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スキーと登山の基地を建てた話

スキーに行こうと思ったら宿泊の予約をしなければなりません。
登山でも、山小屋に泊まるなら予約をしますよね。

でも、自分の基地・・・つまり、自分の別荘や山小屋があれば好きなときに行けるのに、と考えたことはありませんか?

その昔、こういうことを考えた若いサラリーマンが集まって、そういうアジトを建てた話を披露します。
高度経済成長の時代で、給与が毎年上がっていた良き時代でした。

コトは冗談のような話から始まりました。
私が、同じ会社の山好きの友人と、スキーとか登山用の基地みたいなものを作りたいな・・・と話をしたことが発端です。

その後間もなく、八方尾根の下の山林が分譲されているという情報がありました。じゃあ見に行こうと、その友人と面白半分に見に行ったんです。

場所は、八方尾根を下から見上げた左側。
田圃でも畑でもなく、一面のカラマツ林で、もちろん平地です。
正面に五竜岳が大きくそびえていました。
JRの駅名でいうと白馬(当時は信濃四谷)です。

売りに出ていたのは一区画100坪の分譲地でした。
多分一区画200万円だったと思います。
開発会社からは半分の50坪でも良いと言われました。つまり、100万円です。

この話を進めているのと同時に仲間を募っており、
14人(男性10人、女性4人)が集まっていました。

私は200坪を買って、値上げしたところで100坪を売り、その代金で家を建てようと言いましたが、今すぐ建てたいという意見が強く、そのようになりました。
しかし、すぐに建てて正解でした。お陰で、じっくりと楽しむことが出来たからです。

集めた資金は、男性一人30万円、女性一人15万円で、合計360万円。
かかったコストは土地が100万円、建物が230万円でした。

メンバーの一人の父上が建築士で、設計を頼めたこともあり、
建築費が安く済んだという幸運もありましたが、230万円でも木造の家が建ったんです。

1Fが居間+台所+食堂で一室、更に別室として二段のカイコ棚、風呂、トイレ。2Fが4畳半二間。1Fのカイコ棚に10人以上寝られたので、最大で20人位が泊まれました。

土地・建物の維持費としてメンバーは会費を払い、更に実際に使う場合は利用料を払うというルールを決めて運営しました。

出来上がった後はいつも誰かが利用しましたが、最も楽しかったのは建てているときでした。
建築中に何度か見に行きましたが、だんだん出来上がっていくのを見るのは最高に楽しかった。
そして、完成後は、もちろんスキーや登山用に本当に良く使いました。

しかし、メンバーもあちこちに転勤したりして、徐々にあまり使わなくなりました。
そのうちにバブル景気が始まり、我々の山小屋の周囲にも店舗が作られ、
ディスコまで作られるようになり、都会をひきずっているようになりました。
いささかウンザリしました。

しかも、各自独身だった身が、家族持ちになっていたこともあって、
行く人も少なくなっていきました。

しかし、そこに運良く、売ってくれと言うオファーがあったんです!
そして、話がトントンと進んで、売ってみたら何と1800万円!
30万円負担した男性メンバーの受け取りは150万円です。

もちろん、全員で分けて、各自税金を払って一件落着です。

経済の調子が良いと、普通の国民が色々と楽しいことを出来るという証拠みたいなものです。
いま考えると、本当にあんなことがよく出来たと、半分夢みたいな話です。

今のように給与が実質減少して、夢も希望もないような世の中に誰がしたんだ?責任者出て来いと言いたくなります!


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