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ドイツ留学 #2.留学先の決め手

 ドイツで一応研究留学をしているアラフォーの臨床医です。現在ドイツに来て5ヶ月目で、一応病院の回診などに参加させてもらっていますが、言葉の壁で、本日もやや凹み気味。
 そんな中で、留学先をどうやって決めたかなどを書いておこうと思います。

✏️臨床家から、留学を決めるまでの話📖

 私は、日本で臨床医をしつつ臨床研究をしており、それをまとめた論文が国際誌に運良く載ったこともありまして、論文博士を取得できました。
 しかし、留学してみたいと思っていたときは英語論文0、もちろん学位も取れるかどうか分からず、普通に臨床をこなす日々を過ごしていました。

わかる人にはわかる日本の勤務先近くの神社⛩

 日本の大学附属総合病院で働く人はみんなそうかと思いますが、週に1-2回の当直、居残り作業、関連病院への外勤などしていると、月の休みは1-2日あるかないか。夏休みと年末年始に長期休暇を取れることには表向きなっていますが、オンコール当番がはいったりするので、実質休みはありません。
 給料も少なくて、やる気を維持するのは自分の臨床を形にすることしかなかった私は、専門医取得後にサブスペシャリティをとり、興味のあった患者家族教育などをおこないつつ、それを臨床研究として形にしていくようにして行きました。

 当初師事していた教授の思考が臨床第一、それに付属した臨床研究をやっていこうという方だったので、それに乗っ取り日々過ごしていたのですが、あろうことか大きな病気でいきなり引退されてしまいました。
 私の二つ上の世代の先生までは大学院に行ったり、その教授の指導のもとで学位を取る先生が続いていたのですが、引退されたらどうにもならず…しかし、まあ日々やれることをしながら過ごしていたわけです。

ドイツの施設で始まったプログラム

 そんな中、私の興味関心の分野として患者さんやご家族への疾患教育、それ以外の心理社会的な支援をすることが大きくなって行きました。
 日本語訳の本を読み、さらにトレーナーセミナーにも参加し、なんとそれがドイツ生まれであることを知り、ふと、そこに行って勉強してみたいと思いました。
 これが、留学してみようかしらと思った始まりです。

 語学の話はまた書きますが、私は英語が苦手でした。というか、語学全般がだめすぎて、言語IQがめちゃくちゃ低いのだろうと自己診断していました。なので、外国でなにかするとか、それまで思っても見ていなかったのです。
 しかし、この頃、日本での仕事が辛すぎて心因性の腹痛や肩こりが悪化するくらい、もう何か他のことをしたいとも思っていました。

 言葉の壁<<<研究活動(留学)
 たまたまこんなバランスに思考が変わったこともあり、留学に向けて動き出しました。

ドイツとのファーストコンタクト🇩🇪

 留学するにしても、相手先に許可を得ねばなりません。当たり前ですが私の勤務している大学病院で、行きたい施設と関わりがある人はおりませんでした。ドイツの大学との提携はあり、提携先の大学病院への交換留学はしていたようですが、そもそも、私が行きたかった施設は大学病院ではありませんでした😅

 しかし、その後も色々ご縁がありまして、心理社会的教育プログラム開発に関わったドイツの先生がなんと日本の学会にいらっしゃるということで、講演会の後にご挨拶をさせていただきました。これが、ドイツの先生とのファーストコンタクトでした。
 
 本当にたまたまですが、その学会では初めて発表賞なども受賞でき、自分の中でも大きな転換点になったかもと思っています。

 ドイツの人にはドイツ語で挨拶をした方が喜ばれるということも聞いていたので、とりあえず文法も何もわかりませんが丸暗記で覚えたドイツ語で、あなたのところに留学したいと言いました。その時よく覚えているのが、Wann möchten Sie kommen ?(いつ来たいの?)みたいなことを話されて、そもそも”Wann”がわからず、アタフタした記憶があります。そんなこんなでも、なんとか気持ちは通じました。
 その翌年もたまたま国際学会がタイであり、同じ施設のドイツ人の先生の講演の後に突撃をしました。さらに、懇親会のパーティーがあるということで、そこでもドイツの先生軍団に突撃をして行きました。今思えば、なんで何も話せないのにそこまで突っ込んでいけたのかわかりませんが、そんなこんなで、おそらくなんか日本から来たい人がいるようだというのは伝わったのだと思います。
 
 その年にドイツで若手向きの研修会があるということで、言葉ができないにもかかわらず、付け焼き刃ですが準備をして、夏に半月間ドイツの研修会参加と病院見学をさせていただきました。
 これがコロナの始まる前の2019年の夏の話です。今思えば、ここでドイツに行って無かったら、今の留学もなかったでしょう。

ロストック大学

 2019年の末までは2020年から留学できればという話をしていました。4月から行けるぞと思っていたところでコロナが始まり、こりゃ無理だという空気になり、延期となったのです…。

 今思えば、このコロナ禍の2年弱で、それまで書いていなかった英語論文の執筆や、学位取得、新たな研究活動の立ち上げ、新たな出会いや英語の勉強ができました。何事も遅い私にとっては良い準備期間だったかもしれません。

ドイツの病院近くの桜🌸

 というわけで、留学の行き先の決め手の話でした。私の場合はドイツに行こう、という気持ちから始まったわけではなく、たまたま行きたかった施設がドイツだった、という方が正しいと思います。
 なんであれ、行ってみようと思った時が大事だと思うので、何かやりたいと思ったら後悔しないように動いてみるのも一つかと思います。

 どなたかのご参考になれば幸いです。



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