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泉 耀  ケアワーカー&・無聊をかこって無心で創作<詩・短歌及び(シネマ詠)・…

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泉 耀  ケアワーカー&・無聊をかこって無心で創作<詩・短歌及び(シネマ詠)・小説・箴言的エッセイ・心写絵>そして映画大好き・・・来年の春迄に第一歌集を出したいと思っております。 それにしても・・・noteに出会って良かった! ほんとうだよ!

マガジン

  • 老いがいのクリスマス 全

    グループホーム「認知症対応型共同生活介護」の日常をドラマティックに戯曲化しました。ケアに関わる皆さんに読んで頂ければ幸いです。

  • オイディプスとアンジェラ 第一部 光と闇

    『オイディプス王』は、古代ギリシャ三大悲劇詩人の一人であるソポクレスが、紀元前427年ごろに書いた戯曲で・・・テーバイの王オイディプスは国に災いをもたらした先王殺害犯を追及するが、それが実は自分であり、しかも産みの母と交わって子を儲けていたことを知るに至って自ら目を潰し、王位を退くまでを描く。 『ウィキペデ(Wikipedia)』より抜粋 この物語は1967年制作の『アポロンの地獄』 監督・脚本はピエル・パオロ・パゾリーニ・・・に触発されて描いたオィディプス王のその後です。

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世界が沈黙している

世界が沈黙している 時折、この時空に迷い込む 私は私自身の存在に気をかけず 生と死のあわいに息を潜める 世界が静かに佇んでいる 星が瞬くたびに、音を発していると 想っていた時があり、その音は 私の心臓と共鳴するはずだった 世界が沈黙している この重層的な闇は あらゆる人生の局面に 重く私を叩きつける 世界が宇宙(そら)にある そこでは、あらゆる音が・・・ 声が達することが出来ないで虚空に消える・・・ そして・・・・・・ まさしくその沈黙の果てに 心の裡に宇宙が視える

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      シネマ詠 参拾八 『俺たちに明日はない』一瞬の熱情委ね道行は愛の焔を燃え尽くすのみ

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        シネマ詠 参拾七 『タクシードライバー』無言にて切なさ背負い捨て身にて抗う怒り誰がためにある

        • Nosutarujikku novel Ⅱ 小雪 終

           その時、「K君、お願いお水を頂戴」と言われた。僕は「はい」と返事をして、コップに少し氷を入れて水を注ぎ小雪さんに渡そうとした。したたかに酔った小雪さんはコップをちゃんと持つことが出来ずにいて、「お願い、口うつしで飲ませて・・・」と静かにいった。  家先で出会ってから、小雪さんは一つの緊張の糸を緩めなかった。 だから、手紙を渡すタイミングが見当たらずここまで時を待っていた。”今”しかないと感じて、「手紙を預かっています。一寸待って下さい」と言って、そこを離れてバッグから手紙を

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        世界が沈黙している

        • シネマ詠 参拾八 『俺たちに明日はない』一瞬の熱情委ね道行は愛の焔を燃え尽くすのみ

        • シネマ詠 参拾七 『タクシードライバー』無言にて切なさ背負い捨て身にて抗う怒り誰がためにある

        • Nosutarujikku novel Ⅱ 小雪 終

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          1本
        • オイディプスとアンジェラ 第一部 光と闇
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        記事

          Nosutarujikku novel Ⅱ 小雪 ④

          「時間があるなら、少し話を聞いてもらえないかな?」 「ええ、いいですよ」 僕も少し話がしたいと想っていたので丁度よかったとその時は思った。 喫茶に入るとコーヒーを飲みながら、彼はどう切り出すべきかと言葉を探しあぐねていた。 「実はね、パリに行くことにしたんだ」 「へえ、それはすごいじゃないですか。 おめでとうございます。   小雪さんもいっしょですか?」 「いや、小雪には言っていない」 「言ってないて・・・それは・・・・・」 「うん、暫く別れようと思うんだ・・・ほんとうに世話

          Nosutarujikku novel Ⅱ 小雪 ④

          Nosutarujikku novel Ⅱ 小雪③

          そこでの初めての給料日、僕は小雪さんに電話した。電話には、彼女が出た。独特の声の響きですぐにわかった。 「僕です」 「ひゃあ・・・君。元気でやっている?」 「はい、仕事にも、この街にも慣れて来ました。午の仕事にも転職もし  ました」 「ほんとう・・・それはよかったね。で、今日は何か?」 「ええ、初めての給料貰ったので、この間のお礼をさせてください」 「無理しなくていいわよ、気持ちだけ頂いとくわ。私が奢ってあげるか  ら・・・ちょと待ってね・・・明日の夜7時3丁目の☆☆☆でわか

          Nosutarujikku novel Ⅱ 小雪③

          Nosutarujikku novel Ⅱ 小雪②

           翌朝、晴れ渡った街の公園で、夕方5時までどう過ごそうかと考えて、昨日買った新聞を読んでいると、劇場映画の欄に「メロディーフェアーとifもしも・・・」の二本立てで350円が目に入り、映画館に行くことにした。 小さな映画館はこれまた典型的な場末の名画座という風情で建っていて、またこのような感触を楽しむ自分がいた。 11時迄には、まだ時間があったので、夕方面接する会社を確かめに行った。 繁華街というより歓楽街にあるダンスキャバレーで、僕はここでソフトのバーテンの見習いという形で勤

          Nosutarujikku novel Ⅱ 小雪②

          Nosutarujikku novel Ⅱ 小雪①

          Ⅰ  釧路から札幌へ鈍行で半日あまり。夕刻、札幌駅に降り立つと、粉雪が少し舞っていて円錐計の塔の形をした街頭温度計が「只今の温度-3℃」と点灯していた。この街に流れ着くために、僕は約三週間に亘って道内を遊行し、有り金を殆ど使い果たしてポケットにはコインが数枚しか残っていなかった。 何故か最後の街は札幌と決め込んでいた。いや正直に言うと運河の街小樽との2者択一であったが、小樽までの運賃がすでに無く、選択肢は一つだった。  家路を急ぐ人達が、ターミナルを目指して、寒さに抗いなが

          Nosutarujikku novel Ⅱ 小雪①

          +2

          シネマ詠 参拾六 『ショコラ』 ショコラに秘めたる愛の清廉味わい尽くせこゝろの儘に

          シネマ詠 参拾六 『ショコラ』 ショコラに秘めたる愛の清廉味わい尽くせこゝろの儘に

          Nosutarujikku novel Ⅰ シスター葉子 次の章

          Ⅸ キングクリムゾンの <Lizard>の曲が脳内に谺しFarewell the temple master's bells His kiosk and his black worm seed Courtship solely of his word With Eden guaranteed. ・・・・・・」その調べに導かれるように 鐘が鳴り響き、木々がざわめき、風が波のように吹き渡り、僕は大きな楓の幹が枝別れした処に腰掛けて、自分自身が俯瞰されているような天からの視線を軆

          Nosutarujikku novel Ⅰ シスター葉子 次の章

          Nosutarujikku novel Ⅰ シスター葉子 賽一擲の章

          Ⅶ  再び夜、7時半過ぎ静かにドアを開ける。 やはり客のいないBarではオスカーピーターソンのJazzピアノが流れている。葉子は読んでいた本を下にして、僕を認めにっこり笑う。 「それにしても、何時も貸し切りですね」 「そんなことないよ、たまたま」 「たまたまなら良いですけど・・・」 「この間はごめんなさいね、体調悪くて・・・」 「いいえ、気になさらずで」 「でも・・・・・」 「でも・・・・・」 「君は、女心がわからん人よねぇ」 「どうしてですか?」 「ああいったシークエンスで

          Nosutarujikku novel Ⅰ シスター葉子 賽一擲の章

          Nosutarujikku novel Ⅰ シスター葉子 秋の章

          Ⅵ そうして、夏が過ぎて秋も深まり霜月になった。 ほぼ週1回のペースで夜、喫茶Jを訪れ酒を飲みながら、いろんな話をした。ある日夕方帰りがけに寄ると「今日はね、詩の朗読会があるの。友達の詩を読むお姉さんが来るの彼女舞台にも立つし、詩も書いているんだけどね。十数人は来るかな。よかったら少しいなさいよ・・・ね」 「はい、じゃぁ少しだけ」と返事をした。 7時を過ぎると三々五々人が集まり、詩のお姉さんが自身の詩集や谷川俊太郎の詩を朗読し始めた。モデルのような背の高いお姉さんは

          Nosutarujikku novel Ⅰ シスター葉子 秋の章

          Nosutarujikku novel Ⅰ      シスター葉子 夏の章   

          Ⅳ  予備校が運営しているビルの一階は、某大手の楽器店の音響ショールームとなっており、名だたるメーカーのスピーカーが綺麗に並べられていた。このショールームは、持ち込まれたレコードをプレイーヤーでジャンルに適したスピーカーで試聴できるサービスを行っていた。 担当は芹沢さんで、ロマンスグレーの紳士然たる人であったが、とても気さくで楽しい話もされるので、僕は時々LPを持ち込んでは、この空間で寛いでいた。数少ない高校時代の僕の友人に高橋君がいた。彼は現役で有名私立大を合格していたが、

          Nosutarujikku novel Ⅰ      シスター葉子 夏の章   

          Nosutarujikku novel Ⅰ         シスター葉子 春の章 

                Ⅰ   僕は桜が散り始め、葉の碧さがあざやかに映る春の日を、いぶかしげに、深いため息をつきながら、中之島公園を端から端までゆっくりと歩いていた。 時折、川面に揺れる光の漣を美しいと感じながら、もの思いに耽りながら歩いていた。 1970年・・・僕は二十歳の春を迎えていた。  初恋の彼女との訣別による痛手から回復するのに、僕は丸1年かかってしまったことになる。 彼女は大学という環境で大きく変わってしまった。でも、それは自然なことに違いない。 離れていく彼女を引き留

          Nosutarujikku novel Ⅰ         シスター葉子 春の章 

          オイディプスとアンジェラ                                エピローグ

           百日が過ぎた 黒い厚い布がゆっくりと解かれていった  オイディプスはとても眩しく感じた 正に漆黒の闇から暖かな光の繭に包まれているような感覚が浮き上がって来た 今まで以上に光を感じる 仄かな影絵のように浮きいでた形はより輪郭のある影として写り その存在を図ることが出来た 眼を休めたことで他の細胞とも繋がり少し働き出したのかも知れない・・・この感覚があるならアンティゴネに頼らずとも一人で行動出来ると確信した ほっと息を継いだ  アンジェラはエレナの指導によって演出の基本を

          オイディプスとアンジェラ                                エピローグ

          オイディプスとアンジェラ ⅩⅩ

          ⅩⅩ ディプ 海が視たい 海の碧が 空が視たい 空の蒼が     嗚呼 盲目になる前に もっと焼き付けておけばよかった 海が視たい 海の碧が 空が視たい 空の蒼が 光る波に海の碧のゆらぎ 澄み渡る空の蒼の静謐 海が視たい 海の碧が 空が視たい 空の蒼が 光と闇のあわいの色彩は 碧と碧 対極にあって 寄りそう     海が視たい 海の碧が 空が視たい 

          オイディプスとアンジェラ ⅩⅩ