌い方もあると思うんですけど、なんかちょっと物足りない感じがしちゃいます。

コードはただのトニックマイナーの5度クリシェです。
クリシェわからなければググってください。

②あとは僕がもーめちゃくちゃぐっと来ちゃうのがII7です。
II7ってあんまりかっこいいと思った事ないというか、やっぱりコードのサウンドの性質上パカーンって明るいじゃないですか。(僕はII7がこの世のコードの中で一番明るいサウンドと教わりました)だから、テンションでコード自体のサウンドと距離をとるような歌い回しが普通ですよね。この曲もメロディが9thですけど。

II7のメロディはテンションを使うようになったのはガーシュウィンからだ、と教わりました。

II7はアドリブをするとしたら、いろんなアプローチがありますが、一つはそのまま7thとして処理するとパッカーンとアホみたいなサウンドがします。またはかなりレトロな。
なのでみなさんやるのはII-V分解ですね。なので、VIm7として考えてしまうわけです。

そのときメロディックマイナーを使います。
これをII7のリディアンセブンスとして考えるのもありですが、いずれにしても同じスケールですから、II7のコードトーンの音価が高いとパッカーンとダサくなります。
いかにコードトーンを避けて歌うか、なんですよ。
だからメロデックマイナーを使うと歌いやすいと思いますよ。

あともう一つは、このコードのテンションを考えてみると、実は9,#11,13なんです。これって何かっていうと全音上のトライアドですよね。
てことはIIIというトライアドを使うのもアリです。ちょっと難しめですよね。ケニーギャレットが乱発してる演奏聴いたことがありますが、そんなかっこよくないです。

ともかく何でこんなにぐっときますかね、ここ。
かなり暗ーい頭出しだから、なのか、IIIm7を明確にb5してるから裏切り感が強いからかな。ちなみにこのb5はトニックから見るとb7の音です。だからブルージーに響くし、ブルースなんかだとIIIm7はb5した方が自然なんですよ。

③あ、そうそう、そのIIIm7b5も直前のIII7からの流れがなんか裏切り感がありますよね。
もちろんIII7がトニックのImaj7に解決してると考えると違和感はないんですけど。

ここ、でも一番捻りが効いてるとこじゃないですか。

④サビ、なんですよね。ちょっとむずいのは。
サビは転調してます。大した転調じゃないです。フラットが一個減るだけですね。

問題はサビの後半2小説です。

ここだけ歌詞が主人公の気持ちの話じゃなくて、実際相手が言った事になってます。

ここは二小節転調ととらえるしかないでしょうね。
最後の1小説はIII7というより、I7としていて、ピボット的な役割です割と強引にVImトニックマイナーに戻す感じ。
ここはどうしてもIII7の感じがしないわけです。ナチュラルテンションがメロディにきてますから。だからI7とするのが妥当かと思います。
ここは歌詞も関係あると思うんです。ここだけ歌詞が相手が言ったムカつく事になっています。この二小節だけね。

このサビの8小節目のG7、オリジナルは9度がメロディだし、メジャーに解決する普通のII-Vなんですが、流石にデクスターとかはトニックマイナーに行く感じで、#9を吹いてます。ここの2小節って結構唐突な明るさなんで、その方がいいかもですよね。どっちでもいいと思いますよ。

⑤メロディなんですけど、歌詞のOver meのとこほ。K師匠はドシミってやってますけど、Over meって歌詞にハマるのはやっぱドミミーな気がします。ドシミーは歌詞からすると違和感ありますね。

おまけでつけときます。ご自由にどうぞ。

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