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「マンダロリアン」シーズン1の見所紹介

ディズニープラスで配信中の「スター・ウォーズ」シリーズのドラマ作品「マンダロリアン」をシーズンごとに、私なりの見所や楽しみ方と合わせて紹介していきます。

基本的に視聴済みの「スター・ウォーズ」初心者の方に向けた解説記事です。各エピソードのあらすじについてはなるべく「結末は見てのお楽しみ」という形で物語のさわりを紹介していますが、完全なネタバレ回避にはなっていませんのでその点ご注意ください。


新たなる夜明け

配信開始は2019年11月でした。1ヶ月後に続3部作シークエルの最終作となる「エピソード9 スカイウォーカーの夜明け」公開を控えた時期です。ディズニーの動画配信サービス「ディズニープラス」の目玉タイトルとしてこの作品が登場しました。

プロデューサーは社長のキャスリーン・ケネディ、スピルバーグ作品やアバターに携わったコリン・ウィルソン、原作者ジョージ・ルーカス(この時点では既に引退)のもとで共に「スター・ウォーズ」のアニメ作品を作り続けてきたデイブ・フィローニ、MCU第1弾「アイアンマン」監督を務めたジョン・ファブローです。ファブローは番外編の「ボバ・フェット」を含む「マンダロリアン」サーガのメイン脚本家です。彼自身も声優としてアニメ「クローン・ウォーズ」でマンダロリアンのプレ・ヴィズラを演じました。

映画作品には不参加だった詳細はこちら)フィローニが満を持して実写作品に参戦。

配信前の情報は非常に少なく、いま思い返せば「エピソード8 最後のジェダイ」と興行不調だった「ハン・ソロ」のあと、アニメ「レジスタンス」放送中というやや低迷期のリリースということで、初のドラマシリーズながらファンの期待値はそれほど高くなかったように記憶します。


第1話

第1話の解説についてはこちらの記事を参照ください。

ざっくり説明すると、物語は「エピソード6 ジェダイの帰還」から約5年後。
帝国が崩壊し、銀河の中央政府は「新共和国」に再編されています。しかし中央から離れるほど、世界は未だ戦後の混乱期という状況です。

舞台は銀河外縁部。大きな報酬をギルドに要求し、その引き換えにある人物の捜索を依頼主から頼まれるのが主人公の賞金稼ぎ、ジェダイや帝国とは対立関係にある民族 ”マンダロリアン“ の男です。

第2話〜第4話

クイールの口癖は「有無は言わせん!」

マンドーが連れ帰った孤児は第2話で秘めた力を発揮します。
視聴者の私達はジェダイを良く知っていますが、物語の約30年前にはジェダイが壊滅しているということから、マンドーがフォースの力を駆使するジェダイを知らないのはそうした背景からと推察できます。マンドーが幼少時にはジェダイは居たかもしれませんが、銀河の規模からするとジェダイの数は極めて少なく銀河の住民が彼らに出会う確率自体がそもそも低いのです。

「エピソード7 フォースの覚醒」より。
映画「クローン・ウォーズ」の台詞より。
マンドーも孤児と出会い運命が動き出す。

第3話では地下に隠れ住むマンダロリアンたちが登場。
このドラマの時代から10年程前の出来事としてアニメ「反乱者たち」ではマンダロリアンが団結し、惑星を支配する帝国に反旗を翻すまでが描かれました。その後、何か悪い事が起きたのであろう様子が覗えます。

マンドーの思い切った行動の動機は劇中でも語られていますが『孤児を拾ったらその仲間のもとへ連れ帰すか大人になるまで世話する』という彼らの教義に基づきます。仲間達の行動もそれを支持するものでしょう。

主人公が属する共同体は人に顔を見せるのは禁止など、とにかく教義に支配されています。これまでアニメ等で描かれたマンダロリアンと比べると異質な描写でした。しかしマンドーには教義以上の何かに突き動かされているような振る舞いも感じられ、そうした主人公の在り方はアナキンやフィン、バッド・バッチなど歴代のスター・ウォーズのヒーロー達にも共通します。

ところで「エピソード7 フォースの覚醒」で新共和国は簡単にファースト・オーダーによって壊滅させられますが、これは戦後に新共和国が大規模な軍縮を実施したためです。レイアが新共和国軍ではなく非正規な抵抗軍レジスタンスを組織していたのはその危機感からでした。
第4話に登場したキャラは元反乱軍特殊歩兵ショック・トルーパーでしたが、戦後の平和維持の任務が肌に合わず退職して傭兵として生きています。二人は帝国に故郷を破壊されたオルデラン人という部分も共通点です。

ドラマ「マンダロリアン」はまだ帝国軍残党が敗走する前の時期の出来事。


第5話〜第6話

このドラマが成功した理由の一つに、時代設定が近い旧3部作オリジナル・トリロジーの世界観と空気感を上手に再現している事が挙げられます。第5話ではお馴染みのタトゥイーンが映画作品の雰囲気そのままの形で舞台に。ルークを襲い、アナキンの母親を殺害したタスケンの山賊も登場しますが、彼らが凶暴なだけの存在というわけではない事も描かれました。あらゆるものの二面性を描くのも「スター・ウォーズ」作品の特徴です。

マンドーにはあるトラウマから「ドロイド嫌い」という一面があります。そのヒントは回想シーンにあるのですが、第6話でもドロイドへの警戒心と激しい敵対心、容赦の無い戦いぶりを垣間見ることができます。物語が進むにつれ彼のドロイドに対する心の変化も見所です。


第7話〜第8話

戦犯ギデオンは処刑されていなかった。
新共和国が早くも機能不全である様子が垣間見える。

第7話ではカルガからの提案に乗り、仲間を募り再びネヴァロへ。街はかつての帝国占領下の星々のような様相です。このネヴァロの街の変化もシリーズの見所になっています。

クイールがブラーグを連れていく事を条件にしますが重要な曲面で動物や自然に頼るのも「スター・ウォーズ」ではお約束の一つです。フォースの意志はあらゆる生命に宿るミディ=クロリアンを通じて世界に影響を及ぼします。キャンプでブラーグが怪鳥に襲われた際に、怪我を負ったカルガがグローグーに癒され心変わりする出来事もフォースの意志の介在があったのかもしれません。孤児が発揮した治癒能力は「エピソード9 スカイウォーカーの夜明け」でもレイが見せた技でもありました。

最終話となる第8話、事件はネヴァロから始まりネヴァロで一端の決着を迎えます。アーマラーが決戦に向けてマンドーにジェットパックを渡しますが、アニメ「反乱者たち」に登場したボ=カターン・クライズが発した名台詞「ジェットパックを付けたマンダロリアンは武器よ」を思い出した人も多かったのではないでしょうか。

クローン・ウォーズでは悪役だったデス・ウォッチがドラマでは英雄的に描かれる。

配信当時によく話題になっていたのが回想で描かれる「マンドーが孤児となった時期」と「マンダロア大粛清(千の涙の夜)の時期」です。
前者はマンドーの故郷を襲っているのが分離主義者の兵器であることや、彼を救ったマンダロリアンがデス・ウォッチの印を付けていることから30年ほど前のクローン戦争中の出来事と考えられます。
後者は「クローン・ウォーズ」シーズン7のマンダロア包囲戦と混同している人もいましたが、投入されている兵器の状況から帝国時代であり「反乱者たち」での抵抗運動が招いた過去10年以内の出来事と考えられます。

シーズン1はパイロット

振り返ってみると、シーズン1は第8話ラストのサプライズ演出を無くしてギデオン死亡で終わっても一応完結させられるコンパクトな作りになっているように見えます。低迷期の発進で、もしかすると人気が出なかったり叩かれたりという可能性も見据えての勝負だったのではないかと推察します。

令和元年のスター・ウォーズ事情。
著名人による映画作品酷評やファン引退表明などもあった。

それだけに続くシーズン2やシーズン3のような他作品とのクロスオーバー要素や銀河規模の大きな展開が少なかった点が良いとするファンも多いのですが、二人の逃避行が続くだけでは早々に飽きられたのではないかとも思います。元ネタの一つであるドラマや映画の「子連れ狼」もシリーズが続くほどマンネリ感はありましたので。ちなみに私は原作マンガとドラマの萬屋錦之介版と北大路欣也版が好きでした。「マンダロリアン」ロスで「子連れ狼」を見たことがないという人にはお薦めです。


スター・ウォーズはドラマの時代へ

「マンダロリアン」は大成功を収め、ファンの心を鷲掴みにしました。ディズニープラスの配信コンテンツの拡充という目的もあったと思いますが、以降は映画よりドラマ作品のリリースが続き「スター・ウォーズ」の新たな時代が幕を開けます。

シーズン2の見所紹介に続きます。


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