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歯科定期検診(メインテナンス)の奨め


今週はいずみ中山歯科が推奨する定期検診(メインテナンス)についてご紹介します。
まずは「3ヶ月に1度の歯科定期検診を推奨する理由」についてです。
食事などで歯に付いた汚れは食後8時間ほどすると細菌が付着してプラーク(歯垢)が形成されます。さらにプラークは約48時間(2日程度)で硬い歯石に変わり始めてしまいます。歯石に変わってしまうともうご自身の歯ブラシでは除去できなくなり、その後も細菌はどんどん増えていきます。
歯石は歯科で専門の機械を使って取り除きますが、歯石が多くの歯に付着している可能性が高くなるのが3カ月程度と言われていて、清掃しやすく、これ以上悪化しないように歯石を落とすタイミングとしてベストなのが3ヶ月程度とされています。もちろん、歯石が付かないように毎日丁寧に歯みがき(セルフケア)をしていただくのが最善の策ではありますが、どんなに丁寧に歯を磨いても全く歯石を付けさせないということは非常に難しいことです。
また、むし歯の有無を確認したり歯周病の進行を止められたりすることのできる歯科定期検診は、口内環境を整えられるのでトラブルの予防処置にもなります。
日本では痛くなってから歯科受診する人がまだまだ多いようですが、そうなると歯はどんどんなくなってしまいます。むし歯の治療で1度でも詰め物をすると、その継ぎ目の僅かな隙間にまたむし歯菌が入り込んで高い確率でむし歯(2次カリエス)が発生してしまいます。1つの歯の治療を繰り返すうちに最終的には抜歯になってしまいます。

そのため、とにかく口腔内にはトラブルを起こさないことが大切。トラブルが起きないように歯科衛生士による検査と清掃など(プロフェッショナルケア)をするのが定期検診です。
検診の頻度は患者様のお口の中の状態によっても変わりますが、いずみ中山歯科では、毎日の歯磨きが苦手でプラークの付着の多い方だと2ヶ月、歯磨きが上手でプラークの付着が少ない人は4ヶ月、通常は3ヶ月を超えない程度の間隔を推奨しています。
いつまでも健康な口腔内を保つため、毎日の歯ブラシやフロス、歯間ブラシを使ったセルフケアと歯科でのプロフェッショナルケアの両方が必要になります。

次に、いずみ中山歯科のメインテナンスの内容についてご紹介します。なお、メインテナンスの内容は各歯科医院によって異なります。
いずみ中山歯科のメインテナンスではまず歯周病の検査(歯周ポケットの深さ、出血の有無、歯の動揺度)を行います。その際、併せてむし歯の有無など歯の異常や口内炎など口腔粘膜の確認も行います。
その後、口腔内の経時変化を記録するため、口腔内写真を撮影します。なお、口腔内写真撮影と前述の検査は順番が前後することもあります。
次に、プラーク(歯垢)や歯石の付着状況から磨き残し箇所の磨き方などを指導する歯みがき指導を行います。歯みがき指導を受けることで、帰宅後最初の歯磨きから指導された箇所の歯磨きも意識しながら行っていただくことで、ご自身による歯磨きの向上につながっていきます。また、義歯やナイトガードもお預かりして洗浄するとともに、汚れの付着状況などからお手入れ方法を指導することもあります。
続いて、歯科衛生士による専門的機械的歯面清掃(プロフェッショナルケア):PMTC (Professional Mechanical Tooth Cleaning)を行います。PMTCでは、機械とフッ化物入りみがき粉などを使用して、ご自身の歯磨き(セルフケア)では落とせない歯石や磨き残したプラーク(歯垢)だけでなく、歯周ポケットの中の歯石やプラークを落とすためにすべての歯の表面と歯周ポケットの中のクリーニングなどを行い、むし歯や歯周病になりにくいよう口内環境を整えます。
PMTCでの最大の利点がこの歯周ポケットの内側のクリーニングです。歯周ポケットの内側はどんなに丁寧に歯を磨こうとも、ご自身では絶対に磨けない場所になります。なお、歯科衛生士は国家資格の有資格者で歯科医師の指示の下、歯科予防措置、歯科診療の補助、歯科保健指導を行う者で、メインテナンスは歯科予防措置として行われています。
さらに、処置中のいずれかのタイミングで歯科医師が確認に入り、歯ぐきと歯の状態を確認して、次回に向けて継続することや新たに取り入れた方が良いことの指導などを行います。その際、むし歯が見つかっていれば治療方針なども説明します。

最後に、むし歯予防として用いられるフッ素(フッ化物)塗布を行って、おおよそ1時間のメインテナンスが終了となります。
また、メインテナンス受診者には年に1回パノラマレントゲン撮影を行っていただき、口腔内からは見られない顎全体の状況確認も行っています。1年に1回撮影することで、歯槽骨の変化や目では見付けにくい歯の内部の変化も確認しています。
最後にメインテナンスを受けることで得られるメリットをご紹介します。
先にいずみ中山歯科が推奨する歯科定期検診(メインテナンス)についてご紹介しましたが、最後にメインテナンスを受けるメリットをいくつかご紹介します。
メインテナンスを受ける最大のメリットは、毎日の歯磨きだけでは落とせない汚れや細かい部分の磨き残しを落とすことができることです。特にご自身の歯みがきでは絶対に磨くことができない歯周ポケットの中のクリーニングは、むし歯や歯周病のリスクを大きく軽減するだけでなく、クリーニングを行うことで予防効果以外にも、初期のむし歯や歯周病の兆候に気づき、早期発見、早期治療に繋がるメリットもあります。
国内外の研究では、お口の病気が全身の病気に関係があることが明らかになってきています。なかでも歯周病は、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞、アルツハイマー病、妊婦の早産や低体重児出産にも影響を及ぼすことが報告されています。これらの全身疾患の予防に繋がります。
歯を失う原因の7割がむし歯と歯周病です。歯科予防先進国スウェーデンでは、80歳時の残存歯数が平均21本に対し、日本は12本。定期検診が義務化され国民の約9割が受診しているスウェーデンでは、その効果が数字に表れています。歯を守るメリットがあります。
東北大学が行った調査では、自分の歯が多く残っている人ほど健康寿命が長いことが報告されました。歯を失って噛みにくくなると内臓への負担が増したり、食べる物が偏って栄養バランスが崩れて免疫力や筋力が低下したり、認知機能にも悪影響を及ぼしたりしてしまい、寝たきりや要介護に繋がる傾向が強まってしまいます。
症状もないのに定期的に歯医者に行くのはおっくうだなぁと思われる方もいらっしゃるかと思います。毎回の検診やクリーニングにかかる費用も気になると思います。しかし、歯科定期検診を受けず歯が痛くなってから受診した場合、症状がかなり進行していることがほとんどになり、その場合、治療にも費用がかかるため、定期検診を受けていたほうが費用的にお得になることがほとんどです。治療による通院回数や治療時間も定期検診の方が短くなります。ましてや、歯の痛みは患者様にとって、もっともつらい負担になると思います。歯科定期検診で歯の健康を守ることでさまざまな負担から解放されます。
どこも悪くないのに、歯の検診にお金と時間をかける気持ちになれないという方も多くいらっしゃるかと思いますが、歯科定期検診を継続することで歯の健康だけでなく全身疾患の予防にも繋がるという大きなメリットがあります。ご家族でまだ歯科定期検診を受けていない方がいらっしゃる方は、ぜひご家族一同で全身疾患予防として歯科定期検診を始めてみてはいかがでしょうか。





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