詩の部屋 7 (2022年12月21日投稿)

  ○ 19

詩の部屋から庭を見る
そこにはたぶん籐の椅子があって
その上には藤棚から垂れ下がった
たくさんの花が咲いているはず
でも聞こえてくるのはどうにも不似合いな
コンパイ・セグンドの歌声
猫はどうでもよさそうにあくびをする

  ○ 20

ぼんやりとソファに座っていると
思い出すのは校庭にあった
大きなすずかけの木
いや本当はそれほど大きくはなく
私が小さいだけだった
ふと机の上を見るとすずかけの実が二つ
あの日あの子に言えなかった言葉は何だったんだろう

  ○ 21

生まれてはじめて買ったレコード
レッド・ツェッペリンの「天国の階段」をかける
紅茶はダージリンでもセイロンでも何でもよく
牛乳だけで砂糖は入れないミルクティー
詩の部屋なのに言葉は減ってばかり
いつか地下から湧いてくるかもしれない
猫だけがずっと独り言を言っている

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