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『ゲームゼミ』ゲームを本気で語ろう

3000万回読まれたゲームブログ管理人による、日本初のペイウォール型ゲームメディア。「20年代のビデオゲーム文化」を語るべく、社会、文化、哲学などを縦断的に論ずる、ビデオゲームを… もっと読む
3000万回読まれたゲームブログ管理人による、日本初のペイウォール型ゲームメディア。「20年代のビ… もっと詳しく
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#ゲーム

『SANABI』の真実 韓国文化と韓国社会から考察する「韓国ゲーム」の達成

2023年には多くの韓国発のビデオゲームが話題になった。インディーゲームとしては異例のヒットとなった『Dave the Diver』、リッチな表象でソウルライクを再解釈した『Lies of P』、ダンジョンクロールを対人ゲームとして落とし込んだ『Dark and Darker』などだ。しかし、こうした韓国産ゲームの中で筆者個人が最も評価しているのが『SANABI』である。 『SANABI』は韓国のインディースタジオ「Wonder Potion」によって開発された、ワイヤーフ

100本以上ゲームを遊んだJiniが選ぶ、2023年のゲームランキングTop10

2023年は21世紀のゲーム史においても2004年、2007年、2017年に匹敵する豊作の一年であったことは記憶に新しい。数々の話題作が発売され、一本がソーシャルメディアでバズっては、また別のゲームがその話題を塗り替え、そして忘れられていくサイクルを何度も目にした。 そうした一年の中で、私はのべ100本以上のゲームをプレイした。そしてこれほど遊んでいると、その中には言葉に窮する平凡な作品も多々あったのだが、ごく一部、こうした「バズ」の如何に関わらず、純粋に今も記憶に留まるゲ

ゲーマーが本気で語り合えるメンバーシップ「ゲームゼミ」を開設します

こんにちは。noteでゲーム批評マガジンの「ゲームゼミ」を主宰しているJiniです。 突然ですが、2024年2月1日から「ゲームゼミ」はnoteの新しい機能「メンバーシップ」としてリブートすることになりました。 新しい「ゲームゼミ」は従来どおり「ゲームについて、文化・芸術と等しく学ぶことで、ゲームを楽しみ、作り、発信する」を前提に本格的なゲーム批評を展開しながら、掲示板などコミュニティにもアクセスできる「スカラー」と、過去記事を読みつつより業界向け、専門的な内容を掘り下げ

大ヒットの「パルワールド」は盗作か? ゲームのパクりパクられ問題を整理する

1月19日、ポケットペアから発売されたゲーム『パルワールド』。発売から4日で販売本数500万本を突破するなど、インディーゲームの規模としては前代未聞のヒットを記録しており、ソーシャルメディアや動画配信サイトなどでも多数シェアされている。 もっとも、『パルワールド』のヒットは必ずしも歓迎されていない。その理由はゲームの参考画像を見れば一発でわかる。そう、明らかに「ポケットモンスター」シリーズに登場する「ポケモン」を意識したデザインの「パル」と呼ばれるモンスターが世界を闊歩して

「BF」「シージ」から「The Finals」へ 日本で知られない「環境破壊FPS」の魅力と進化を語りたい 

先日、満を持して正式サービスを開始した、マルチプレイFPS『The Finals』。筆者は本作の到来を心待ちにしており、何度かベータテストにも参加してきたが、実際、本作はすばらしい。「ゼルダ」「バルダーズゲート」など前代未聞のゲーム激戦区となった2023年だが、その中でも『The Finals』は一切引けをとらないどころか、同じほど歴史的に大きな意義のある作品だと思う。 しかし残念なのは、「The Finals」がFPS、それも「環境破壊FPS」というややニッチなジャンルに

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「クソゲー」の最大の被害者は誰なのか?

12月12日17時追記 『The Day Before』をプレイした。率直にって駄作である。Steamでは16000件レビューのうち80%が低評価という、恐らくSteam史上でも稀に見る悪評に納まっており、それ相応に批判を浴びている。 しかもこのゲームは、発売前から明らかに不穏だった。「壮大な割にえらく抽象的なコンセプト」「プロモーションだけはえらく立派」「延期に次ぐ延期」というフラグを役満状態で立てており、発売前から「大丈夫なのかこれ」という空気が予約購入者の間にはあっ

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ゲームを仕事にすることは幸せか?

「好きなことを仕事にすることは幸せか?」という、めちゃくちゃありふれた設問がある。 大体はこの後に「儲からないからやめろ」という経験論や、「好きなことを仕事にしたら嫌いになってしまう」という警鐘や(これはひろゆきが言ってたらしい)、「仕事をなめるんじゃない」という精神論に発展する。さて、こういう答えはどれも一定の理解はできるものの、筆者個人の考えとしてちょっと見方がズレてないかと思う。 結論から言うと、「幸せ」になるには「好きなこと」が何かによる、という話になる。これもあ

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『マリオワンダ―』の「おしゃべりフラワー」がいかに革命的か解説するよ

『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』(以下、マリオワンダー)をプレイした。なるほど、これは名作である。マリオ、というより2Dプラットフォームを今更になって任天堂がやるという意義を、作品のすべてを通じて達成しきったといえるだろう。 ただ今回「マリオワンダー」の中でも注目したいのが、喋る花こと「おしゃべりフラワー」である。本作は「ゾウマリオ」など新要素がありながらも、基本的には2Dプラットフォームという極めて伝統的なゲームジャンルの延長線上にある。しかし「おしゃべりフラワー」

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ゲーム文化は今ルネサンス期を迎えている? 美術史で考えるゲームの未来

「今のゲームはつまらない」 自分の友人はこう語った。そう思うのは彼の感性が劣ったからでは?そう邪推したものの、いや、今でも本当に面白いゲームはまるで少年のように夢中で遊ぶことができるし、中には少年期に覚えなかった感動もあるという。 では何故、かつてほど夢中になれないか。恐らく今、世間で発売されるゲームがどれも似たものに見えてしまい、業界全体で「煮詰まっている」ように感じてしまったせいかもしれない。 ゲーム産業の黎明期は、テクノロジーが進歩する度に実現できるアイディアが広

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シナジー論 ついハマってしまうゲームの作り方

※10/19 リプライと『StS』禁断のコンボについての追記  『Backpack Battles』がヤバい。知り合いのゲーム開発者が「これ面白いよ」と絶賛していたのでプレイしてみたが、気付けば土日のほとんどを寝食を忘れてプレイしてしまい、見事にハマってしまったのだった。  『Backpack Battles』のルールはこうだ。  たったこれだけである。このゲームに出てくる画面は①のショップと②の戦闘しかない。しかもプレイヤーが操作するのは①、つまりショップで購入し、バ

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出展側から見た「東京ゲームショウ2023」の感想

例年、東京ゲームショウはメディアとして取材することがほとんどなのだが、今年は初めて出展側として参加することになった。これは想像以上に面白い仕事で、メディア側からは見えてこないことも色々あったので、ちょっと書き留めておこうかと思う。 2023年のTGS総括まず今年の東京ゲームショウ全体の感想を少し話したい。コロナ禍やE3の開催中止、ソニーを含むプラットフォーマーたちの消極化もあって、昨今のゲームの展示会はどこも不景気感が漂っていたのであまり期待していなかったのだが、幸い今年の

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ゲハとゲームコミュニティの「貧困」

「「ゲハ」批判 2020年代のゲームビジネスを正面から考える」という記事を書いた。 まったくの自画自賛だが、よい記事が書けたと思う。記事がよいというか、誰かがいったん言語化して集積しておかなければいけないだろう文化資本の充足という点で、お忙しい業界関係者の方々に代わって労働したというのがよい(一応、公開前に何名か関係者の方の目を通して頂いている)。彼らに言わせれば、衆生の無知を指摘するは易いが、だったら何が正しいんだと訊かれるのは必定で、それにこたえるのも面倒だから最初から

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「ゲハ」批判 2020年代のゲームビジネスを正面から考える

注意:本稿は公開が遅れたことを鑑み、9月下旬まで「定期購読」の中でお読みいただけるようになっています。 ビデオゲーム、特に家庭用ゲームのビジネスについて正面から論理的に語ることが、いよいよ難しくなっている。 とりわけ日本国内ではゲームハードやハードメーカーに対する意見が、「ゲハ」と呼ばれるような、特定ゲームハード(ゲハ)に熱烈な情熱を抱くファンボーイ・アンチたちの抽象的・感情的な主張が、匿名掲示板からSNS、極めつけにまとめサイト(ゲハブログ)に扇動される形で拡散され、明

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ローグライク論 世界で最も美しいゲームデザインの一つを分析する

8/11更新:いただいた反応に対する返信をページ下部に追記しました 気付けば、「ローグライク」はメジャーなゲームジャンルとなった。とりわけインディーゲーム文化においてその存在は非常に大きく、インディーゲーム市場を見れば2~3割は「ローグライク」あるいは「ローグライト」的な要素を備えている。 筆者個人の考えとして、ローグライクは恐らく世界で最も美しいゲームデザインの一つだ。美しい、つまり完成されている。種々のルールがことごとくシナジーを生み出し、プレイヤーのゲームプレイの中

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