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網洗いと神さまの差し入れ。

12月8日土曜日。

漁師は土日が休みじゃない。

祝日なにそれ、おいしいの。
いやいや、魚の方がおいしいよ。

獲る漁業にしろ育てる漁業にしろ、
毎日海に出るのが基本だ。

社員は順繰りに休みながら、会社は毎日動いている。
僕は週に2日休みをもらっている。

恵みの雨。

この言葉は漁師にとって2つの意味合いがある。

ひとつめ。

雨が降ることによって
山のミネラルが海に注がれ、

栄養豊富な海で魚たちが育つこと。

そしてふたつめ。

雨が降ると作業ができないから、
仕事が休みになる。

だから恵みの雨なんだ。

なんてね。

漁師界隈で冗談めかしに言われることだけど、
雨で休みになった試しはない。



さて

今日も朝、出荷。
積まれた魚は、鳥羽の相差まで走っていく。

僕はまだ中型トラックの運転ができない。
だから出荷が終わったら、海に残って使った筏を片付ける。

船の右側に筏を結びつけて運ぶ。

この筏のなかに鯛が泳いでいる。

鯛に負荷をかけないようにゆっくりと走る。
それは人間が歩くスピードよりもはるかに遅い。

急いだら魚が傷む。

僕が急いでいても、自然を急がせてはならない。
自然本位で生きる一次産業の世界のきほんだ。

筏を戻したら、網洗い場へ。

そう、今日も今日とて網洗い。
道中で弁天さんを拝んでゆく。

初めて網洗い場へ来たとき、
ジャングルへキャンプに来た気分がした。

潰れた作業小屋。

ここが網洗い場。
絶対ここでBBQしたら楽しいよ。

網洗いをするときは、
時間配分を考えてから始める。

なぜかって、

無心になってやっていると、
いつのまにか時間が過ぎていて、

しかも時間が過ぎていることに気づかない。

僕はひとりで網洗いをしているとき、
完全に自分の世界にいる。

どこまでを何分以内に終わらせれば、
予定通りに進む?

タイムトライアルをして、
仕事を楽しむ。

海の上で働きはじめて知ったこと。

太陽のあたたかさだ。

寒い冬の海で作業をしているとき、
太陽が顔を出すとその日差しがありがたい。

まるで神さまが差し入れをもってきてくれたんじゃないかって。

そんなことを思ってしまう。

2時間後。

終わり。

引っ掛けて、

吊り上げて、

船に積む。

それから陸の上にあげて、
もう一度網を広げて網の破れを点検する。

今日は陸にあげるところまで。

帰り道にちょっと寄り道。

今日宿に泊まりにきてくれるお客さんのために、
前日に漁で獲れた魚を用意しておくのさ。

ワラサとハマチとマトウダイ。
おいしく食べてほしい。

下処理だけ済ませて、
午後からは三重大学へ行って、

長靴を履いて話す。
貴重な機会。経験値あげる。

帰ったら宿にお客さんが来てる。
会いたい人がいるから、急いで帰った。

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