超時空薄幸児童救済基金・I

#小説 #連載小説 #ゲーム

(はじめに)

 マガジンの冒頭でも簡潔に説明していますが、奇妙な慈善団体に寄付をし、異世界で暮らす恵まれない少女の後見人となった「私」の日記です。

 こちらの、アルファベットがついているシリーズは、「私」が新たな寄付をして後見人となった、「ふたりめの少女」のシリーズで、「ひとりめの少女(数字がついたほう)」のシリーズとはシステムが異なります。

約二ヶ月の間に、時々届く少女からのメッセージ部分と、それに伴う「私」の感想部分が有料となります。届いたメッセージは、ひとつのマガジンに6回分(12通以上のメール+手紙を読んだ「私」の感想)が収録される予定です。

「ひとりめの少女」のほうを読まなくても、こちらだけで独立して楽しめるものにするつもりですが、両方読むほうが楽しめます(絶対に!)。

では、奇妙な「ひとりPBM」的創作物をお楽しみください。

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 メイシア・モーゲンストル商会が所有する唯一の貨物船、“フレッタ”号がハベンナに寄港してから、ずいぶんと時間が経っている。
 高価なトルヌカイの買い手を探すのに時間がかかってしまったからだが、おかげで老朽船のオーバーホール代金を稼ぐことができたようだ。
 トラブル続きとはいえ、商売がまあまあ順調に進むようになってからは、メイシアは両親の消息(恐らく、公的には事故による死亡として処理されている)を調べようとしている。交易だけが目的なら、割が良くて楽もできる周回航路にすればいいのに、彼女はジャンプ先を毎回変えて突き進んでいく感じだ。といっても、私にはあちらの世界の星系がどんな配置なのかは知らないので、ここまでのやりとりからの憶測に過ぎない。
 当面の目的地はネシールクだ。未払いの運搬費用を取り立てるついでに、両親のことを聞けるといいんだが。

 もしトルヌカイが全て売りさばければ、しばらく余裕ができる。
 ただし、オーバーホール代を工面するのと、船にエンジニアを雇うのとでは、同じ「お金がいる」でもかなり事情が違う。後者の場合、報酬を継続して支払うわけだから、ジャンプのたびに交易で利益を上げないと……。前回、その辺りをきちんと説明せずに「雇用すべし」とか焚き付けてしまったが、大丈夫だろうか……。
 もし支払いが続くと厳しいようなら、粘着質なオレイガンを追い払うためだけに短期契約でエンジニアを雇うという手もある。
 その辺、知らせておいたほうがいいかも……。


ジョン・スミスより メイシア船長へ

トルヌカイの取引成功おめでとう。船の整備を待つ間、残りのトルヌカイの売却にも努められたし。エンジニアの雇用は今後の資金運用が可能かどうかを慎重に判断すること。オレイガン元大尉への牽制としての短期雇用も視野に入れたし。ネシールクで必ずや御両親に関する有用な情報が得られると信じている。幸運を!

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