詩の部屋 20 (2023年1月7日投稿)

  ○ 58

庭へ行くとそこに大きなテーブルと二脚の椅子
窓からは死角で見えなかったもの
もう古くてすっかりボロボロで
私は恐る恐る椅子に腰を下ろす
テーブルには何かが写っているようで
よく見るとただの木目で
私はここでもずっとボーっとしている

  ○ 59

ぼんやりと庭木を眺めてから
もう一度庭のテーブルの上を見る
すると風が吹くたびに様々な文字が浮かび上がる
それは荘子なのかソクラテスなのか
ただ単なる誰かのグチでしかないのかもしれない、
天然パーマでぼさぼさ頭の男の…
よく見ようと目を凝らすともう何も無くて

  ○ 60

椅子から立ち上がって部屋の方を見る
壁際に真っ赤な袋があってそれを開けてみると
写真のついた小さな袋がたくさんある
そこに書かれた文字は読めないが
写真には色とりどりの花が写っている
袋を振るとカサカサという軽い音
見知らぬ花の種が微かな声で呼んでいるのが聞こえる

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