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1.「150ヘクタール買収」は本当か?

結論から言いますと
「文章ちゃんと読めないの?日本語大丈夫?」
一部の方々が誤解されているようです。


ファクトチェック

「はじめに」で紹介した山口亮子さんの記事の冒頭の一文です。

外国資本の農地取得について、日本には特段の規制がない。政府は今年中に農地取得の一層の規制緩和を計画しており、農業現場では既に、外資の参入による変化が起きつつある。たとえば、中国(香港)法人の出資が49%を占めるある法人は、150ヘクタールを目標に農地の買収を進めているが、地元住民と地下水をめぐるトラブルが発生。法人設立に協力した地元農協とは関係が決裂した。

現代新書「外資の農地取得が進む過疎地でトラブル発生!」/ 山口亮子
https://gendai.media/articles/-/96104

この150ヘクタールという面積は、あくまでE社が目指している目標面積なのですが、Twitterの検索窓で「西条 150ヘクタール」で検索すると、多くの方が「すでに150ヘクタール買収されてしまった!」という捉え方をしてしまっているようです。もちろん、「買収されそうだ」と文脈を理解されている方もいます。
前出の農林水産省の表を見ていただくと

筆者作成

平成30年~令和3年までの間に、把握できる範囲で、西条市で取得された農地の面積は18.3ヘクタールになります。
愛媛県議会の唯一、この問題について発言をしている参政党あさぬま和子議員も第381回(令和4年12月)定例会において、一部計算は違いますが「17.9ヘクタール」と述べています。
令和4年も買い続けられていると思うので、現在は多少増えていると思いますが、150ヘクタールも既に買収されているという情報は誤解です。

Google mapsを用いて筆者作成

Google mapsで、おそらく土地造成されているだろう範囲を囲ってみましたが、面積もだいたい同じくらいでした。

土地買収の今後と現実的な解決策について

「でも150ヘクタールを目標にしているから、いずれは全部買われるのでは…」という心配もあります。
元々E社がこの西条市に農園を拓くにあたって、JA東予園芸という農協が後押ししていた時期がありました。農地を取得する面で地権者の協力を得やすかったのもそのおかげかも知れませんが、JAとの関係が破綻してしまった今後、果たして大規模に拡張できるかどうか疑問に思えます。

個人的には、今後は交渉がなかなか進まなくなり西条という土地での規模拡大をあきらめる気がします。
E社の頭文字のEは「EHIME」ですから、西条の農園面積はこの程度におさめ、県内の他の自治体で農地を探すかもしれません。実際、宮崎県のグループ会社は複数の農園に分かれています。
受粉・収穫などの繁忙期に大勢のスタッフが必要なため人口の多い中予や、東予よりも農家の高齢化が著しく耕作放棄地が増え続けるであろう南予。ひょっとすると、他県が誘致してきてそちらに乗り換えるかもしれません。

キウイフルーツかいよう病対策に、遠方の土地を探すべき

それに農地が分かれている方がいいのはもう一つ理由があります。
2014年、西条市のキウイフルーツ産地で、キウイフルーツかいよう病という病気が発生し、周辺のキウイ農地に伝播してしまいました。
その結果、多くの農家が丹精込めて長年育ててきたキウイの木を、根本から切って焼却処分しなければならない事態になりました。
もし、E社が西条市丹原町の地に150ヘクタールのキウイ果樹園を密集して作った場合、万が一キウイフルーツかいよう病が発生したら、150ヘクタール全てがオシャカになる危険性があります。
ですので、丹原町長野のようにひとつの集落には現在の20ヘクタール程度の果樹園にとどめて、県内や県外の別の複数の市町村に農園を分散させて所有し、万が一の場合の保険になるのではと考えます。

本来なら、日本人が農地を集約して効率化すべき問題

もし、我々日本人が外国法人傘下に土地を売りたくないというのであれば、地元の農家とくに若手が共同で大規模法人化しE社同様に農地の集約・団地化をして、高齢地権者がどうせ譲るなら日本人の子・孫らに…となるよう環境を変えなければいけません。そのためにも行政の支援は必要だと考えます。