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【神話エッセイ】秋の思い出 その2

みなさん、カラーひよこをご存じだろうか?

秋祭りの縁日で的屋がやってくるということを記事にした。

地元の小さな神社のお祭りでは2軒の屋台が出るのが精いっぱいだったけど、隣町のお祭りは盛大で(とはいっても田舎の中ではというほどのことだが)十数軒の屋台が境内を囲むようなお祭りであった。あるとき、カラーひよこなるものを売るお店がやってきた。

まだ小学生低学年だったぼくはそのカラーひよこに一目ぼれ、おじいちゃんにせがんで2匹買ってもらった。確か、黄色と赤色のひよこだったと記憶している。

カラーひよことは卵を産まないオスのひよこをスプレーで色付けして屋台で売っていたもので、動物愛護の観点から昭和の終わりには見なくなった(間違っていたらごめんチャイ)。ウィキペディアによれば、今でも海外では売っているところがあるという。確かにこどもは好きそうだもんな。

さて、そんなカラーひよこだが、劣悪な環境であるために購入してもすぐに死んでしまうことが多かったそうだ。しかし、ぼくのうちは、ぼくが小学校に上がるまではニワトリを飼っており、その飼育方法にたけていたため、カラーひよこ2匹はすくすくと成長していった。

昭和世代の皆さんでカラーひよこを買ったことがある方はご存知かもしれないが、カラーひよこはあっという間に成長するとともにすぐにカラーは落ちていき、ただのニワトリになってしまう。

ぼくはそのとき、「詐欺」ということばをおぼえた。

ただ、元気に育つ2匹を見ていると自然に情がわいていき、名前を「1号」、「2号」とつけて、暫し可愛がっていた(1号、2号とつけるようなところは今と全く変わっていないな)。

あるとき、小学校から帰ってみると、1号と2号が姿を消していた。

あれ?


「1号、2号はどこへいったの?」とおばあちゃんに聞くと、

「ほれ」と炭火で焼かれた若鳥のみそ漬けを指さした。

ガビーーン!!


考えてみれば、卵を産まないニワトリはいつまでも飼うわけにいかない。こうなる運命であったのかもしれない。この記事を書くまで、ぼくは(自律的に)ペットを飼ったことがないと思っていたが、おそらくこのときのことがショックで、その後自分からはペットを飼いたいといわなくなったのかもしれない(今、思い出した)。

しかし、意に反して、炭火で焼かれた若鳥のみそ漬けはうまくて、とても申し訳ない気がしたのを覚えている。これが「命をいただく」ということなのだろう。だからだろうか、TVの料理番組でコメンテイターが「わぁーおいしぃ」といっているのを見ると(彼らに悪気はないのであるが)、何とも言えない気持ちになってチャンネルを変えてしまう。よほどショックだったのだろうな、ぼく(こども)。



さて、秋の祭りということで神在祭の続きである。

よくカラーひよこの話から神在祭につなげたなと思うかもしれない(ぼくもそう思う)。


このときに海岸で迎えられるのは神様の使いといわれるセグロウミヘビを乾燥させたものである。

名前の由来は、背が黒いことから。腹面は黄色もしくは淡褐色で、色味は個体により黄色の強いものから象牙色に近いものまでかなりの幅がある。体色は全身にわたってほぼ二色にくっきりと分かれているが、尾部のみは黄色や淡褐色地に黒色、もしくは黒色地に黄色あるいは淡褐色の斑点模様、または太い波型の縞模様になっている個体が多くみられる。全身が黄色でまばらに僅かに黒色の斑点のある変異個体や、黒色部の全くない白化個体(アルビノ)も確認されている。

このセグロウミヘビの黄色はカラーひよこと違って、当たり前ながら洗っても落ちることはない、正真正銘の黄金色である。海を渡り歩くさまは、さすがに神の使いと思えるようなものだったのかもしれない。

だから間違ってもこのセグロウミヘビを食べてはいけないのである(誰も食べないか)。



今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。

神迎えの祭りでセグロウミヘビをじかに見ることはできませんが、
海で見つけた際は決して生け捕りにしないようご注意ください。

それでは次回も神在祭の話、続きます♪



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ヘッダー画像はどいさんの画像をお借りしました。ありがとうございました♪


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