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事業承継では、何を承継すべきなのか?

今さらではありますが、日本経済を支えているのは
中小企業と言っても過言ではないと思いますが、近年大きな
課題となっているのが、事業承継です。
今日は、マーケティング視点から、事業承継の課題について
取り上げてみます。


1  日本経済を分断するマーケティングの谷間。

若い人には馴染みがない話かもしれませんが、
かなり大雑把に言えば、日本は戦後の高度成長を経て、
バブル経済、そして長い低迷期を経て、アベノミクスへと
つながってきた、という流れがあると思います。

戦後の高度成長期、バブル期は、マーケティングの工夫を
しなくても、モノがあれば売れました。あるいは、コマーシャルをしたり
とにかく告知をすれば売れたわけですね。
ところが、その後、デジタルシフトの流れと呼応するように、
かつての方程式は通用しなくなっています。

「こんな商品ありますよ、試してみませんか」
「こんなにいい商品、新発売です」

一方的な呼びかけでは反応してもらえない。そもそも情報が
届かない、ということは、今の皆さんはよくご存知の通りです。

現在では、このデジタル前、デジタル後で
大きな分断が生じてしまっているように、僕は感じています。


2 成功体験が強い企業ほど、変化が難しい。

では、それほど明確なことなのに、
なぜ企業は「変革」できないのでしょうか?

それは、過去の成功体験が強すぎたことが、大きな原因では
ないかと僕は睨んでいます。

歴史がある企業ほど、
このデジタルシフトで苦戦をしているようです。

かつての成功体験が強ければ強いほど、なかなかそれを変えようと
できないわけですね。それは、企業というより個人として考えても
納得できる話です。

サッカーで言えば、かつて成功したフォーメーションばかりに
頼っていると、いつか負けるでしょう。
ルールが変わった、環境が変わったことに対応しないでいると
劣勢になっていくのは、身の回りのいろいろなことを見てもわかります。


3 買収や統合より大切なこと。

僕はM&Aや税務の専門家ではないので詳しいことは
理解できていませんが、従来の事業承継といえば、
買収や統合、あるいは資金の確保などが中心テーマだったと思います。

しかし本来は、次の成長をどうやって確保すればいいのか、と
いうことが大事なはずです。
優れたビジネスモデルを持ち、利益率が高いビジネスであれば
事業承継も、そんなに苦労しないのではないでしょうか。

近年は、経産相がベンチャー型事業承継を後押ししている事例も
あるようですが、まだまだ一部の取り組みに見えます。

また、そのベンチャー型事業承継でも、「どうすれば新しい成長ができるか」という
課題については、結局は経営者本人頼みになってしまい、なかなか社会全体で
支援していけるような取り組みになっていないのかな、と感じています。

また、事業承継で悩む企業を支援する側の問題もあります。

買収や統合であれば、ビジネスモデルが
確立されているから、支援する企業も取り組みやすいでしょう。

しかし、新しいビジネスモデル、ビジネスアイディアは
前例があるわけでもないですから、実現までに時間がかかります。
支援する企業も、なかなか手をあげにくいのでは、ないでしょうか。


4 時間をかける、手間をかける。

身もふたもないかも知れませんが、
資金が潤沢な企業は別にして、そうでない場合は、
手間をかけて考え、時間をかけて育てる、という考え方が大事な気がします。

自分たちの強みは、本来、どこにあるのか。
今の自分たちがやりたいことは、何なのか。
他に誇れるものは、何があるのか。
10年後、どんな存在になっていたいのか。
社会に対して、どんな存在意義を持っているのか。

こうした問いかけをしていくことで、自分たちらしさ、
自分たちの強みが見えてくることがあると思います。

一人で考えていても行き詰まるので、
ワークショップやブレインストーミングなどがいいでしょう。
堅苦しく考えず、冗談を言いながら、
自由にアイディアを出すのがコツです。

ひとつ留意すべきこととしては、
お酒を飲まない、ということくらいでしょうか。

お酒を飲みながらビジネスアイディアを考えると
自由な発想になるのはいいのですが、
「ただの空想自慢」で終わってしまうことが多いです。
僕もかつて、自分でもそんなことが多かったので
自戒を込めて、素面でのワークショップをお勧めします。


5 強みが見つかれば、明日も見つかる。

あまり長く書けないので、概念的な話になってしまいましたが、
事業承継にあたっては、自分たちのブランドをつくる、という
目標設定がわかりやすく、次のアクションを生みやすいように感じています。

もちろん、新規事業にあたっては、マーケティングリサーチや
各種のデータ分析、インタビューなどの調べる作業はどこかで必要ですが、
分析や調査からは、アイディアが生まれない、と僕は断言したいと思います。

どんな調査分析やデータの裏付けがあっても
自分たちがモチベーションを感じられないことや自分たちらしくないことを
スタートしても、結局はどこかでうまくいかなくなるだろう、と
思うからです。


事業承継について、マーケティングのアプローチから
ひとつの考え方を書いてみました。
これ以外にも考えはいろいろありますので、
事業承継について、また書いてみたいと思います。


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