長編小説 『蓮 月』 その一八
宿から暫く歩くと神社の参道に入った。石の参道は、碧の苔に挟まれており、夜には少し光って視える・・・点在する小さな社があるが、それらは遠くから礼をするだけに留めた。
白山中居神社の鳥居を過ぎると、九頭竜川の源流となる川が流れている。せせらぎを進むと皐月から水無月にかけて白い水芭蕉が視られるという湿地帯を越え、一の鳥居を越えて、川で参拝前の手洗いをした。
二人は声を掛け合うこともなく、自然に寄り添って同じリズムでゆっくり歩いている・・・なんだか呼吸まで共鳴しているような気に二人