僕でもアートや表現の世界に触れるのが怖くなる時について【インドア目線】
人と比べて・相対的に、
僕がアートに興味感心がある、マメ知識を持ってる…といっても、
そんな僕自身が、
アートや表現の世界を観たり触れたり、
作家さんなどと話す時に
躊躇してしまったり、少し気まずいことになってしまうシチュエーションというものがあります。
作品を観る側として、そして去年からは
作品を観る機会を作る側として、言えずにいたことを書こうと思います。
第一に、
時間がない・予定が詰まっているとき… 。
鳥取には何も刺激がないと思ってるくらいなら、
ギャラリーに行ったほうがいい
と唱えちゃっている僕ですが、
時間的に余裕のない日に、
強引にギャラリーに行って、
自分にも周りの人にも、
あまり気持ちのよくないことをしてしまったことがあります。
その日は、
このあとすぐに予定があるし、
会場におられる人とは、初対面というわけでもないし…
そんな理由で、
いつもは1つのギャラリーを見るのに30分近くはかけているところを、
10分ほどで鑑賞したことにしてしまおう…と
していた日でした。
(『僕は忙しいんです』的な雰囲気も、
恥ずかしながら、出してしまっていたと思います)
ふだん、僕の鳥取でのギャラリー巡りの時は、
・率直に自分が感じた雰囲気
・作家さんや会場当番の方から聞いたこと、話していたこと
・作家さんや会場当番の方から聞いた話をふまえて
自分の思ったこと
これらを軸に話をしたり聞いたり、
SNSに記録したりしますし、
展示会場を2周、3周したりもします。
(県立博物館だともっと時間と体力を使うので、
あくまでギャラリーでのルーティーンです)
※1周目:
「これは何ですか?」と他人に正解を聞かず、黙々と見る。
まずは自分がどう感じたかを自分の中に刻む。
2周以降:
作品の第一印象では気付かなかったところを見たり、
作家さん等とお話をしながら見る。
しかし、この日の僕は、
わずかな時間の中で、
なにかネタを持って帰りたかったのでしょう、
作家さんの経緯や、誰かからの紹介や、
新聞記事を参考に話しかけたりすることもなく、
「こういう作品を突き詰めて作ろうとすることのできる人は、
きっと◯◯なものを抱いているハズだ!」
と、
その人から話を聞いたわけでもないのに、
誰かからの紹介で知ったわけでもないのに、
まるで相手のイヤなとこを言い当てようとしたかのように
口にしてしまったことがありました。
相手の方は、こんな僕が、
記事の見出しのタイトルは決まっていて
当人からそれに沿ったコメントを言わせようとしている
安っぽい人に映ったかと思います…。
それ以来、僕は30分時間を確保できないときは、
ギャラリーには行かないようにしています。
自分は一見、作品鑑賞に行っているようで、
「自分と価値観の異なる人に会いにいっている」
「自分と違う発想に触れに行っている」ので、
たった10分じゃ
初対面の人と仲良くなれない・もっと話したいけど時間が足りない…
これと同じ感覚なのです。
アートに触れる≒「人に会いにいく」ととらえているぶん、
たまたま出会った僕と「相手」の間で起こりえる
「怖い」瞬間は、
次の3パターンです。
①相手の人と、何の話をすれば繋がるか、まったくデータがないとき
②相手の得意な話題に、自分が詳しくないとき
③自分の得意な話題に、相手が詳しくないとき
…あえてこういう書き方をしてみましたが、
これは アートやギャラリーで起こることに限らず、
日常で人と関わるときと、自分の中では同じことです…。
①相手の人と、何の話をすれば繋がるか、まったくデータがないとき
たまたま居合わせただけの人、
自分から確かに足を運んだとはいえ、
その場に居合わせた人と、話しはじめるのは緊張する…そういう場合です。
去年の助手席の話にもちょっと書いたことですが、
自分と相手の間には、
何かしらのキッカケでここに来た
何かの縁で、いま鳥取にいる
何かを見て、今日のイベントに参加しようと思った
という「共通の話題」があります。
僕がギャラリー巡りで、人と相対している場合は、
「僕と相手が目にしている作品」
という、共通の話題がありますから、
気になった作品などを切り口に、話をしています。
②相手の得意な話題に、自分が詳しくないとき
アートに詳しくない、相手の業界のことをあまり知らない…
心情として、②がいちばん、
「参加しにくい」とか、「気まずい」を
感じる場面かと思います。
僕も言ってしまえば、写真や書道、演劇などに関しては、
「わからない」部類の人間です。
だからといって、自分の守備範囲外だからその作品は見ない…ということはありません。
かなり年配の方で、鑑賞される方でも、
わからないなら、わかるフリをしない。話のキッカケとして、もう聞いちゃう!
というノリで、それを楽しまれている方もいます。
鳥取に移住された方で、アートに詳しくはない方でも
新しい世界を知ることができるからと
ポジティブに捉えておられ、
ギャラリーで何度もお見かけした人も、僕は知っています。
③自分の得意な話題に、相手が詳しくないとき
②をひっくり返した状態です。
②と③が表裏一体となっていることも、多いと思います。
かつては僕も③に直面したときに、
「でも、他に話すネタがないから…」と、
自分の中の引き出しの話ばかりするタイプでしたし、
その話が通じる人としか、人付き合いをしていませんでした。
しかし、ギャラリー巡りをしていくうちに、
相手自身にとってはあまり詳しくはないジャンルの話も、
傾聴してくださる人と出会うこともあり、
僕はいち人として、素敵な出会いをできた気分になれました。
幅広く活動されている作家さんは、
実は聞き上手でもあった…という印象が、
僕の中にはあります…。
~終~