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水分補給に潜む甘い罠1

今年もそうでしたが、近年は梅雨入り前から真夏日を記録することもあるなど、温暖化の影響か暑くなるのが早まり、また、10月になっても真夏日や猛暑日を記録することもあるなど、残暑も長く、暑さが長期間続く傾向にあります。
すでにテレビなどでもさかんに注意喚起が行われているのが「こまめな水分補給」。熱中症予防対策としてとても重要な対策法の1つになります。ただ、この水分補給で注意しないといけない点があります。
まずは、昨年もご紹介しましたがペットボトル症候群。医学用語としては「清涼飲料水ケトーシス」と言われるもので、これは飲料の中に含まれる糖分により急性の糖尿病のような症状を引き起こすものです。
どのようなものかと言うと、糖分を含む清涼飲料水を摂取すると血糖値が上昇します。これを正常に戻すために膵臓(すいぞう)から血中にインスリンが分泌されて、食事等から摂取して分解されたブドウ糖を細胞内に取り込みエネルギーに変えます。しかし糖分の摂取が急激に多くなってそれが継続されると、インスリンの働きが悪くなり、ブドウ糖を細胞内に取り込めずブドウ糖からエネルギーを得ることができなくなります。すると、体内では脂肪を分解してエネルギーの調達を始めます。この脂肪の分解の際にできる副産物が「ケトン体」と呼ばれる三種類の物質(アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトン)であり、ケトン体が非常に多くなったケトーシスという状態になります。
基本的な症状は糖尿病と同じです。急激な血糖値の上昇によりインスリンが急に多量に分泌されると、今度は血糖値が下がりすぎ、逆に低血糖の状態になることがあります。こうなると倦怠感(けんたいかん)や精神的なイライラを感じる症状がみられます。
さらに、意識障害も発生します。ケトーシス状態の症状は、倦怠感からはじまり、重症化してくると意識が朦朧(もうろう)となってきます。その後、ケトーシス状態を通り越すと、過剰な酸性であるケトン体のために血液が酸性化するケトアシドーシスと呼ばれる状態になります。この場合、脳への酸素供給が滞って意識や体全体の身体機能の低下を招き、最終的には昏睡状態、そして死に至るおそれもあります。
また、過剰な糖を薄めようと体が水を欲しがるようになり、これとともに多尿の症状も現れます。このときに、ふたたび糖分の入った飲み物を摂取してしまうと、悪循環に陥ることになるので注意が必要です。
なお、ペットボトルで飲むことが多いので、「ペットボトル症候群」と呼ばれていますが、糖分の入っている飲料であればペットボトルに限らず缶入り、紙パック入りなどでも同様に「ペットボトル症候群」は起こりますので、水分選びは糖分の低い物を選ぶように心掛けるようにしましょう。

一般的な飲料の砂糖含有量


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