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デザインのプロは、どこが違うか。

今日もデザインについて書いてみます。
イラストレーターやフォトショップなどのアプリケーションが
個人でも導入しやすくなったことで、誰でも
簡単にデザインができるようになりましたね。

デザインやクリエイティブが活性化するうえでは
とてもいいことだと思います。

その一方で、プロとの線引きが曖昧になってきた
こともあり、「表面的なデザイン」が増えているという
残念なこともあります。

今日は、デザインのプロの考え方の一端を
書いてみます。


1 気分や感覚に頼らない。

前回のエントリーでは、デザインは意味を伝えるものだと
いうことを書いてみました。
デザインをはじめるまえに、その基準や目的を明確に
しておかないと、妥当なデザインを選ぶことが難しく
なるからです。

それは、デザインを選ぶ時だけでなく、デザインを考える時にも
とても大切なことになります。

以前、こんなことがありました。

ふだんお付き合いがないデザイナーさんがロゴを
いくつか制作してくれたようで、クライアントに提案する前に
確認をしてほしい、と言われました。

ひとめみて「難しいな」と思いました。
デザインの技量以前に、そのクライアント、プロジェクトが
めざしていることと無関係なデザインばかりだったからです。

デザイナーさんに意図を聞いても
「今、こんな感じが気分かなって思います」という返事。
これはクライアントにも提案できないだろう、と判断しました。

結局、その後何度かのやりとりがデザイナーさんと
ありましたが、その仕事は実施されることがなくなりました。

もしかしたら、そのデザイナーさんは「感度がいい」のかも
しれませんが、趣味やアートではそれでもいいですが
ビジネスの現場では、おそらく通用しないと思います。


2 スケールでなく、見た目。

もうひとつ、実際にあった話をします。

ポスターを制作していたときですが、
とあるデザイナーさんがレイアウトしてくれたロゴタイプの
センターがズレていました。

「間違ったのかな」と思い、指摘したところ、
デザイナーさんからは「間違っていない」という返事。
よくよく聞いてみると、「イラストレーター のスケールで真ん中に
あわせているから、センター合わせにちゃんとなっている」という
ことでした。

デザインを学び始めた初心者の方が、最初に間違えるのが
「スケールの通り」につくってしまうことです。

アプリケーションには、画面上でセンターあわせにしたり
平行に配置できるような、便利なスケールが用意されていますが
それをそのまま、信じてしまうのですね。

パソコンの画面の見た目と、実際に出力、印刷された見た目は
違います。文字の形や文字組みのアキなどのより、人間の目は
数字上では真ん中に位置していても、真ん中とは「認知しない」ことが
よくあります。

「見た目であわせろ」ということは、
デザイナー初心者が真っ先に先輩から教わる原理原則ですが、
独学でデザインを勉強された場合は、こうした実践的な知識を
得る機会がないのかもしれません。

デザインに限らず、動画制作、編集などでも
プロにとっては当然とされている原理原則が無視されていることも多く、
こうした知見が埋もれないといいな、とよく思います。


3 近道は、ない。

僕は、アナログ時代から広告クリエイティブの仕事をして
いるので、それこそ、修練のような経験をいくつもしています。

「しなくていい苦労はしない方がいい」と思いますので
当時のようなキツい修業までする必要はないと思いますが、
デザインの仕事は、職人仕事の一面もあります。

たくさんの仕事をしながら、失敗もしながら
ある程度の時間をかけないと、相応の技術や知見は習得する
ことは難しいのではないか、と思います。

数十年前は「3年経験してからが一人前」と言われましたが、
現在は、アプリケーションもはるかに
簡単に使いやすくなりましたし、先輩も優しいし、
習得のスピードはもっと早まっているようです。

優秀な先輩が必ずしも指導者としても優秀とは限りませんが
スポーツでも同様に、優れた指導者の元で仕事をしたデザイナーは
それだけ習得のスピードも早く、また高い技量を身につける
ことができます。


デザインやクリエイティブは、個人の力量に左右される面が多く、
またその力量を見分けるのも難しい部分が多いと思います。
「センス」「感覚」が大事ではないか、と思ってしまうと
余計に判断しづらくなりますね。

目的ベースでロジカルに考えたほうが
じつはいいデザインを作りやすいのではないか、と
思わずにはいられません。


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