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増える“コロナうつ” その対処法は…日本産業カウンセラー協会に聞いた

コロナ感染による生活不安が続く中、“コロナうつ”や“コロナブルー”になる人が増えている。どのような悩みや不安が多いのか、どう対処したらいいのか。日本産業カウンセラー協会のシニア産業カウンセラーで公認心理士の伊藤とく美(いとうとくみ)さんに聞いた。

○“コロナうつ”  は人によってさまざま

協会の相談室などに寄せられる相談としては①感染への不安と心配②外出自粛による体調不良とストレス③慣れないテレワークなど仕事の悩み④将来や経済面での不安…が多い。

1. コロナ関連として、やはり感染の不安・心配・恐怖が強いこと、そこから眠れない、何度も目が覚めてしまう睡眠の問題があるという状況でした。
① 外に出ると、マスクや消毒液を探してしまう。もう手に入って大丈夫だと思うけれど、買えなかったときの怖さがあり、どうしても売り場を覗いて買ってしまう。② 外から帰ったら手洗いと消毒を何度も何度も繰り返してしまう・・・など。

2.外出自粛で外に出られないため、運動不足や肩こり、腰痛、体の痛みなどが気になる。また、家族と一日中一緒に過ごすため、子供を叱ったり夫と口げんかになったりでイライラしてしまう。

3.テレワークだが環境が整わず、家族もいるため仕事がうまく進まない。上司との連絡や同僚とのやり取りもうまくいかずコミュニケーション不足で評価も気になる。

4.将来の不安、経済的な不安
職場が休業しているため、このまま仕事がなくなるのではないか心配。経済的にも厳しくなっている。家賃や生活費も今月分しかない。失業や転職ということも頭に浮かぶが、いろいろ気になることがいっぱいで考えることができない。


一方で、今までうつなどで服薬しながら職場に通っていた方からは、今のテレワークでほっとしている、通勤のストレスがなく、職場で同僚と接触しなくてもいい、上司とも少ないコンタクトですむのでこのままが有難いという声も聞かれます。

○“コロナうつ” その対処法は・・・

伊藤とく美さんは次のように対処するように伝えている。

① 今の状況ではストレスが多く不安や心配、怖いのはあたり前、人間として 正常な反応です。「ああ、私は今とても不安、心配で落ち着かないんだな。でもこんな状態では誰でも心配だし怖くていいんだな。これは当たり前なことなんだ。大丈夫」と自分に言ってあげてください。
また、自分の不安や心配な気持ちを言葉にして他の人に伝えることもとても大切です。「私はなんだかいろいろ気になって、不安で、心配で、落ち着かない、嫌になっちゃう」などと言葉で表現する。または紙に書いてみることも有効です。
苦しみや悩みを言葉にして話すことは、それを「心から離す」ことになるのです。自分のことも伝え、人の気持ちもしっかり受け止めてあげましょう。コミュニケーションをとることをどうぞ大切にしてくださいね。
② 今、自分は正確な情報を得ているか、適切な感染症対策をしているか振り返ってもらい、一緒に確認します。
③「ストレスが多いことは当たり前、生活のリズムを整える。食事、睡眠、運動、気分転換を定期的に行いましょう。」
④「今までにない体験と不自由な生活の中で、ご自身の生き方や人生を振り返り、今後の自分について考えてみるチャンスです。考える時間をもらったと思うのはどうでしょか」
自分にとって大事なものは何か、どう生きたいのか、何がしたいのか、働き方についても考えてみましょう。
⑤「職場の人や家族とのコミュニケーシを大切にしましょう。」
 自分の思っていることを主語を自分に「アイメッセージ」で伝え、相手の話を「傾聴」する。そして、自分も相手も大切にした「アサーティブなコミュニケーシ」を実践する。
アイメッセージ:私は〇〇と思います。主語を「私は」として自分の思いを表現する。
 「あなたは」という表現は、つい相手を非難したり攻撃したりする内容になりがちです。
⑥「人への感謝を口にしましょう。自分も認めてほめてあげましょう。」

自分で対処できずに困ったときはカウンセラーの力を借りることも選択肢。
日本産業カウンセラー協会では無料の電話相談も受け付けている。

「働く人の悩みホットライン」 03-5772-2183
開設時間:月曜日~土曜日 午後3時~午後8時 (祝日・年末年始除く)
相 談 料 :無料(通話・通信にかかる料金は相談者負担)
相談時間:一人1日につき1回30分以内
相談内容:職場、暮らし、家族、将来設計など、働くうえでの様々な悩み

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