わたしの好きな人は機械人間らしいよ

今日は本業後、
懲りずにまたレストランに働きに行った。
飲食の仕事は2回目だけど、
あそこならたぶん大丈夫だ。
過去記事参照

更衣室に入ると、
おばちゃんタイミー3人がハイテンションで話していた。
ここは洗い場の募集もあるけれど、
彼女達もわたしと同じ制服を着ているのでホールスタッフのようだ。
さすが飲食の仕事に来るおばちゃん、
工場や倉庫のおばちゃんよりも声がでかくて強そうだ。こえええええええええええ。

あの人達と同じポジションだったらちょっとやだな…。


わたしは絶対あの輪には入れない。
タイミーじゃなかったら間違いなく苛められている。
やばい感じがする。怖い。

わたしの不安は的中し、
やっぱりあのおばちゃん達と同じフロアで働くことになっていた。
若い女の子達もいたけれど、
今日は彼女達と同じポジションではなく、
おばちゃんの方に振られてしまった。ショック。

パワフルなおばちゃん達は、
ホールに着いてもずっと大声でおしゃべりしている。
バイトの女の子にタメ口を聞いているし、
クセのありそうな厨房のおばちゃんとも仲が良さそうなので本当によく来る人達なのだろう。

やばい、めっちゃアウェー。



おばちゃん達は社員らしきおじさんに、
「今日はみんな20代じゃないから嫌なんでしょ〜!」
と絡み出し、
おじさんは「今日のタイミーはすごいな…」
と圧倒されていた。
わたしもその中に入っているかと思うと悲しい。
やっぱりおばちゃんなのか。
ここ女子大生みたいな女の子いっぱいいるもんな。

しかしおばちゃん達は見事に人見知りを発揮しているわたしにも「初めてですか?」と聞いてくれて、
業務以外にも裏に飲み物を持ち込んでも良いことや、
スタッフ用の階段があることも教えてくれた。
タイミーで他にどこに行っているのかも聞かれて、
好きな人のいる工場の話になった。
工場はここから2駅だから、
おばちゃんもやっぱり行ったことがあるみたいだ。
おばちゃんはあの工場ではずっと同じ作業をしているのが辛いみたいで、

「あそこ機械人間でしょ!」
「絶対ここの方が良いよ!」


と言われた。

そうかわたしの好きな人は機械人間だったのか。
わからなくもない。
だから挨拶すらさせてくれないのか。納得。

彼女もわたしの好きな人のいるポジションで働いたことがあるみたいだったけれど、
「あそこの背の低い男の子カッコよくないですか?」とはとても言えなかった。

ここの仕事は団体客の宴会の手伝いだ。
だから知っている人も来ないし、
食べ飲み放題だから言われたものを持って行くだけなのでお金の計算もしなくていい。
しかもドリンクはスタッフの男の子が作ってくれる。
だから普通の居酒屋やファミレスより楽だと思う。
宴会が始まると、
言われた飲み物を持って行ったり、
空の食器やグラスを下げる。
とても忙しいけれど、

ドリンクを作るおそらく大学生の男の子が、

いつもカッコよく見えてしまうのはなぜだろうか。


宴会が忙しいとき、
今日のお客さんは「戦場ですね」と引いていたけれど、
そんなときにあの男の子達に、
「レモンサワー2つお願いします!」とか言って、
「はい」ってグラスを渡してくる瞬間がめちゃくちゃカッコいいのだ。

この前のいかにも夜型って感じの不健康そうな眼鏡の男の子も優しくてカッコよかったけれど、
今日は野田クリスタルみたいな髪型の男の子がいて、
長髪好きのわたしはちょっとキュンとしていた。
今日はバカリズムみたいな男の子もいて、
昔好きだった人はバカリズムに似ていたので、
ちょっと思い出してしまったり。

しかしここには金髪の女子大生が何人もいる。
わたしの女子大生時代には、
絶対に周りにいなかったタイプの人達だ。
わたしより細くて華奢な可愛い女の子は、
バカリズムみたいな男の子の腕を普通に掴んで、
脈を取るような仕草をしていた。
もしかしたら看護学生なのかもしれない。

若い子の世界ってすげえ。


おばちゃんは男の腕なんてとても触れない。
たぶん今までの人生で触ったこともない。
もしかしたら触ることなく死ぬのかもしれない。

だからいつもカッコいいなって見るだけ。目の保養。
優しくしてもらえるだけでありがたい。感謝。
わたしももっと若かったらなぁ。
でもどう見てもわたしこういうところで働くタイプじゃないんだよな。
今日も「普段は事務の仕事してます」っておばちゃんに言ったら、
「ぽいわ〜!」って言われるような地味な女なのだ。
もしわたしがあそこでビールを運んでいるのを知っている人に見られたら、
あまりの似合わなさに笑われそうな気がする。

ここは夜に来たらまたあのおばちゃん軍団に会ってしまいそうだけど、
何度か会って苛められなければ大丈夫だろう。

夏はビアガーデンもやっていて、
そっちに回されることもあるらしい。
バイトで日焼けしたくないな…。
でも毎年ビアガーデンに行きたいと言いながら、
結局行かずに夏が終わるのがここ10年くらい続いているので、
若い頃みたいに黙っていても誰かがビアガーデンに連れてってくれるのなんかもう期待しないで、

いっそわたしがビアガーデンで働いてしまうのもありかもと今年は思っている。



労働は全てを救うのだ。
わたしをビアガーデンに誘うような稀有な男はきっと今年もこれからもずっと現れない。
おそらくそんな男は地球上に存在しない。
期待を捨てて働けばお金になる。
働けばわたしは推しに会いに行けるのだ。