見出し画像

【30億円調達】 IVRyマーケのシリーズB to C to D

はじめに

こんにちは、 対話型音声AI SaaS IVRy(アイブリー)でマーケティング領域の責任者をしている泉山です。ニックネームはizuminです。

この度、IVRyはシリーズCラウンドにて、30億円の資金調達を実施し、これにて累計49.5億円の資金調達額となりました。

私がIVRyに入社したのは、2023年の3月で、前回シリーズBの直前でした。そこから、1年ちょっとで、無事シリーズCを迎えられました。私の担当領域であるマーケティング領域を中心に、この1年ちょっとで起きたことと、これから今回の30億円を用いて実現したいことを今日は書きます。

想定読者は、知見の社会への還元という意味で、これからIVRyの成長を追っていくような新しめのB to B SaaSスタートアップでマーケティングに取り組まれている方や、就職先としてIVRyのマーケティングチームに興味ある方です。

このnoteは全20回前後のリレー方式になっていて、今回は第3回です。第1-2回は↓です。明日出る第4回は、前職(freee)時代の同僚で、今はエンタープライズ事業の責任者をしているyamakenが書きます。あわせてご覧ください!


この1年ちょっとで起きたこと

MQLの推移と、組織の推移で簡単に振り返ります。

MQL推移

MQLは、MQLからの課金率を大きく落とすことなく、YoYで300%を超える伸び方をしています。そのファクターとなっているものを、概ねインパクトが大きい順に、ざっくり箇条書きで書くと以下のような感じです。いずれもまだまだ道半ばです。

  • チャネル開拓が進んできている

    • 従前から強かった検索面以外にも、高い課金率のリードをFacebookを中心とするDisplay面からも獲得できるようになった

    • 展示会チャネルの運用がかなり軽くなり(今は社員1人で回せるようになった)、出展回数も増えた

    • 運用工数に課題感はあるものの、メール系のチャネルも育ってきている

  • ユニットエコノミクスが証明されている but リソース不足で投資しきれていないチャネルにリソース配置ができている

    • 人が増えればトップラインがシンプルにあがるフェーズなので、とにかく採用命で、以下の組織推移に記載があるFTE以外にも業務委託の方のリソースも増強に増強を重ねてきた

  • サイト改善で、何度もブレイクスルーを起こしている

    • 常時地道なEFOやLPOを繰り返している

  • デイリーのチャネル別MQL予実管理&インパクトドリブンの施策管理がうまくはまった

  • 検索面で狙うキーワード・検索意図の拡張

    • 的のど真ん中な検索意図でなくても、セールスチームが強く獲得できているので、課金率が大きく下がらない近接検索意図に浸出している

      • 総務省の定める日本標準産業分類の中分類99業種中80業種で利用実績がある真にホリゾンタルなSaaSで、事例も多いので、受注できるユースケースが多いというのも大きい

    • 1年間のGoogleでのimpを数える単位が万から億になった

  • Mid-Enterprise領域の立ち上げがうまくいっている

    • インバウンドリードに自然に含有しているMQLが少しあった状態から、領域特化の施策 (BDR、ステークホルダーのみなさまからの紹介募集、代理店チャネル開拓、Facebook Ads)を実施したり事例が増えるたびに、インバウンドリードの成長率より高いペースで含有率が上がっていった

    • もちろん領域特化の施策からダイレクトにもMQL(飛び越してSALのことも多い)が増えている

  • 新プロダクト(新機能)で対応できるニーズが広がっている

    • AIを用いた新機能が年明けから正式リリースされ、他のブレッドと重なるチャネルの努力で、全体MQLの中で1割強のシェア分を新機能で純増させられている

わりと良いことが多い1年で、最終的なARRにもMQL成長は反映されて、それをご評価いただき今回の大きな資金調達に繋がったのだと思ってはいるものの・・・全部が順調で美しい完璧な積み上げになっているかというと全くそんなことはなく、幾度となく「オワタ」と内心思っていましたw

特にシリーズB直後にMQLの成長の踊り場を迎えたときは、かなり焦っていました。スタートアップなので、毎日が有事ではありますが、とりわけのっぴきならない有事ということで、全社のmtgで、正攻法で登れない(申し訳ない)ので、はしごもヘリコプターも使ってなんとか達成したいので、助けてくださいという主旨のことを発表しました。あんまり深刻になるとモメンタムを削ぐが、一方で実際に深刻なので、非常に難しい局面で、このときは情緒不安定で謎スライドを作っていましたw

その後、全社的にヘリもハシゴも供給されて、無事目標も超えられて、この組織なら、今後のどんな高い壁も乗り越えていけるだろうと改めて認識できました。今後も、みんなに頼りながら、Beyond the Wall(※IVRyのValueの一つです )して参る所存です。

組織推移

次に、組織の推移です。前職や(MECEな書き方でなくて気持ち悪いですが)今の役割も合わせて記します。また、みんなの名前にみんなの入社エントリーも貼るので、転職活動や組織づくりの参考にしていただけると幸いです。

前回の調達から増えた人は、

  • yagi:前職はマーケティング支援会社コンテンツマーケで、今はメールマーケ

  • taiga:前職はfreeeの新規事業のマーケで、今はエンタープライズ向けマーケ

  • sakurai:前職はペアーズのアプリマーケで、今は運用型広告と分析基盤整備

  • akira:前職はプレイドのコンテンツマーケで、今はSEO

逆に、それより前からいたのは、

  • imasaka:前職はリクルートのマーケで、今はSMB向けマーケと分析基盤整備とNクエリ(指名検索マーケ)

  • teru:前職はIVRyユーザー(入社時は未経験の第2新卒)で、今はSEOとサイトと展示会マーケ

  • izumiyama(私):前職はfreeeの色々のマーケで、今はマーケチームのマネージャー

です。

ご覧の通り多様なバックグランドを持った人が入社してきていて、その度新たな視点が注入され、人が増えれば成果も増えるというような1年でした。当たり前ですが、上述のMQL改善もこれらのみんながリードした結果です。

チームの年齢幅も経験幅もかなり広いですが、自分含め全員力強く成長しており、多くの人にとって成長しやすい成長環境だと思います。

前職freeeのCEOのblogで知った言葉なのですが、自分自身のキャリアを考えるときにも、「こうやって成長してきたし今後もそうしていきたいな〜」と実感を持って思える言葉があります。Googleの副社長やMetaのCOOを歴任したSheryl Sandberg氏が、当時のGoogleのCEOのEric Schmidt氏から掛けられた言葉です。

ロケットに乗れ。企業が急成長し、大きな影響力を持っているとき、キャリアはそれ自体で決まる。企業が急成長していなかったり、その使命がそれほど重要でなかったりするときは、停滞と政治がやってくるときだ。ロケットの座席を勧められたら、どの座席か聞くな。ただ乗ればいい。

Sheryl Sandberg To Harvard Biz Grads: 'Find A Rocket Ship'

偉大な会社から続々と名の知れた実力者の転職が相次いでいることから、巷では、「人材ブラックホール」と表現していただくことも増えてきましたが、まだまだ採用力の弱いスタートアップです。「いいからロケットに乗れ!」と内心思ったとしても、そんな雑なコミュニケーションはせず、みなさん個別の事情や思いに寄り添って、丁寧に毎日面談・面接をしております。もっともっと多様で強いチームにしていきたいので、是非まずはカジュアル面談をお願いします。しかし、ロケットではありますので、オススメです。


これから

次に、30億円の資金を活かしてこれからIVRyのマーケチームとしてやりたいことについて考えます。

会社全体としてのやりたいことは、先日のCEO・奥西のnoteを雑に意訳すると「ついに到来したAIシフトの時代に、顧客の業務フローに自然に馴染むAIによる補助輪を開発・提供していくこと」です。

ところで、日本で「クラウドシフト」と言われて10年以上経っている現在でも、(少なくとも会計ソフトについては)まだまだクラウド浸透率が低く、会計ソフト以外の分野においても似たような状況ではないかと思います。良いプロダクトを作っても、世の中に浸透させていくことは大変に困難であると、改めて感じます。

出典:freeeの2023年8月時点でのファクトブック(46p)
また前職freeeからの引用で、freee愛とアンラーニングできていなさが隠しきれず、申し訳ございません

スモールビジネス(※IVRyはエンタープライズ企業を対象顧客とした事業もあります)のXX業務に占めるAI浸透率という調査をしたら、きっと1%未満になるだろうと思います。IVRyがその浸透に現時点で貢献できているのは0.05%分くらいだと思います。これを、すごい速度で浸透させていくことが、IVRyのマーケチームとしてのやりたいことです。
それは事業計画においても、すでに織り込まれていて、ワクワクな思いもあれば、計画実現のためにブレイクスルーを起こし続けられるだろうかという不安も正直あります。
こんなときによく思い出す言葉があります。リクルートの現CEOの出木場氏がリクルートで高い目標に困り相談に来た須藤氏(現Kaizen Platform CEO)に言ったとされる言葉です。

「世界は、落下してるんだ」

「本来あるべき方向に向かって、世界は凄い勢いで落下してるんだ」

「色んな既得権益持った人たちが抵抗勢力になって邪魔するんだけど、それは重力に逆らうようなもので、あんまり意味ないんだよ だって世界が落っこちていくスピードの方が圧倒的に早いから」

「だからさ、その落下する方向を俺たちは見定めて先に落下してくべきなんだよ」

世界は落下している

深刻な人手不足の中、AIに補助してもらったり、業務を代わってもらったりしないと立ち行かなくなる事業者が今後、日本で、そして世界で、たくさん出てきます(詳細は先週のCEO奥西のnoteをご覧ください)。

重力に従って落ちてくる世界の少し先に回って、落ちてきた世界の人々がIVRyを見つけやすくしておけば、おのずとブレイクスルーは起きていくだろうと思います。

IVRyのプロダクトは、既存の電話機・電話回線はそのままで、今まで通りの電話をAIが代わりに対応するという「思いついた奥西すごい!」と言いたくなる特性を持っています。すでに全国にあまねく張り巡らせられている電話の道を活かして、落ちてくる世界を良い場所で、待ち構えます。

具体的にやりたいこと

抽象的すぎるので、もう少しだけ具体的にします。一言で言うと、「MQLをめっちゃ伸ばす」です。

SaaSの社会へのインパクトの大小は一般的にはARRで示され、その内訳は、

ARR=①MQL*②CVR(課金率)*③ARPA です(※)

※上述の通り世の中への浸透度がまだまだ低いことを理由に、新規獲得に振り切った雑な簡略化をしてしまっておりますが、実際には既存顧客のExpansionとChurnを考慮する必要があります。明日のyamakenのnoteではこのあたりの説明があるはず

前半の「この1年ちょっとで起きたこと」パートに書いた通り、①MQLはモメンタムをもって伸びているわけですが、ところでIVRyの本当のすごさは②と③です。

②については、上場SaaSでもほぼ開示していないので、比較しようがないのですが、IVRyはとても高い水準で、初めてこの指標を見たときは大変おどろきました。同じくB to B SaaSから転職してきているbizサイドの従業員も、だいたい腰をぬかしていると思います。

この背景は、プロダクトが強いこと、競合が少ない(少なくともバックオフィスSaaSのような競争環境にはまだなっていません)こと、SaaSのオペレーションの回し方についての知見が日本のスタートアップエコシステムの成長に伴い広く知れ渡り、それを自分たちに合わせながら装着できる優秀な従業員がIVRyには多いことに起因すると思います。

③については、上場SaaSはだいたい開示しているので、比較が容易です。IVRyと同じくスモールビジネス向けにもビジネス展開しているマネーフォワードやfreeeの開示資料で公開されているARPAとIVRyの実績を比べると、IVRyのそれは桁違いに大きいです。

MQLがYoY 300%に増えようが、CVRもARPAもほぼ薄まらずに成果を創出しつづけている、後工程のセールスチーム、カスタマーサクセスチームは、本当に強いです。

後工程の強度が証明されているので、マーケティングチームは、めいっぱい蛇口を捻ればいいのです。それに今回の資金を使っていきます。つまり、やりたいことは、一言で言うと、「MQLをめっちゃ伸ばす」です。

具体的に、ざっくり箇条書きで書くと以下です。

  • ユニットエコノミクスが証明されているチャネルを効率化しつつ限界まで投資

    • 限界とは、人件費も含む許容CAC限界で、限界ギリギリまで張っていく

    • (一般的に資金調達環境もよろしくはないので)特にコスト面の限界を保守的に設定してきているのでキャップを外していく

  • MQLより前のファネルで獲得し、良きタイミングでMQLとする仕組みの強化・スケール化

    • MQL前をIVRyではMALと呼んでいるがMALを低単価で大量獲得する方法を発明し続ける

    • Hubspotを使いつつも手動やハイタッチのオペレーションで模索しているところがまだまだあるので改善したい

  • 引き続き新しいチャネルの探索

    • 上述の許容CAC限界の設定変更で、出稿できる媒体が広がっている

  • (エコノミクスの証明が困難ではあるが)指名検索数の漸増角度を上げるような施策へのチャレンジ

  • プロダクトチームと連動した入り口プロダクトの開発

    • グローバルでの戦いも控えているし、いきなりAIに電話対応をやってほしいというような検索意図もまだまだ多くないので、セルフオンボーディングできて、かつ顕在的需要量が多い入り口プロダクトを作りたい

    • そのプロダクトの利用状況に応じて、適当なタイミングで、IVRyの有料機能を必要な人にだけオススメしていきたい

  • (クライアントにも将来提供する前提で、ドッグフーディングも兼ねて)電話での日々のやりとりデータを用いたMQL獲得

  • モニタリング基盤の強化

    • これは今回の資金によらずで、BigQueryに流し込んでいるマーケティング系のデータが、もうすぐでかなり精緻になります(今でもすでにだいぶモダンなモニタリングができていますが・・・)!楽しみ

  • 上記の実現をできるだけ早くするために&ここにリスティングされていない新しいアイデア(と実行力)を得るために、採用採用採用

    • 前職でもIVRyでも人の採用で、事業の成長角度が変わる経験を何度もしてきたので、今すでに強い人も、これからタケノコのように急成長していく人もいっぱい採用したい

    • IVRyの顧客層の広がりは大きく、それに応じてチャネルも訴求するべきコンテンツもフォーマットも広がりが大きいので、どんな人の経験も活かしやすく、多様なバックグランドのチーム作っていきたいので、少しでも興味あれば軽い気持ちで、カジュアル面談をお申し込みください

    • 世界を変えたいのに、まだマーケチームは7名しかおらず、チーム全員で、何をやるか決めていけるフェーズです。ぜひ一緒に、落ちてくる世界のみなさんに、効率的に見つけられる方法を議論し、決めて、実行しましょう。


おわりに

長くなりましたが、以上が、IVRyのマーケチームが経験したシリーズB〜Cと、今後のやっていきたいことでした。
これからIVRyの成長を追っていくような新しめのB to B SaaSスタートアップでマーケティングに取り組まれている方の発想のヒントになったり、就職先としてIVRyのマーケティングチームに興味ある方の想像が膨らんだりすることがあれば、嬉しいです!

このnoteを最後まで読んでいただき、IVRyのマーケチームに興味をもっていただいた方は、ぜひ私とカジュアル面談をお願いします!

では、また!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?