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【神話エッセイ】 スイカとモロコシ

夏が終わりに近づいた。

あんなに威張っていた入道雲はどこかに雲隠れし、大空に押さえつけられたような低空雲の隊列が西に東に群れをなしていくようになった。

朝方、犬の散歩するとやかましく聞こえていたセミの声はコオロギと鈴虫の混合合唱に変わっていた。

この夏の思い出といえば(思い出したくもないのだけど)、家から100mばかりいったところにある畑のスイカとトウモロコシが禽獣に食い荒らされたことだ。

朝の犬の散歩の途中、いつも無残に荒らされた畑を見るといったいどこのどいつが荒らしているのか、夏の間中に原因を突き止めなければと思った。

近所の報告で、畑のすぐそばを流れている斐伊川からたぬきがやってきたのを見たという有力な情報が得られた。

スサノオがヤマタノオロチを退治したときにできたという伝説の残る斐伊川にはいろいろな生き物が住みついている。夜、土手を車で走っていると、タヌキやキツネにしょっちゅう出くわす。

それなら畑荒しの犯人はタヌキに違いないと、憎しタヌキの思いを募らせていた矢先、同様の被害に遭った方がアナグマにやられたという怪情報を持ち込んできた。

アナグマ?

見たことないんですけど・・・

どうやらタヌキによく似ているらしい。うちの畑を荒らしたのはアナグマなのか・・・

まだまだこの地には、ぼくの知らない動物がうごめいているらしい。



古代の地理誌「出雲国風土記」は出雲の神様達の活躍も描いているが、基本的に地理誌なのでその土地土地の地形やら山、川、島など、今でも目にすることのできるものを詳しく説明している。

その中に当時の禽獣についても書かれている。ぼくの住んでいるところは昔でいうところの入海の範囲内にあるので、タイムマシンがあったら溺れているところである。それでも近い場所といえば、島根半島の楯縫郡に当たるであろう。

楯縫郡にも禽獣の記述がある。

ワシ、ハヤブサ、ハト、ヤマドリ、イノシシ、シカ、ウサギ、キツネ、サル、ムササビ。

野兎はもう目にすることはなくなったが、だいたい一度は目にしたものばかりである。しかし、ムササビはまだ一度もお目にかかったことがない。

調べてみると、ムササビははね(みたいなもの)を広げると座布団ぐらいの大きさになるらしい(モモンガとどう違うのかと思ったら、モモンガは小型で広げてもハンカチ程度の大きさだという)。いまでも島根半島に生息しているらしい。


ぼくの住んでいるところは平野部なのでムササビが飛んでくることはないだろうが、アナグマだけはなんとしても来年の夏までに捕らえて、スイカとトウモロコシの無念を晴らしたいところだ。

(ちなみにアナグマを捕らえると市から報奨金が出るらしい・・・本当?)



こちらでは出雲神話から青銅器の使い方を考えています。
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ヘッダー画像はれーもんさんの画像をお借りしました。ありがとうございました♪

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