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「無名」の脚本家の力を結集した、新しいプロジェクトを始めます。

和泉(@izumiscript)と申します。
映像ディレクター・映像プランナーの仕事をしております。
自分のTwitterとnoteを見ていただければ分かる通り、脚本家としての実績はまだ無く(20代は自主制作映画の脚本と監督を担当しておりましたが、それを実績と呼ぶのはさすがに憚られるので...)、むしろ複数のシナリオコンクールにチャレンジし、何度も落選しました。
ただ、何度落選しても、自分に才能と実力がないと思い切れず、諦め切れませんでした。

誤解を生むかもしれませんが、自分は”脚本家になるのがゴール”と考えていません。
人生の目標はその先にあります。
ただ、そのための通行手形として、シナリオコンクールでの受賞を目指していましたが、それは叶いませんでした。

そろそろ完全に断念すべきかと思っていた昨年6月、NHKが主催するWDRプロジェクトの発表を知り、震えるほどの感銘を受けました。
「世界を席巻するドラマを作る」という志の高さと、プロジェクトを主宰するディレクターの覚悟、企画説明の真摯さと公募Q&Aから滲み出るフェアネス。
「俺が求めていたのは、これだ」と。

応募締切までの6月から7月末の期間、「どういう脚本なら審査員にインパクトを与えられるか、選抜メンバーに選ばれるか」と、それだけを考えて試行錯誤し、課題脚本を練り上げ、7月末日に祈るような気持ちで応募ボタンを押しました。だが、望んでいた結果は得られませんでした。

その無念を解消しきれないまま、Twitterやnoteをぐだぐだ書き連ねていたところ、多くの方々から励ましのメッセージをいただきました。そして、今までは避けていた現役脚本家の方々や脚本家志望の方々と交流をしながら(無名で実績がなかったので自分には交流する価値が無いと思っていたのです)、冷静にこのシーンを見渡して、表層的ながら一つ気づいたことがありました。

『海外の脚本家や、日本の他の文筆業に比べて、極度にプレゼンスが低いのではないか』

ということです。

「執筆したもの=完成品ではなく設計図の要素が強いから」「リライトの比重が他のジャンルに比べて高いから」「他の文筆業に比べてコミュニケーション能力が重要視されるから」等々、職業構造としての特性はあるかと思いますが、「やっぱり脚本って重要だよねー」とその辺の中学生でも言っているのに、(ごく一部の方々を除いて)なぜ日本の脚本家のプレゼンスはここまで低いのでしょうか。

そして、現在の日本においては、ストーリーテリングの才能を持った人の多くは、漫画業界に集っていると言われています。
その理由は明白だと思います。業界全体が海外を現実的なマーケットとして見据え、クリエイター個人のインセンティブが明文化・可視化されているからです。

今後、日本が国家としての国際競争力を失い、経済がシュリンクしていく中で、もはや国内だけで映画やドラマの制作費(脚本費含む)をリクープするのは困難になっていくと思われます。

そしてブロックチェーンという技術革新により、Web3の時代となりました。
参加方法やインセンティヴの民主化など、従来の組織形態とはまったく異なる”DAO”という概念も誕生し、個人間の連携が、大企業を凌ぐ力を持つ時代が到来すると言われています。

脚本の才能というのは、“異様なテーマ発想力”、”異様に粋な台詞”、”異様な人物造形力”、”異様な構成力(展開と伏線回収)”などに主に現れますが、それは才能というよりは、”極限の集中力と情熱のゾーンで圧倒的な量の取捨選択を繰り返し、考え抜いているから”ではないかと自分は考えています。

そしてそれを実現するのは、個人の才能・力量だけに頼る必要はないのではないか、むしろハリウッドや韓国のように集団で補い合った方が完成度が高いものが生まれるのでないだろうか。

「自分の力だけでは見ることのできなかった風景に、同じ志を持つ仲間と協力して到達してみたい」

そして、その成果物という爆弾をこの世に投じてみたいというのが、このプロジェクトに対する個人的な欲望です。


このプロジェクトではDiscordを主体としたコミュニティ運営により、匿名での参加を可能とし、第一期においてはテーマを「“Transgressive(逸脱的)”」と規定することで、従来のシナリオコンクールと相性が合わなかった層の書き手を発掘したいと思っています。

また、完成脚本と企画書(成果物)をウェブサイトのSHOWCASEに陳列し、無名の脚本家とプロデューサーの方々を均等に繋ぐ、新しい接点を構築していきます。

そのほか、透明性の高いインセンティブ・プログラムの導入や、脚本開発チームとして日本初のDAO化を目指すなど、これらの試みが、日本における脚本家のプレゼンスの向上にも繋がるのではないかと願っています。

いまとなっては古臭い言葉となりましたが、”同志”を募りたいと思います。
共に、心を燃やしましょう。

https://www.u-s-d.site/

和泉(@izumiscript)
学生時代より、メソッド・アクティングの実践を取り入れたリアリズム演劇集団に参加
大学卒業後、バックパッカーとして世界一周旅行
帰国後、舞台の仲間たちと自主制作映画をプロデュース・ディレクション
その後、某外資系映画配給会社に入社し、マーケティング部所属の映像クリエイターとして勤務
現在はフリーランスの映像プランナー・ディレクターとして活動中
2023年1月、USD(Underground Scriptwiter DAO)をスタート

目標:日本発、アジア全域を巻き込んだドラマ・シリーズのショーランナーとして世界を席巻すること
信条:情況のリアリズム、隠喩表現、はぐれものを描く
好きな脚本家:ポール・ハギス、ノーラン兄弟、A.G.イニャリトゥ、長谷川和彦
影響を受けた映画:「ファイト・クラブ」「ダークナイト」「太陽を盗んだ男」
影響を受けたTVシリーズ:「ブレイキング・バッド」「パーソン・オブ・インタレスト」「バトルスター・ギャラクティカ」
影響を受けた小説:「百年の孤独」「コインロッカー・ベイビーズ」「グレート・ギャツビー」
影響を受けた漫画:「寄生獣」「ヘルタースケルター」「神々の山嶺」


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