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海水魚が真水で生きられない理由を知り、生きることの本質に気づいた。

2018.6.22 22歳

東京から三重の漁村に引っ越してきて1年目。田舎暮らし初心者の僕には、まだまだ驚くことがたくさんある。つい先日、とあることが気になって夜も眠れなかった。

【海の魚が真水で死ぬ理由】

大雨が降った翌日は海に層ができる。表面に近い部分には雨水(=真水)が、その下に海水(=塩水)がある。

それらが風や波・潮流で徐々に混ざり合うことで、徐々に濃度が均一に近づいていくのだけれど、大雨が降ってすぐは、海水魚は表面の近くを泳ぐことができなくなる。

海水魚は真水では生きられないから。

真水の中で海水魚を泳がせていると、だんだんと身体が膨らんでいく。そして、ついには死に至る。

……なんで?

塩分の濃度が違う。身体の構造が違う。そんな説明じゃスッキリしない。この現象を理解しようとあれこれ調べていたら、人生哲学の領域まで掘り下げてしまった。そんな記事をどうぞ。

【魚は海水魚と淡水魚がいる】

川に住んでいる魚と、海に住んでいる魚がいる。前者は淡水魚、後者は海水魚と呼ばれている。説明することでもないけれど、川の水は淡水(真水)で、海の水は海水(塩水)だ。

淡水魚の例は、アユ・ドジョウ、コイ。海水魚の例は、タイ・サンマ・アジ・サバ・ヒラメ・ブリなど。

大切なのはここからで、淡水魚が海で泳ぐと死ぬし、海水魚は川で泳ぐと死ぬ。原因は、浸透圧である。

【自然界は均一になりたがる】

塩分濃度が違う液体が2つ以上存在していると、それらは混じり合うことによって均一になろうとする。具体的にいうと、塩分濃度の低い液体の方が濃度が高い液体のあるところへ入り込む。

このことによって生じる圧(濃度が低い方から高い方へかかる力)のことを、浸透圧という。

わかりやすい例は、お風呂。お湯に長いこと浸かっていると、だんだんと手足の指の皮がふやけてきて、シワシワになる。これはお風呂の水が身体のなかに入りこんできたことによって、水で膨れ上がった細胞が破裂している。

人間の身体のなかに流れる水の塩分濃度は0.9%。濃度が低い真水と接したとき、人間の身体はそれらの真水を身体のなかに吸収してしまうのだ。

魚の体内の水の濃度も0.9%。海水は3〜5%。地球上の生物の体には、人間や魚も含めて濃度が0.9%の塩水が流れている。つまり川で泳ぐ淡水魚たちも、お風呂に入った人間のように川の水を体内に吸収している。

だから淡水魚は身体のなかの水の量が多くなりすぎないように、泳いでいるときにあまり水を飲みない。

淡水を飲むのは少量に控えて、その中から必要な酸素や塩分を抽出して体内に蓄積。抽出が済んだ用済みの水たちは、おしっこにして大量に放出する。

そうしないと体内に水が溜まっていって、膨れ上がって身体が破裂する。あのお手手のシワのように。

【淡水魚が海で泳いだ場合】

ここまでの話をまとめると、淡水魚は外から入ってくる淡水を身体の外に排出するための放出機能が優れている。

そのため、海で泳いだ場合は脱水症状を起こして死んでしまう。

海水の塩分濃度は3.3〜3.5%で生物の身体のなかの塩分濃度より高い。ということは、水は身体の中から外へと出て行きます。それに加えておしっこも大量に流していたら、必要な量の水を身体のなかに確保できないわけだ。

【海水魚が川で泳いだ場合】

逆のことを考えてみよう。海で泳ぐ魚は身体の中から外へ水が出ていくから、大量の水を飲みながら泳ぐ。

ただし塩分を摂りすぎてしまうから、エラで塩を排出してから水を吸収する。そして塩分濃度の高いおしっこを少量する。

水分を身体の中にためる機能が優れた魚が淡水の中で泳いだら、体内に水を取りこみすぎて膨れあがって死ぬ。

だから淡水魚は海で生きられず、海水魚は川で生きられないということだ。

【生き物には定められた場所がある】

人間としての自分の身体を眺めているだけだと、特段感動する部分はない。それが当たり前だからだ。

しかし他の生物と比較して考えると、自分の身体が自分の住む環境に適応してできているということに気づく。

自分の身体は自然界で生き抜くためにつくられている。そう思うほど、よくできた身体であることに感動する。

生き物というのは、定められた環境に適応しながら進化してきた。そう考えたとき、僕は生きる場所というものは人それぞれに定められているのではないかと思った。身体だけでなく心や頭・価値観も含めて、自分がいま持っているものを十二分に発揮する環境は必ずあるのだという気がした。

海が教えてくれることはたくさんある。机の上とは比べ物にならないくらい、海の上の学びは深い。

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