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下田最前線⑩「空気感」という価値観

 のっけから、来年の年賀状(イラスト@いけみかなこ)で、ちょっと早いですが、、みなさんはこの絵から何を読み取りますか?
 ━━灯台、海、水仙、爪木崎、ミスチル『sign』のジャケットの灯台と答えた人は、かなりのミスチルファンですね。
 ここは下田の須崎半島の先っぽにある爪木崎。近くに皇室の御用邸もある。まだ愛子さまが小さい頃は、毎夏のように、天皇、皇后両陛下とともにお越しになっていた。
 半島というのは、半分が島ということだが、しかしこうした先っぽまで来ると、島と言われても、疑いようがない。景色の半分は海なのである。
 これから冬になると、海に近くなればなるほど温かくなる。なぜなら沖に黒潮が流れているからで、その暖流が、やわらい温かさを運んでくるのだ。
 海をのぞむ僕の家でも、氷など張らないし、ほとんど霜も降りない。もちろん山場に行けば、霜は降りるし、氷も張るのだが。
 椎など常緑樹が多いから、山は冬枯れもせず、水仙やアロエの真っ赤な花が今を盛りと咲き誇る。
 海に近いだけあって、今日など風がうなりをあげている。イノシシやシカがエサを探して里に下りてくることが多くなるのもこの季節だ。
 移住希望をするみなさんに、こうした下田界隈の季節の移ろいを伝えるのも、僕たちNPOの大切な仕事だ。人口減の中、移住者はウエルカムだが、客引きがささやくような甘言はいらない。あとは、ご本人が、この地をどう感じてくれるかによる。
 移住は人生にとって、大きな決断で、20年前に僕たちも、意を決して、人生の可能性を求めてこの地にやってきた。
 いったいどうして、下田に来たのか?
 この2、3年、下田を好きになったみなさんからちょくちょく聞くようになったフレーズがある。
「このまちの空気感、いいですよねえ。気持ちいい!」
 言われてみれば、僕も同じであった。
 空気感……調べてみると、2016年に乃木坂46の『空気感』という曲があった。作詞は秋元康だ。
 「空気感」という価値観で、人生を選択する時代になっているのかもしれない。

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