SF映画のインターフェース No.2
2000年代になると21世紀への渇望なのか、映画において映像的なイノベーションを期待されるようになりました。あらゆるクリエイターが様々なSF表現にチャレンジすることによって、映画=SFというくらい、あらゆるVFXを活用したSF表現が映画中に自然に溶け込むようになりました。
■2000年
2000年初頭、ブライアン・シンガーによる『X-MEN(2000)』を皮切りにマーベル・コミックを原作としてテーマパークのような映画表現の到来を予感させました。その予想が当たるよう、いまでもコミックを原作としたヒーロー像の実現のために様々なテーマのVFX表現が生まれています。映画自体は残念ながら酷評気味でしたが、インターフェースの演出としては、劇中終盤の会議シーンにおいて表現されたサンドテーブルはアメリカ陸軍でも研究され、その発想は現実的な有用性を説いています。
また国内ではAR砂遊びとして、『SAND PARTY!(PLACEHOLDER, INC.)』などが開発されております。この流れは、映画→軍事→民間といった着想の流れを感じさせ、SF映画から得られるインスピレーションにおいて理想的な流れを感じさせます。(実際、着想を得たのかわかりませんが、、、)
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■2002年**
20世紀におけるSF映画の代表格になった『ブレードランナー』『トータル・リコール』の原作を生み出したSF作家御三家の一人、フィリップ・K・ディックは21世紀に入っても、その発想においてハリウッド映画に大きく影響を与えました。フィリップ・K・ディック作品のひとつでもあり、スティーブン・スピルバーグの『マイノリティ・レポート(2002)』では、犯罪予知をする「プリコグ・スクラバー」というシステムが劇中に現れます。ジェスチャーでインターフェースを操作するという、SF映画でもっとも有名なインターフェース演出となり、今現在も映画やインターフェースの発想に大きな影響を与えております。
プリコグ = プリ(あらかじめ)コグニティブ(認知) = 予知
スクラバー = 洗浄
という名が示す通り、現代で言うデータ・クレンジグにも似た所作を、トム・クルーズがジェスチャーでダイナミックに処理して行く様子は誰もが憧れたと思います。MIT Media Labにおける空間コンピューティングのパイオニアであり、現在はオブロング・インダストリーに所属するジョン・アンダーコフラー(John Underkoffler)の研究がハリウッドの目に止まり、プリコグ・スクラバーのような情熱的なインターフェースが生み出されることになります。
X-MENでの例のように映画を源泉としたアイディアでは無く、現実に存在していた研究を源泉としたアイデアを映画側が目を付けて活用したという、稀有な例となりました。
2020年を目前とする現在、xRデバイス、空間インタラクションなどの隆盛によって現実が映画に追いついてきました。まさに『現実は小説より奇なり』を象徴する時代になり、マイノリティ・レポートのように現実の研究がSF映画に影響をあたえるような出来事が起きるのかもしれません。
そんな情熱的なアイディアやインスピレーションの源泉をアーカイブするために『UI karma.』として活動しております。ご興味ある方は是非フォローしてください。
では、また。
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