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世界一簡単なFFPとチェルシーが選手を爆買いできた理由~マンチェスターシティの不正会計を添えて~

ごあいさつ

こんにちは、居酒屋fやんと申します。
この記事では一般サッカーフリークス兼マリサポの筆者がnote執筆の練習がてらサッカーに関して思ったことをつらつらと書いていく雑談記事になります。
2連チャンでマリノスとは関係のない話題、しかもサッカーの内容じゃないのですが、今回はヨーロッパのクラブの財務事情についてお話ししたいと思います。
非常に興味深い内容なので、ついつい皆様と共有したくなってしまいました笑
暇つぶし程度に読んでいただければと思います!

FFP(ファイナンシャルフェアプレー)

先日このような記事がSOCCERKINGによって公開されました。

記事の内容を要約すると、欧州サッカー連盟UEFA(ヨーロッパのサッカーを管轄している組織)によってサッカー選手のクラブ移籍の際の契約年数に関するルールが変更されましたよという内容です。

そして記事の中ではイングランドプレミアリーグの名門クラブチェルシーの選手の爆買いがこのルール変更の原因だよ、とも説明されています。

変更されたルールを大まかに説明するとはこうです。
今までは選手との契約期間に制限は設けていなかったけど、これからは実質最長5年までの契約しかしてはいけません。

上記は厳密にいうと少し語弊がある言い方なのですが、後ほど捕捉したいと思います。
ヨーロッパのサッカー事情に詳しくない人からすると、なんのこっちゃ??という話だと思います。
5年契約って長くない?規制しなくてもそんな長期契約なかなかないと思う…なぜそんな規制が必要なの?と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
実はこの契約期間と選手獲得に使えるお金非常に密接に関係しているんです。
これの内容を理解するためには、まずヨーロッパサッカーの財務上のルールFFP減価償却費について理解する必要があります。

皆様はFFPという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
FFPはファイナンシャルフェアプレーの略語で、簡単に言うとチケット代やスポンサー料などのクラブ収益を超えたお金を使って選手を獲得してはいけませんよ。というヨーロッパのサッカークラブの財政に関するルールです。
これに違反して大きな赤字になってまで選手を獲得するクラブにはチャンピオンズリーグなどのヨーロッパの大きな大会に出る資格をはく奪したり、選手登録を制限したりなどペナルティが課せられます


こういった基準を設けることで、赤字を度外視して選手の補強を行って最終的に財務状況が悪くなり経営難に陥るクラブが出てこないように是正しようという話です。

マンチェスターシティのFFP違反

このFFPに違反してペナルティを食らっているクラブは実際にあります。
一番有名なのはマリノスのスポンサーシティフットボールグループでおなじみ、プレミアリーグのマンチェスターシティですね。
マンチェスターシティはアラブ首長国連邦のグループ会社に2008年に買収されており、そのオーナーのポケットマネーで選手を獲得したとして、2020年から2年間の欧州カップ戦出場禁止処分の判決を受けますが、スポーツ仲裁裁判所の決定により撤回されて罰金だけですむという事件がありました。
しかし、2023の2月にプレミアリーグが調査の結果2009年から9年間にわたって、100件の違反があったと発表していまだにもめにもめている状況です。
※わかりやすく解説してくれている動画と記事の紹介

要するに、チケット代やグッズ代、スポンサー収益という自分たちが胸を張って使えるお金にプラスして、クラブの経営権を持っている石油王のおこずかいも使って選手を獲得した結果、収益より選手獲得の支出の方が大きくなった(FFP違反した)のに、それを虚偽の申告で隠蔽していたという話ですね。
この話はずっと議論されていていつになったら終息するのかわからない長いトンネルの中にいる状態です。

チェルシーの選手爆買い

一方マンチェスターシティと同じように、オーナーに石油王をもち高価な選手を爆買いしているのにFFPの違反になっていないクラブがあります。
それがシティと同じプレミアリーグのクラブチェルシーです。
チェルシーが2022-2023シーズンに夏と冬の移籍市場で選手補強に費やした金額は何と6億ポンド日本円で1100億円です。
前年度21-22シーズンの収益4億8130万ポンド約777億円だったことを考えると、収益を大幅に上回っての補強といって差し支えないと思います。


しかし、チェルシーはFFP違反で罰せられることはありません。
その理由は減価償却費という制度にあります。

減価償却費

減価償却とはサッカーの財務用語ではなく一般的な財務に関する用語で、税金の計算等で使う制度です。
詳しい話をし始めると長くなってしまうので、要点だけかいつまんで説明すると、「時間が経つことによって劣化したり性能が落ちたりして価値が減っていく資産を一定の割合で分割して費用にしてもいいよ」という制度です。
例を挙げます
会社の経費耐久年数13年の車を500万円購入するとします。
減価償却をつかえば、この時に実際に支払った金額は500万でも、その年に使った経費としては500万を耐久年数の13年で割った金額として扱うことができます
なので、このケースでは税務申告の際に、経費で年間500万ではなく13年の間毎年39万5千の経費として申告できます。

そしてこの減価償却はFFPのルールにも適用されます。
それを上手く利用したのがチェルシーなんです。
スポーツ選手には耐久年数は存在しないので、この場合は契約年数ごとに獲得費用を割り算することになります。
チェルシーはこれを逆手に取り、選手とあえて長期契約を結ぶことで、年間の支出を少なく抑えてFFP違反にならないようにしたのです。
例えば今年の冬、ウクライナ代表FWムドリクを約139億円の8年契約で獲得しました。
サッカーの契約年数は基本的に2,3年長くても5年程度ですが、減価償却で書類上の支出を少なくするために8年という長期契約を結んでいます。

といった感じで選手を長期契約で爆買いした結果、冒頭の記事の内容のルール変更が行われ、最長でも5年までしか減価償却できないようになったという話です。
私は冒頭に
今までは選手との契約期間に制限は設けていなかったけど、これからは実質最長5年までの契約しかしてはいけません。
と書きましたが厳密には契約してはいけないわけではないのですが、仮に5年以上契約しても減価償却の範囲外になるよ、ということです。
他のクラブからしたらこんなのずるですよね…笑
昨今プレミアリーグを中心にオイルマネーによる選手の売買の影響で、サッカー選手の市場価値が暴騰しているため、手を変え品を変えビジネス戦争が行われており、非常に興味深いなと思ってみています笑

少し話はそれてしまいますが、Jリーグもリーグのレベルを上げるためにはこのマネーゲームに参加できるくらいの財力を各クラブが獲得する必要があると個人的に思います。
Jリーグという小さなガラパゴスの中だけでは、やはり成長に限度があります。
もっと外資を受け入れやすいルール改定を行って、Jリーグからメガクラブが出てくるくらいにならないと、今後衰退の一途をたどってしまうのではないかと筆者は危惧しています。

まとめ

読んでいただきありがとうございました!
今回の内容をまとめると

  • FFPはヨーロッパサッカーの財務ルールで強化費>収益になってはいけない

  • チェルシーは減価償却を使ってFFPに引っかからないように選手を爆買い

  • UEFAは対策として選手との契約年数を5年までしかカウントできないようにルール変更した

しかし最近の移籍金は本当に天文学的な数値になって実感が全くわきませんね…笑
これを書いていて、マリノスの財務状況と今後の経営についても少し話したいなぁと思いました。
最近何かと、ユニが売切れたり、グッズが高かったり、広告宣伝が全然されていなかったりとサポの不満が募っている部分があると思うのですが、個人的にマリノスがかなり財政的に厳しいのではないかなと思ってます。
また、色々情報をまとめて書きたいと思います!
それではまた!

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