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われわれのたたかいは終わらない

昨日、ぼくはTVを録画しないと書いた。だから見たい番組はリアルタイムでしか見ない。とてもすっきりしている。すっきりしているはずだった。

そんなぼくの矜持は長くは続かなかった。妻子ができると、とたんにぼくの流儀はとん挫し始めた。TVのチャンネル権問題がおこったのである。

子供が大きくなるにつれ、いろいろ好きな番組を見たいと言い出した。妻もドラマにはまっている。すると、TVのチャンネル権は妻と子供たちに次第に奪われていった。

「鎌倉殿の13人」ではないが、はじめは穏やかな秋の日の焚火のように静かに燃え上がったものの、次第にその火種は業火となり、ついには源平合戦へとなだれ込んでいった。ぼく(平氏)は妻子(源氏)の猛攻にあい、一の谷の戦い、屋島の戦い、壇ノ浦の戦いと連戦連敗を続けた。

そして、ついに一週間でたった一枠、日曜の夜8時からの「鎌倉殿の13人」だけは土下座をして死守することができた。ぼくのTVチャンネル権はもはやそこしか残っていなかった。しかし、それでもぼくは(象徴的な意味で)三種の神器だけは守ることができた。たとえ安徳天皇を失おうとも、三種の神器さえあればなんとかなるだろう。

というわけで、TVチャンネル権を妻子に奪われたぼくだが、なんとか「鎌倉殿の13人」だけは見ることができている。三谷幸喜さんにもほめてもらいたいものだ。



出雲神話で国を死守したといえば大国主命であろう。あれ、大国主命って「国譲り」のときに天照大神率いる高天原に国を譲ったんじゃなかったの、と思うかもしれない。

確かに「古事記」ではそう書いてある。しかし、もうひとつの帝紀「日本書紀」には別の記述がある。

国を譲るように迫る高天原からの使者の脅しを大国主命は「何を偉そうなことを言うか、それは断じて許さん」と毅然と拒否。
驚いた使者のフツヌシとタケミカヅチは高天原に退却し、司令塔の高皇産霊神(たかみむすびのかみ)の指示を受け下手に出る懐柔作戦に転換。国譲りの代償として、大国主命に幽界の祭祀権をはじめ、大きく聳え立つ神殿(出雲大社)を建設してもらうことを条件に国を譲った。

日本書紀1書第2

さらに古代の地理誌「出雲国風土記」母里郷の記述にはこう宣言している。

「自分が国造りして領有する国は天津神の子孫が統治するように任せる。ただ、この出雲だけは自分の魂を静かにとどめる国として青垣山を巡らし、玉のごとく愛して守ろう」

そう、大国主命は出雲だけは手放さなかったのである。こうしてわれわれ出雲人は大国主命に今も守られて静かに暮らしていけるのである(ありがたや、ありがたや)。



最近はみなスマートフォンを持ち出した。ご多分に漏れず、妻子もそれぞれスマホでいろいろな番組を見るようになった。ゆくゆくはTVを見る時間も少なくなっていくだろう。壇ノ浦の戦いで全滅を免れたぼく(平氏)は、今もTVチャンネル権の奪回(打倒源氏)を虎視眈々と狙っている。

まだまだこの戦いは終わらないのだ。



今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。 
 
よかったら、出雲大社にもいらしてください。

大国主命もきっとあなたを守ってくれることでしょう ♪

お待ちしています。



こちらでは出雲神話から青銅器の使い方を考えています。

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