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【創作】「デウス・エクス・マキナ」はご都合主義の代名詞ではない

デウス・エクス・マキナ。現代ではご都合主義展開のことを指す不名誉な使われ方をしているが、当時の古代ギリシャ演劇では神は人気キャラだった。

デウス・エクス・マキナは、古代ギリシャ演劇の舞台装置のひとつで、からくり人形の神のことである。神は芝居のいたるところに登場するが、オチで使用されたシーンのみを取り沙汰して、ご都合主義の代名詞に使われるようになってしまった。

さらに近年では、からくり仕掛けから意味を拡張して、機械神の別名にもなっており、どんどん実像からかけ離れていく一方である。

しかし、水戸黄門の印籠や、東山の金さんの桜吹雪、怪獣を倒して去るウルトラマンのように、一発で物語内の事件を終結させるアイテムや事象は枚挙に暇がなく、デウス・エクス・マキナだけがご都合呼ばわりされるのは、神への不敬である。

実際の演劇では、主人公を陰で手助けしたり、アイテムをそっと与えたり、あるいは主人公の濡れ衣を晴らしたり等、神話に登場する神々と同様に、人間を見守る存在だった。この機会に、人と神の距離が近かった時代に思いを馳せて頂ければ幸いである。

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