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思考のしおり

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2021年7月の記事一覧

古典は必要なのか、それとも不要か

W・H・オーデンという人を知っていますか。1907年のイングランドに生まれた詩人である彼は、こんな言葉をのこしています。 不当に忘れ去られている本というのはいくつかあるが、 不当に記憶されている本はない。 このことばとは、時代も言葉も国さえも、遠く離れた現在の日本では「古典を学ぶ意義」というものが疑問視されています。 試しに検索してみれば、「古典 勉強する意味」という候補が出てきて、その結果は約33,100,000件(Google)もの数にのぼります。「古典は本当に必要

大学生の考える「働き方」

「自分らしく働く」ということが理想的な姿とされることが多くなってきました。しかし、「自分らしく働く」ということはそもそもどのような意味を持つのでしょうか。 現代の標語就職活動の場、特に学生側の立場においても「自分らしく働く」ということばはよく聞かれるようになっています。そういった理念を持った会社こそが理想であるという理念はここまで浸透しています。 また、高度経済成長期における「仕事人間」のようなものが支持されなくなったことも確かです。一方でそのような考えが少し前の世代に根

20代の読書論 - 「自己投資」か「幸福」か

この文章は一種の「読書論」と言えるかもしれません。すでに読書についての記事や本は多くあります。ショウペンハウアーの『読書について』や、最近だと読書猿さんの『独学大全』が有名ですね。(余談ですが、このふたつは対照的な態度が見られると思います。) 上に述べたように偉大な先人の著作があるのは重々承知ですし、それらの恩恵もかなり受けているのですが、今回自分なりに考えをまとめておきたいと思います。読者の方々の考える素材にしていただければ幸いです。 読書の定義ここで一度「読書」の定義

「意識と本質―精神的東洋を索めて」を読んで

物事の「本質」というものは時代を問わず哲学の主題のひとつとして扱われてきました。プラトンのイデア論は言うまでもなく、またこれに対する考察だけでも数多くあります。 しかし、同じ「本質」についての議論で言えばイスラーム哲学や中国、日本などでのいわゆる「東洋」の思想について触れた本は比較的少ないものです。「東洋」という分類が正しいかはひとまず置いておくとしても、やはりこれらの思想は馴染みがないという人が多いのではないでしょうか。 また、最近はマインドフルネスや瞑想ブームで禅の考