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西伊豆古道を歩く〜安良里ー宇久須編〜

2022年7月7日。西伊豆プロジェクトのKAMO'n houseに顔を出す。丁度、伊豆半島一周する古道の通り道であり、今日のスタート地点からとても近い。

前回の道はこちら↓

今日は黄金崎トンネルがなかった時代、安良里ー宇久須をつなぐ唯一の道・不来坂(こじがさか)を調査する。越すに越せない不来坂。一度歩くと「もう来るか」となる坂だとTwitter経由で教えてもらった。

インターネット検索で出てくる情報はわずかお一人のブログのみ。道順を詳しく解説されてはないし、10年前の記事なので現状はわからない。いよいよインターネット検索だけでは情報を拾えなくなってきた。

黄金崎トンネル手前の宝市場から峠道に入っていく。明治19年の測量図と国土地理院地図を合わせた地図を持っているので方角はわかる。はじめは舗装道路があるのでわかりやすい。Y字路になったら左の道を歩く。

今年もセミの大合唱が始まった。やがて舗装道路は切れ、目の前は砂防。道を見失ってしまった。明治の測量図とは違う方向だけど、Uターンするように上る道が見えたので歩く。害獣対策の大きな罠が仕掛けてあった。

先ほどより大きい砂防が現れた。方角的には砂防を超えていくしかない。木組みの階段が見えたので上ることにした。

砂防を越えて歩くも、方角はやはりおかしい。事前情報通り、やはり比較的整備されているという宇久須方面から上る方が道はわかりやすいのか。深追いせずに一旦、振り出しに戻ることにした。

戻ると砂防の前に一台の軽トラックが停まっていた。丁度、一人の男性が車から出てきて、私の姿を見つけると驚いた様子で声をかけてくれた。

「この山を越えてきたのか」

猟友会の帽子を被った男性に、不来坂を歩きたかったけど引き返してきた事を伝えると、不来坂の入り口まで案内してくれた。

ここ数日、安良里の山でツキノワグマの目撃情報が連日あったという。半年前には宇久須でもツキノワグマが捕獲されてるそうで、今日は様子を見に山にやってきたそうだ。

案内されたのは行き止まりだと思った、はじめの砂防の前だった。

「方角的にはあのタル(2つのピークの間のくぼんだ場所)を目指すといい。」そう教えてくれた方角は、明治の道とも整合している。

他にも山歩きのコツや装備品についてアドバイスをいただいた。感謝!

谷止めした砂防が三段階ある。流石の夏だ、シダが覆い茂って道は見えない。タルを目指して上るしかない。

砂防の右側を上っていくと、横幅の広いガレ場となった道が現れた。

沢沿いに歩いてると近距離で複数の獣の威嚇にあう。驚いた私は自分でも聞いたことないような唸り声を発した。草影にいるのか、どこにいるかわからない。見つけた。アナグマの群れだ。通常、アナグマは人を見かけると逃げ出すと聞いている。必死だったから気づけなかったけど、きっと子供達も一緒にいたのかもしれない。

ツキノワグマの話も聞いていたので、とにかく怖くて。しばらく対峙したけど、逃げなかったので精一杯威嚇をした。

ボブスレーのコースのような3-4mくらいのハーフパイプのような道。ジグザグと稜線目指して上っていく。一区間はロープが張られていた。急峻な道なので非常にありがたい。

時折、道が激しく崩れている箇所もあり一瞬迷うこともあるんだけど、GPS見ながら、道がそれないように歩く。日陰であり、ふかふかの落葉樹の道なので身体への負担は少ない。

松の倒木が転がってる所まで来たら頂上に到着。後で聞いた話によると、その昔、不来坂には二本松があり、終戦の日に倒れたという逸話があるそう。

切り株地帯のぽっかり空いたスペースでひとやすみ。ここまでの絵があまりにも地味なのでセルフで撮影してみる。人がいた方が見ていて楽しいと意見いただいてるし、自然のサイズ感などがわかりやすい。

折り返し地点。宇久須への下り坂、見通しの良い杉林だ。

時折吹いてくる風が心地よい。

杉の隙間から海が見える。対岸の集落も見えて来た。

谷沿いに左側を下りていくと洞窟があった。気のせいか獣の匂いがする。銅の試掘跡だそう。二箇所の試掘跡を見つけた。

道を見失いかけたので、谷を下って沢の右側を歩く。大きく崩れた形跡あり。この土砂崩れで道がなくなっていたようだ。

真っ直ぐ下りていくと広いスペースに出る。下界の文明の音が聞こえてきた。

やがて広い舗装道路になるのだけど、途中から一段下の細い舗装道路に下りるのが不来坂古道だ。この道は良く整備されている。役所の人が持つ畑が多いことから

国道に出たら芝の交差点を渡り宇久須港方面へ。

目の前の細道が古道。一番手前のお家の屋号は「あらりみち」、突き当たりのお家は「じぞうまえ」というように集落は皆、屋号で呼び合っていた。突き当たりを右折するのが往還と呼ばれた古道だ。

伊豆峯次第の173番目のチェックポイント・出崎神社は東海工業内の奥にある。

再び、往還を通る。

旧道に合流するが、まもなくY字路になるので左の道を往く。石碑が目標だ。

一本目の筋を右折。174番目のチェックポイント牛越神社で本日のゴール。

その後はTwitterで紹介いただいた宇久須の古道に詳しいカネジョウさんに会い、宇久須の古道を案内していただく。



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