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10年来ずっと体調の悪かった人間が、「認知行動療法」により少し元気になった話

ここ数カ月、独学で「認知行動療法」という心理療法について学び、徐々に自力で実践できるようになってきたので、その中で考えたこと・感じたことを綴る。

注意:この記事は心理学の専門家が執筆したものではありません。内容に誤りがある可能性があります。あくまで素人の個人の意見・感想としてお受け止めください。また、この記事を読んで認知行動療法に関心を持ってくださった方のうち、現在何らかの精神疾患を抱えている方は、必ず主治医に相談した上で本療法に取り組むようにしてください。


1. 私が認知行動療法を学ぼうと思ったきっかけ

元々、メンタルがあまり強くないな、という自覚はずっとあった。
小さなことでもすぐ気に病むし、もう忘れ去っても全く問題ない嫌な出来事をいつまでも引きずり続けてしまう。おまけに結構完璧主義者で、ちょっとの失敗でもとても落ち込む。

それによって身体の調子が悪いことにもずっと気づいてはいた。
学校や仕事を控えた平日の朝は、必ずお腹が痛くなるし、朝から外出した日には、夕方以降必ず頭痛と吐き気がする。1週間以上のまとまった休みが取れない限りは毎日微熱が出続ける。
でも人間誰しもそのぐらいの調子の悪さはあるもんなんだろうなあと、スルーしていた。

子どもの頃からそうやって過ごし続け大人になり、ずっと調子が悪いなあと思いながらも仕事をしていたけど、「最近特にしんどいことが多いなあ」と思っていたある週明け月曜日の朝、突然「もう働けない」と思い、急に動けなくなった。

とりあえず長めのお休みを取ることにし、病院にもかかったけど、処方いただいた薬は全く効かなかったり副作用が出たりで、合うものがなかった。これまでの人生であまりにも人に頼ったことがなさすぎて、人に正直に話すことができない(どうしても平気で強そうなふりをしてしまう)ので、カウンセリングも意味がないと思った。そうこうしているうちに、長めの休養により、一旦働いていた頃と同じぐらいまで回復はした。

回復したはいいものの、このまままた働き始めたら絶対に同じことを繰り返す気がした。同じことが起きた時に、次どうするべきか、そもそも同じことが起きないように予防する策はないのか、と考えていた時に、ネットでたまたま「認知行動療法」というワードを見かけた。認知行動療法は、病気の治療だけではなく予防的に活用することもできること、専門家以外の人に向けた本も出されていることを知って、私も認知行動療法について学んでみようと思った。

2. 私がどんな風に認知行動療法を学んだか

ひとまず、認知行動療法について専門家でない人に向けて書かれた本を何冊か読んだ。その結果、要点は以下の2冊組に特にまとまっているように感じ、この2冊は何度か繰り返し読んだ。

本を読んで、知識をつけるだけではなく、実践できるようになるための練習も必要だと分かったので、本の中で解説されているやり方・紹介されているワークシートを使って、繰り返し練習をした。

しばらく練習を重ねた後に、自分がさらに使いやすいように少しカスタマイズしたワークシートを作成したり、本から「ここは特に頻繁に目を通したい」と思う箇所を書き出して印刷したりして、全てファイリングし、自分専用の「認知行動療法ファイル」を作った。とにかくこのファイルを開けば見返したいものをすぐに見返すことができ、すぐに気軽にワークに取り組める、という状態をつくった。

3. 認知行動療法の概要

認知行動療法そのものについては、この記事を読んでくださっている方々にはぜひ上記の本を読むなどして正しい知識をつけていただきたいが、ここでもほんの少しだけ概要を説明する。

認知行動療法では、ストレスを感じた特定の状況を具体的に取り上げて、そのストレスに対する自分の反応を「認知」「感情」「行動」「身体反応」の4つに分けて整理する。
この4つは互いに関連しあっているが、そのうちコントロールできるものは「認知」と「行動」の2つであると考えて、「認知」と「行動」にアプローチするので、「認知行動療法」と呼ばれている(「認知」と「行動」のそれぞれにアプローチする方法は色々あるが、その詳細はここでは割愛する)。

この療法においては、まず自分の反応を表現すること(外在化という)が重要である。表現できないと整理も始められないし、その先の対応も取れないためである。ただ、これが慣れていないと意外と難しく、適切に表現しきれなかったり、下手に抽象化しすぎた言葉に自分で丸めてしまったりと、なかなか苦戦する。逆に、表現して整理できただけで、その先の対応を取らずとも、少しすっきりすることもあり、いかに表現することが大事かがわかる。

認知行動療法のフレームは知識として簡単に勉強できても、この外在化の部分で技術や慣れが必要な部分があるため、知識の習得だけではなく練習が必要になるというのが、認知行動療法の特徴なのではないかと思う。

4. 認知行動療法が自分に合っていると思った理由

私自身は元々、思考が頭の中をずっとぐるぐる回り続けてしまうという癖がとても強かった。それが故に、抽象度がかなり高いことを考え始めたり、一度マイナスな思考に陥ったりすると、そのまま調子を崩すことが多かった。

一方、この弱みの裏返しで、頭を使って考え事をすることや思考を言語化すること自体にはほとんど抵抗がなかった。また、与えられたフレームに従って物事を整理することも得意だった。

こんな特徴を持った私に、認知行動療法はとても合っていた。じっくり考えること、内省すること、言語化すること、整理すること、これらが得意な人は、きっと私と同じで認知行動療法がとても合うと思う。

もちろん、この特徴に当てはまらないからといって、認知行動療法に取り組むことができないわけではない。練習を繰り返せばだれでも身につく方法だと思うし、専門家(カウンセラー等)の手を借りて訓練するという方法も、とても有効なのではないかと思う。

5. 認知行動療法を実際に実践しはじめて感じたこと

認知行動療法について学び、練習し、自分専用のファイルを作り、日常の生活に認知行動療法を活かすことが定着してきた。

その結果、前よりは少し切り替えが早くなり、大きくメンタルの調子を崩すことがなくなった気がする。

もちろん強くストレスを感じることはあるし、辛いことはなかなか避けられないものだけれど、少し落ち込んで、落ち込んでいることに気づいてワークに取り組み、持ち直し、を繰り返して、大怪我をせずに済むようになったという感覚がある。一発ですぐに持ち直せないときも、「今なかなか持ち直せずにいるなあ」と状況をまず受け止め、時間をかけて対処することができるようになった。

「すごく元気になったよ!」というほど元気にはならないけど(人間そう簡単には変わらない)、「少し元気になったなあ」と感じている。

6. 今後取り組みたいこと

認知行動療法で定義されている「認知」「行動」「感情」「身体反応」のうち「認知」に着目し、「認知」のうちの、自分の思考の大元にある考え方や価値観自体(=スキーマ)にアプローチする、「スキーマ療法」という療法がある。

認知行動療法に取り組んでいると、毎回共通した認知を持っていることに気づいてきたので、この「スキーマ療法」も私にとって有効なのではないかと思い、今後は「スキーマ療法」にも取り組んでみたいと思っている。こちらも一般の人向けの本が出ているようだが、かなり長い期間をかけて取り組む必要がある療法らしいので、根気強く取り組んでいこうと思う。







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