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子どもに「死にたい」と言われたら ② 〜うつの時の身体に必要なケア〜

前回は精神面での事を書きましたが、今回は身体面での事を書いてみます。

身体の不調が元で心の不調になってる事もありますし、心の不調が元で身体に不調をきたすこともあります。
身体面も整えて、心が楽になるようにしていきましょう。

貧血・鉄分


成長期の子どもは鉄分を多く必要としていますが、充分に摂取できていない場合がほとんどです。
特に女性は生理で血液を失うため、生涯を通して貧血にさらされています。

貧血が原因で、うつになる事も珍しくありません。
知人女性は、長年強度のうつで、入退院を繰り返していました。あらゆる治療をしていたのですが、なかなか良くならず…。でも、ある先生が、隠れ貧血に気づき、貧血を治療したら、うつが治りました。

職業柄、産後のお母さんに会うことも多いのですが、産後うつの人が多くいます。
妊娠、出産で多くの鉄分が必要で、さらに母乳を作るにも多くの鉄分を必要とします。
お母さんの体は、鉄分が足らなくて足らなくて悲鳴をあげています。
産前産後のホルモンの変化、出産後の環境の変化、育児疲れや、睡眠不足もある上での鉄分不足です。
うつになりやすい条件が揃っています。
産後うつになる人が多いのも当然かもしれません。

成長期の女子も、ホルモンも不安定で、生理も始まり、鉄分不足でうつになりやすい状態です。
成長の為に、多くのエネルギーと鉄分と休息が必要です。充分に鉄分を摂るようにしましょう。

鉄分を摂るには、鉄分の多い食べ物を食べる事が一番です。肉、魚、貝類、卵、ほうれん草、小松菜、等を積極的に食べましょう。毎食後にプルーンを1、2粒食べるのもおすすめです。(便秘の人はもう少し多めに食べたら便秘も良くなります)

調理の時に、鉄のフライパンや鉄玉子を使うのもいいですよ。

そして、鉄分の吸収、造血の為に、同時にタンパク質、ビタミンC、ビタミンB12・B6、葉酸も摂取しましょう。

反対に、鉄分の吸収を阻害するコーヒー、紅茶、緑茶等は避けるか、時間をずらして飲むようにしてくださいね。

食べ物で摂取するのが一番いいですが、それだけだとまだ足りない場合が多くあります。
そういう場合は、サプリや医薬品を併用するのもいいかもしれません。
お医者さんが薦めてくれた「ビイレバーキング」というのも良かったです。貧血がかなり改善されました。第三類医薬品で、薬局等で売っています。
私は、処方された鉄剤は胃腸が荒れてダメだったのですが、「ビイレバーキング」は大丈夫でした。
他にも、「ファイチ」や「サジー」もいいと思います。

鉄不足は、本当に様々な症状を起こします。
うつもそうですが、パニック障害や学習障害、不眠、胃腸障害、皮膚症状が出たり、ホルモンにも影響が出たり、頭痛や体の痛み、、動悸、息切れなど、多岐にわたります。

鉄不足は発見されにくいです。
普通の血液検査をしても、隠れ貧血(貯蔵鉄の不足)の項目は入っていない事が多いです。
また、隠れ貧血の検査(貯蔵鉄の検査、フェリチン)をしても、日本の正常値の設定が低いので、たいてい医師に「大丈夫ですね」と言われてしまいます。
でも、貧血に詳しい医師なら、「フェリチンの値は100以上を目標に」とおっしゃいます。

貧血の事は色々ありすぎて、書ききれません。
また、調べてみてください。

とにかく鉄分補給をしてください。
親子共々に。

カルシウム

カルシウムも常に不足しがちです。
成長期と更年期以降は特に不足しています。

カルシウムが不足すると、イライラが増すといわれています。
漢方薬でも
、イライラや不安感、不眠等に使うものに は、カルシウムを多く含むボレイ(牡蠣の貝殻)や竜骨(哺乳類の化石)等が使われています。

魚、小魚、ワカメなどの海藻魚介類、豆腐、納豆、高野豆腐、小松菜、チンゲン菜など、意識して食べてください。
圧力鍋で、骨まで柔らかくすると、魚を丸ごと食べられます。
サバ缶や鮭の中骨の缶詰などを利用するのもいいですね。
カルシウムを吸収する為にビタミンDが必要です。きのこ類を食べ、日光によく当たりましょう。

骨を強くする為に、骨に刺激を与えるのも大切です。
つま先立ちをして、かかとをストンと落とすだけでも刺激になります。料理の合間などにもできますよ。骨粗鬆症の予防の為にも、おすすめです。

というわけで、カルシウムも親子共々しっかりとりましょう。

オメガ3系脂肪酸

私達が一般的に食べている油脂は、ほとんどがオメガ6系で、オメガ3系の割合は少ないです。
オメガ3系を摂ることでうつ病を予防したり、不安症が改善されたりしますので、オメガ3系の割合を増やしましょう。成人病予防にもなると言われています。

オメガ3系は、青魚に多く含まれています。
サバなどの青魚も食べるようにしましょう。
また、えごま油、亜麻仁油、しそ油もオメガ3系です。これらの油は熱に弱いので、料理の仕上げにかけるようにしてください。味は薄く、油っぽくないので、サラダにかけるだけでなく、煮物やみそ汁、お刺身にかけてもいいと思います。

トリプトファン

トリプトファンは、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの材料で、夜になると睡眠を促すメラトニンにもなります。
ですので、心の安定の為、良い睡眠をとるためにも、トリプトファンを摂るようにしましょう。

トリプトファンは、赤身肉やレバー、魚介類、魚卵、鶏卵、大豆製品、乳製品、米などの穀類、ゴマ、ピーナッツ等のナッツ類、バナナにも含まれています。
バナナと乳製品の組み合わせは、効率的にセロトニンを吸収できるので、おすすめです。

トリプトファンは、摂取した後、セロトニンやメラトニンに変換されるまでに時間をがかかるので、特に朝食でとれればいいですね。

日光と運動

太陽の光を浴びると「セロトニン」という幸せホルモンが作られます。
セロトニンが不足すると、睡眠障害や疲労感、うつにつながります。なるべく日に当たりましょう。
充分に光を浴びると、精神的にも安定してきます。

また、カルシウムの吸収に必要なビタミンDも生成されます。

適度な運動も、心と体のために必要です。

うつの状態が重い時には、日光を浴びたり運動をする事は難しいですし、休養が第一ですが、少し良くなってきたら、窓を開ける、ベランダに出る、散歩に行く等、無理のないところから始めていきましょう。

まとめ

鉄分、カルシウムを多く摂ることを心がけ、オメガ3とトリプトファンも積極的に摂りましょう。
バランスの良い食事を摂ることで、心も体も整ってきます。

ただ、無理強いしないようにしてください。

育児相談の時にも、「子どもが食べません」という相談はよくあります。
お母さんが真面目なかたで、「体にいいものを」と一生懸命にすればするほど、子どもは口を閉じてしまうことがあります。
そんな時、「食べても食べなくてもいいから、食事の時間をとにかく楽しい時間にしてください」とお願いしています。
お母さんが肩の力を抜いて、ゆったりと構えることで、子どもも食べられるようになってきます。

「せっかく作ったのに」と、知らない間にプレッシャーをかけてしまうなら、手抜きでもいいので、楽しく食べましょう。

食欲がない時は、野菜ジュースやスムージー、ポタージュスープなど、噛まずに飲めるようなものだと摂取しやすいかもしれません。
これならいける、という感じなら、なんでもミキサーにかけ、栄養補給しましょう。
また、ゼリー飲料やプロテインバー等を利用するのも良いでしょう。
また、麺類なら食べられることもあるでしょう。具をたくさんのせれば、栄養満点になりますし、もし麺だけしか食べられなくても、「少しでも食べられてよかった」という気持ちでいてくださいね。

無理強いせず、気長にいましょう。

お母さんも、ご自分をいたわって、うまく気晴らししてください。
ずっと同じ事を考えていると、視野狭窄をおこしてしまって、余計にしんどくなってしまいます。
難しいでしょうが、家から離れて楽しいこともしてみてください。

明日は明日の風が吹きます。

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