2023.04 新潟から奈良へ
無事に、やっと、新しい生活。
小さい子供はメンタルが体調に出ることも多いが、
娘(3歳半)は今のところ発熱や風邪症状は出ていない。
その姿にホッと胸をなでおろす。
今回の引越しに娘を巻き込むことにおいて私と夫が意識したのはとにかく『未来は明るいんだ』という姿勢を貫くことだった。正直なところ大人としては不安や心配事はたくさんある(もちろん希望をもってのチョイスではあるが)。けれどもそういった不安や心配を子供の前では出さずに、とにかく明るい未来を描くことを徹底した。新しい土地、新しい家、新しい保育園、新しい先生やお友達。どれも楽しみでわくわくするものなのだと。あなたと新しい場所で暮らせることがとても楽しみなのだと。
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私は8歳の時に両親の離婚に伴って引越しをした日のことを今でも覚えているが、悲壮感漂う母を目の前にして不安や悲しみで口を閉ざす以外できなかった。友達や近所の親しくしていた人も見送りに来てくれていたような気もするがそういう記憶はごっそりなくて、ただただ薄暗い灰色に包まれた当時の家の風景だけが印象に残っている。『お母さんとお父さんは一緒に暮らせなくなったからあなたはお母さんとおばあちゃんと一緒に引越しするよ』と告げられた、食後のヨーグルトを食べていたあの朝から、いったいどれくらいの日数そこでどのように暮らしたのか。お別れ会のようなものがあったのか。ただただぼんやりしている中、昨日まで普通に話していた父となぜかうまく話せなくなってしまって、お土産に買ってきてくれたチョコレートのついたアイスも上手に受け取れなかったことだけ鮮明におぼえている。
けれども、大人になって自分も離婚を経験してみて、少なくともそれは幸せになることへの(今より未来を明るくするための)選択であるはずだということがわかった。そしてその選択をした親の態度や視点次第で『巻き込まれる子供のいまここ』は光が満ちている場所にも灰色のもやがかかっている場所にもなってしまうということもよくわかった。
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なのでこの引越しが決まった時に私は夫に前述の自分が経験したことを伝えて、とにかく我々は楽しみにしているんだという表現をしていこうと気持ちをひとつにした。あとは娘本人の受け取り方次第で、現実的なストレスは必ずあるはずなのでそうなった時には『そりゃそうだよね』と気持ちに寄り添っていこうと。周囲からは寂しい悲しいと言われることもあるだろう。もしかしたら、そうか、これは寂しいという出来事なんだと気付くこともあるかもしれない(寂しいと感じる気持ちが育ってくれるのは、それはそれでよいことであるのもわかっている)。
けれどもその時に、根底にある『パパとママが楽しそうにしている』という救いが、きっと娘にとっての戻る場所になるはずだと信じている。
寂しいという気持ちも
悲しいという気持ちも
あなたのことを愛しているという意味だと
本当に理解する日まで。
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