年間ベスト2023
もう12月もあと数日となりましたが今年聴いた今年リリースのアルバムで年間ベスト40枚を選んでみました。
今年聴いたもの、もちろん今年リリースのものもたくさんあったのですが、改めて振り返ってみると2022年リリースの作品を意外に多く聴き続けていたことに気付きました。
昨年の年間ベスト、今見返すと順位を入れ替えたいとかあれもこれも入れたかったとか1年経って結構心変わりしているのが個人的な反省点なので今年のは1年後見直しても「これで良し」と言えるセレクションになるようしっかり考えたつもりなのですが、2022年に関しては割と特殊な年だったように思います。
3年間というコロナ禍の間にツアーを予定していたバンドがツアーを延期せざるをえなかったりして、スタジオでの作業が中心になった結果でしょうか、コロナ明けのツアー前にリリースされたアルバムのクオリティがどれも高く、2023年になってからも繰り返し聴き続けたくなる作品がたくさんあったと思います。多分この先何年かして20年代を振り返る時に2022年は豊作の年として振り返られることになると確信しています。
そして2023年ですが22年と比較するとベテラン勢のリリースが多かったような気がします。もちろん若手や新たな発見もたくさんあり、今年もいい音楽に出会えたことを感謝しています。
1位 Bleach Lab
今までシングル、EPをコンスタントにリリースしてきたBleach Labが遂にファースト・アルバムをリリース。「遂に」「やっと」という言葉がぴったりくるくらい待たされた分、ファースト・アルバムにして既に納得の仕上がり。プロデューサーはboygeniusやPJ Harveyで知られるキャサリン・マークス。自分たちのサウンドを客観的に見られるからこその人選と言える。近年女性シンガーを擁するバンドの充実度が高く、今年も1位を選ぶのに正直少し迷った。3位、4位にも女性シンガーのバンドを選んでいるが、正直言って明確な差があるわけではない。だけど「次のアルバムへの確かな期待が出来るバンド」と考えてBleach Labを選んだ。繰り返し聴きたくなるだけでなく、次のリリースが楽しみで仕方なくなる、その面においていちばんワクワクするバンドだと思う。
2位 Parannoul
韓国のシューゲイザー・バンド(ソロユニット)。今年はスタジオ・アルバムとライブ・アルバムをリリースしている。昨年はAsian Glow、一昨年はAsian Glow、ブラジル系韓国人のシューゲイザー・バンドSonhos Tomam Contaの3バンドでのコラボ・アルバムなど、コラボレーション作品を含めてリリースが多かった。前作To See The Next Part Of The Dream も良かったものの、まだまだ演奏も歌もレコーディング・サウンドも含めて荒削りな部分が目立っていた。それが2年でここまで飛躍するとは驚きだ。ライブ盤の方は番外編で2位に入れたけれども
AOTYのユーザー・スコアでは圧倒的な支持を得ていて、24年はワールドワイドで活躍するバンドになると思う。今回のアルバムの5曲目Paradeのアレンジは00年代EMOを想起させつつ、過去の焼き直しにならずに今を映し出している。00年代EMOの再評価と第5世代EMOと呼ばれるバンドに注目が集まりつつあるが、「今」をきちんと切り取る、彼らのような音にこそ価値があると思う。
3位 Black Honey
英国、ブライトン発のインディー・ポップ・バンド。ちょっと不器用な甘さがクセになる。
4位 Slow Pulp
シカゴのインディー・ロック・バンドのセカンド・アルバム。ファーストのクオリティも高く、その後のシングルでも着々と階段を登っていくように成長を遂げていたから、このアルバムを心待ちにしていた人も多いと思うし、リリース後もいろんな媒体に取り上げられていた。来日が期待される。
5位 Albert Hammond Jr.
ストロークスのギタリストのアルバートのソロ5作目。引き出しの多さを誇示するかのようにさまざまなゲストとのコラボレーションでアルバートらしさと新発見を両立させてくる。40代になっても減速しないロッカーはそれだけで格好いい。
6位 Subsonic Eye
シンガポールのネオガレージ系バンド。今年初めて発見したんだけれどもこれが4枚目のアルバム。4枚目と知って納得するくらいの熟れ感とサウンド・クオリティがあり、熟れているけどこれからもっと加速しそうな予感がある。
7位 ALEXSUCKS
LA発のインディーロック・バンドのファースト・アルバム。パンク、00年代EMO、ネオ・ガレージなどの要素が細かくあちこちから飛び出すZ世代らしいサウンド。
8位 boygenius
フィービー・ブリジャーズ、ジュリアン・ベイカー、ルーシー・デイカスという当代きっての女性シンガー・ソングライターたちで結成されたオールスター・バンド。今年はコーチェラでのパフォーマンスも圧巻だったし、ずっと注目のバンドだったので年間ベストの上位にこのアルバムをあげている人も多いから多くの説明は不要だろう。オールスターが作った珠玉の作品です。
9位 Joni Île
フランスのギター・ポップ系シンガー・ソングライターのセカンド・アルバム。渋谷系ど真ん中ベタベタのギターポップ・サウンドが20年代のフランスからフランス語で出てくるのも面白いし、昨年のファースト・アルバムも良かったが、今作も、駄曲がない。ギター・ポップの多くと同様、演奏力は稚拙なのだが、駄曲は出してこない。これだけで推せる。
10位 Wednesday
今年のUSインディー・ロックで最注目バンドだったのがWednesdayだろう。シューゲイザーとカントリーの要素が絡まるサウンドは今年何回も聴き返した。
11位以降
12位-17位は全て女性シンガー(ミュージシャン)。12位はNYCを拠点にする日本人ジャズ・ピアニスト。トリオ編成で音のまとまりもよく、やりたいことがはっきりしている。13位は日米ハーフのシンガー・ソングライター。前作からの飛躍が大きく、驚きの変貌を遂げている。17位は本当はアルバムのアートワークを出したかったんですが、デビューしたてのインディー・シンガー・ソングライターでアルバムのアートワークが出せず。実際はこれです。
22、23位は英国のポスト・パンク。着実に前進している。27-29位はベテラン勢、特にQueens Of The Stone Ageは彼ららしさを明確に示しながら今の時代の音を出していってる。予想以上の出来。30位Slowdive、34位Blurや38位のLushのEmmaのソロなど、今年も才能あふれるベテラン勢の最新の音に触れられて大満足でした。39位のベイルートと40位のMitskiは良い出来のアルバムだったけど想定の範囲内に全て収まっていたのでギリギリ39、40位に。次は想定を超えてきて欲しい。
今日のパンが食べられます。