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「キャシアン・アンドー」7話の展開を振り返り

ディズニープラスで配信中の「スター・ウォーズ」のドラマシリーズ「キャシアン・アンドー」第7話の展開を振り返ります。記事は視聴済みの方に向けた内容となっています。またドラマの性質上、映画作品のエピソード1〜6 と「ローグ・ワン」の視聴済前提にもなっています。あらすじは「さわりだけ」を意識してなるべくサプライズ要素や結末は書かないよう心がけていますが、完全なネタバレ回避にはなっていませんので映画作品も含めて、未視聴の方はくれぐれもご注意下さい。

第7話 声明

デドラ、モスマ、キャシアン、シリルの4つの視点で展開

7話はシリーズのアーク構造から独立した単体エピソードになっています。
8話から再び3話構成のアークとなり、11〜12話でフィナーレ(監督は本エピソードのベンジャミン・カロン)となることをトニー・ギルロイが Empire Magazine の Podcast で語っています。

帝国保安局(ISB)の指導者であるユラーレン大佐が1977年の映画第1作以来実写作品に復活。アニメシリーズ「クローン・ウォーズ」では時間を遡り共和国軍時代にアナキン・スカイウォーカーと共に提督として前線で活躍していた姿が描かれ、「反乱者たち」ではISBの将校に転身した形で再登場して人気の悪役に。

ルーセンとクレヤ

要塞襲撃を受けて帝国が締め付けを強化、再犯令P O R Dを発動します。これにより銀河各地で抑圧が一気に強まります。それこそがルーセンの狙いでした。前回振り返りの読み通り、やはり資金強奪に加えてそれ以上の企みがありました。

帰還したヴェルと接触したクレヤも非情な一面を見せ、この二人が革命のためには手段を厭わない過激な思想を持っていることが明確に。キャシアン暗殺指示はゲイレン暗殺を命じた「ローグ・ワン」のドレイヴン将軍とも重なります。

モン・モスマ

襲撃を実行したルーセンに激昂したモスマは、そのリスクに対する警告を無視して銀行家テイ・コルマに協力を求めます。その場面、パーティで表と裏の顔を同時に描こうとしていますが、似たシチュエーションの「クローン・ウォーズ」パドメとクローヴィスのエピソードと比べるとシーン全体がちょっとゆるい印象。

アナキンの激しいヤキモチが見所のTCWシーズン2 第4話。

アナキンとパドメ、彼女の元カレであるクローヴィスの三角関係が描かれたこのエピソードではクローヴィスは明確に裏切り者でした。「ローグ・ワン」の小説にある15歳のモスマのロマンス(344p)の相手ではないかというファンの考察もあるテイ・コルマも既に帝国側なのではと勘ぐってしまいますが、衣装デザインがラルフ・マクォーリーによるオビ=ワン・ケノービのコンセプトのそれに似ていて意図的なものだとしたらまだ敵とも味方とも判断つきません。

2007年の30周年記念で企画・発売されたフィギュア。

シリル・カーン

ハーロおじさんは結局登場しませんでしたが、紹介でシリル・カーンは標準局(おそらく政府機関)に再就職。プリ・モアで制服をアレンジしたり、今回も面接向けに主張の強いスーツを用意したり、根は帝国民らしからぬ性格のシリル。

現在配信などで観れるのは2004年のディレクターズカット版(右)。
CGによる追加修正などが加えられています。音声解説がお薦め。

コルサントのシーンで気になったのは、クレヤがヴェルと接触に向かう道すがらで聞こえる「L-U-H-341」という放送音声ストームトルーパーの発するコードです。これはG・ルーカスのデビュー作「THX-1138」のヒロインLUH-3417(ルー)からの引用です。都市景観の見せ方や雰囲気が「THX-1138」を意識してるように感じていましたがこの演出で確信。主人公THX-1138(テックス)がディストピアを脱出したように、シリルも大胆な行動に出るのか?最近ルーカスはスピンオフドラマに対して全くコメントしないのでどんな感想を持っているのかも気になります。

キャシアン

相変わらずボンクラ気味のキャシアンが帰郷。ソロと違って彼の「俺のせいじゃない」は全然笑えません。妹の捜索も裏付けがあってのものではなく、彼の危うさが生んだ失敗から始まった連鎖は本人の知らぬところで銀河全体の問題に発展。

育ての親クレムとの別れの様子が回想で描かれます。
演じるディエゴ・ルナが子役とオーバーラップするため紛らわしいのですが、徴兵のストームトルーパーではなくクローントルーパーが現役なので時代としては帝国成立後間もない時期のようです。が、そうなるとアンドー夫妻との出会い前後になってしまうので、仮に5話で語られたシポ少年院の収容に関わるとするならドラマの8年前(13歳)頃となります。
ところがその1年前を描く「ジェダイ:フォールン・オーダー」ではクローントルーパーの姿が既に無いため、更に以前(10〜11歳頃)の出来事かもしれません。

最終的な年齢の推測は11話〜12話振り返りを参考下さい。

クレムは「共和国万歳」(=反帝国)を叫び投石する住民を宥めようとして銃撃に巻き込まれて死亡したようです。クレムの名を自ら偽名に選んだ事からも、キャシアンが現実を直視せず社会との関わりを拒絶する姿勢は敬愛するクレムの最期の言葉に基づいているのかも。故に反乱の意志を示すマーヴァとも道を違えます。

マーヴァを残しキーフ・ガーゴの偽名で女性を連れ観光客として二アモスに滞在。ロケ地はイギリス北西部のソーントン=クリーブリーズという街の海岸です。

騒乱に巻き込まれ、トルーパーに拘束されてしまいます。
このシーン、ドラマ「隔たる世界の二人」(Netflix)のように2020年のジョージ・フロイドさん死亡事件を何となく連想させるのですが、KXユニット(K-2SOとは同型の別個体)登場のインパクトが勝って意図は曖昧に。

自分が関わったアルダーニ要塞襲撃が招いた帝国の締め付け強化により懲役6年に処されます。ひどい負け犬人生。宿泊先に残したネミックの宣言書がISBに見つかったら・・彼の立場はもっと悪くなるかもしれません。

デドラ・ミーロ

本エピソードの主役と言えるでしょう。その優秀さで早々に事件の背後にある反乱組織の影を察知。ISB内での足の引っ張り合いで窮地に立たされるも、パータガス少佐の信頼を得て優位なポジションを手に入れます。努力が報われた彼女に共感した方も多かったのではないでしょうか。しかし身内同士の対立と裏切りが横行するISB、まだまだ油断ならない感じはありますね。


シリーズ全体を通して、それが善人か悪人かに関わらず最終的に「ローグ・ワン」や「新たなる希望」の出来事に至る流れに関わる人物(の衣装やアイテム)に「青」が用いられているように感じます。逆に「赤」はその流れから外れた事を示しているようで、カイバー・クリスタルと同様にフォースの意志/導きを間接的に表しているのかもしれません。「オビ=ワン・ケノービ」ではライティングにその傾向がありました。この法則、はたして合っているでしょうか?

次回の振り返りは第10話のあとで。
次のアークはエピソード1〜3を担当した「ブラック・ミラー」シーズン4の「宇宙船カリスター号」で知られるトビー・ヘインズが監督、脚本は「ハウス・オブ・カード」のボー・ウィリモンが担当。
これだけでも相当キツイ展開になりそうな予感が。。。


追記:(10/23)

アンドー

この作品、邦題は「キャシアン・アンドー」とされましたが原題は「アンドー」です。
本エピソードでは影の薄かったクレムが実は争いを止めるために割って入るようなモラルと勇敢さを持つ人間だった一端が見られ、マーヴァも秘めていた帝国への反抗の意志を顕わにします。一方でキャシアンは現実逃避を続け、未だに「ローグ・ワン」の彼らしい姿がありません。
3人を結ぶ「アンドー」というタイトルが示すのは、彼がヒーローに至る条件=クレムとマーヴァの意志を継ぐという事なのかも。

反乱の口火

帝国の締め付けが強化されたのが本エピソードの時点であるなら「反乱者たち」1〜2話はこの時点以降の出来事という可能性が大きくなりました。アルダーニでシンタが飛来するスターデストロイヤーを見上げる様子は「反乱者たち」第1話アバンのエズラ初登場のカットを思い出しました。ホロネットニュースも劇中に登場し、今後ロザルの情勢が報じられる場面もあるかも?


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