見出し画像

年間ベスト2022

とりあえず今年聴いたもの、かつ原則として今年リリースされたもの(例外あり、シングルあり)で40枚選んでみました。


1位から40位まで、アーティスト名-タイトル

1位 The Big Moon "Here Is Everything"


写真の部分のタイトルが間違ってるけどアルバムタイトルはこれです。3枚目のアルバム。スローイング・ミュージスからブリーダーズに繋がれたものがここにも生きてると実感する、着実に前に進んでいく姿はずっと見ていたいと感じる。独特のメロディセンスと分厚いハーモニーの組み合わせは唯一無二。


2位 Jordana "Face The Wall"

今年はこのアルバムと別にTV Girlとの共同名義のアルバムもリリースした多作なJordana、多作なのに前作から大きく足を踏み出した印象。ユーモアも感じられる歌詞と、ふわふわした歌声と、そして確かなソングライティング力。次はもっと良くなると確信できる。


3位 Bantam Lyons "Mardell"

リリースは昨年、これが2枚目のアルバムで今年はリリースなしだったけど、あまりにも良かったので入れました。ポスト・パンクは「わりと良いよね」みたいなバンドがちょくちょく出てくる代わりに「おおっ」となるのが中々出てこない。それがまさかフランスから出てくるとは思ってなかったので余計に「おおっ!」と驚いた。1枚目から遡って聴いてみたが、そもそもの完成度が高い。このギター・サウンドがどう発展していくのかとても楽しみだ。


4位 Noga Erez  "Industry Baby"


元々ヒップホップをあまり聴かない私の大好物なのがラップとホーンセクションの組み合わせで、アコースティックな楽器が入れば入るほどツボにハマってくるのでノガ・エレズは完全にガッツリ持っていかれた感じになっている。これはシングル曲だけど、アルバムはアコースティックバージョンやオーケストラでリワークしたものも出ていて、いくら聴いても飽きない。スーツ姿でステージに立つノガは中性的にも見えるし(本人はLGBTQ+とは全く関係ない人)、今までいなかったタイプの個性の女性ラッパー。ステージングからサウンドメイキングまで全てが規格外。


5位 Jessie Buckley & Bernard Butler "For All Our Days That Tear The Heart"

今までバーナード・バトラーのプロジェクトはいくつか見てきたものの、今回のこのアルバムには驚いた。これ以上の相性のパートナーは見つからないだろうという組み合わせ。最高のケミストリーから生まれた叙情的な楽曲の数々は寒い冬の厳しさを実感させ、そして暖めてくれる。この冬を越すのに必要な1枚(出たの初夏だけど)。


6位 Ber "Boys Who Kiss You In Their Cars"

Berは数ヶ月ごとにシングル・リリースを繰り返しているが、出す曲出す曲全く違う表情を見せてくる。このシングルも、予想していたものとは全く違う、エモっぽさも感じられるインディー・ロックで、サウンドのストラクチャーがソロ・シンガーのものというより完全にバンド・サウンドになってるところに驚いた。来年は腰を据えてアルバムを制作してほしいと切に願う。


7位  Mina Okabe "Every Second"

彼女もJordanaと同じく、今年大きくステップアップした実感があるシンガー。これ以降のシングル曲も良いので次のアルバムで大きく飛躍するのを期待している。


8位 Spill Tab "Splinter"


今年見つけたアーティストだけど数年前から遡って聴いているとどんどん変化していってるのが実感できる。初期のフランス語のトラックから、今は英語が定着してラップもするようになって、どんどん広がっていく枝葉がどこまで伸びていくのか、しばらく見守っていきたい。


9位 Isabel Pless "The First Noel"


フリーランス宅録シンガーソングライターの普通の限界がDTMでのトラック制作で、もっとリソースがあればもっといいものが作れそうなアーティストなのにと思っていたところにクリスマスソングのリリース。アコースティック・ギター1本で制作されたシンプルな作品であるからこそ、彼女の声や歌唱力が際立つ作品になっている。今年いちばん聴いたクリスマスソングになった。


10位 Editors "EBM"


ファースト・アルバムの頃から聴き続けているが、減速することなくマイペースに、だけど着実に前進していくバンドだと思う。このバンドの魅力はボーカルのトムの声の良さと印象的なギター・リフの数々だと思うが、今作でも健在。ここ10年でエレクトロニカの要素が拡大した結果、サウンドの幅も広がっている。この世代のポスト・パンクの最高峰だと思う。


11位以降について


17位から22位は全部女性シンガーのバンドまたはソロ。Soccer Mommyは既に人気を確立しているけども、次に来るのはPretty SickとBeach Bunnyだろう。特にPretty Sickは前作に引き続き今回のアルバムも印象に残る曲、繰り返し聴きたくなる曲が多かった。次こそブレイクに期待。Beach Bunnyも、自らをパワー・ポップ・バンドと名乗るバンドは今時珍しいので応援したい。エモとパワー・ポップって自分から名乗りにくいジャンルなので。堅実に成長していくタイプだと思うからじっくり見守っていく。

29位から31位はキャリアの長いバンド(The Smileは新プロジェクトだけどRadioheadだから)。29位のBloc Partyが無駄に成熟せず、成長を続けているのが素晴らしい。31位のSpoonもグラミー賞にノミネートされた。長く続けてきて遂に評価された!と思うのと同時に、私がSpoonを聴き始めたきっかけとなった、彼らがマージ・レコード在籍時代(2000年代)にレーベル・オーナーであるスーパーチャンクのマックのインタビューをした際「音楽の革新性について話したがる人は多いけど、Spoonみたいにいい曲を作り続けることだって充分革新的だと思う」と言っていて興味を持った時のことを思い出した。実際にその発言は的を得ていたと言える。彼らは30年近く、いい曲を作り続けてきた。こんなに革新的なバンドは中々いない。

1枚目から3枚目でいい作品を作ってくるバンドはたくさんいるけれども、長く活動していく中で常に新しい地平線を切り開いていく、新しい景色を見せてくれるバンドというのはどんどん減っていく。だからこそ、キャリアの長いバンドのいい作品はしっかり評価したい。




今日のパンが食べられます。