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パティシエの美意識

自分自身と周りの環境を整えること。乱れた環境や装いでは絶対に美しいものは提供できません。断言できます。人の口に入るものを私たちは扱います。ここで紹介することを怠っているようでは到底プロフェッショナルにはなれないでしょう。


爪を処理している

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人の体の先端は注目が集まりやすいと言います。その中でも頻繁に動かす手指。料理をしたり、食事したり、日常生活でも当然私たちは手指を使います。すると必然的に指先、爪に目がいきます。
放置された爪が不衛生であることは言うまでもありません。爪の長さが0.5mmの場合と3.0mmの場合とでは、細菌の数が243倍も多いそうです。
そして相手への思いやりや配慮にかけると思うのです。自分だけならまだしも誰かを傷つけてしまうから。自分勝手でわがままとも私は取れます。
何より整っていない長い爪は不潔な印象を持ち不快に感じるのです。私も初対面の人と会う際、自然と指を見てしまいます。爪の処理を怠ってはいけませんし、侮ってはいけません。

床屋に行っている

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髪の毛が長いとか短いの話ではありません。きちんと手入れし整っていることが大切なのです。清潔感です。人の印象は顔ではなく髪型で決まると確信しています。パーマや金髪でも整っていれば何の問題もありません。
髪の毛がボサボサだったり寝癖がついていたり、この場で言うまでもないのですが、まだまだ見られます。スタイリッシュに仕事をしたいのです。ボサボサで寝癖のついた料理人やパティシエがキレイな皿を生み出せるはずがありません。
過去一緒に働いてきた先輩や仲間を振り返ると、仕事に積極的で前向き人は必ず髪型を整えていました。

コックコートを着こなしている

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2018年、ポール・ボキューズの葬儀で、有名シェフ達がコックコートを着て出席したシーンは記憶に新しいと思います。コックコートは料理人、パティシエにとって正装なのです。
サイズ感はジャストを選びます。シャープに決まって見え、且つ動きやすいからです。ピチピチでは動きにくく思うようなパフォーマンスはできません。オーバーサイズではだらしなく見えます。
これは意外かもしれませが、コックコートの袖をまくって作業してはダメです。厨房は常に危険と隣り合わせ。火や高温の油、熱湯など、肌が露出していると腕に火傷を負う恐れがあります。本来袖を伸ばしたまま着用するのが基本です。しかし、私は肘までしっかりまくって仕込みをしています。それは動きやすさのを重視しているからです。袖を伸ばしていると窮屈で仕方なく仕事に支障が出ます。必要に応じて袖は伸ばして作業しています。
そしてパンツは裾の長さに注意しましょう。裾が長いとやはりだらしなく信用がありません。短すぎる裾は、なんだか間抜けな印象です。そしてやはり肌(足首)の露出は極力控えましょう。裾が靴の踵に乗っかるぐらいを意識します。
コックコートをキレイに着こなしている人のお皿はセンスを感じます。

常にダスターが畳まれている

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デザートを盛り付ける際、パーツを垂直に配置し立体的に盛り付けようと日頃パティシエスタッフに伝えています。立体感が出て造形的で美しいからです。そして表情も生まれやすい。しかしダスターにおいて立体感はいりません、造形的であってはなりません、表情も必要ありません。キレイに角を出して平に畳みます。ダスターの乱れは心の乱れ。いかなる場合もキレイに整えておく必要があります。汚れ乱れたダスターで作業を続けていると確実に周囲へ雑な印象を与えます。最も手元においておかなくてはならない調理器具です。常に気を配っています。

体をシャープに保てている

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レストランの醍醐味はライブ感。目の前にいるゲストへ、1分1秒でも早く瞬時に料理やデザートを提供しなくてはならない。ゲストを待たせるわけにはいかないのです。私がデザートの提供で最も意識していること、それはスピード。デザートを美味しく作ることや美しく盛り付けることは大前提で当たり前のことなのです。他のレストランパティシエが圧倒するようなスピードでデザートを提供しています。
このスピード感を持って業務をこなす要因の一つに、適度な筋力量を備えていることが挙げられます。パワーと瞬発力は必要不可欠です。
パティシエの仕事は体育会系の気質があると言われます。これは事実。大きな声で挨拶をしたり、一日中立ち仕事であったりと、体力が必要な業務内容であることが多いからです。
私自身、腹筋ローラーだけに絞り毎日続けています。種類を手広くやると長く続かない性格であると自覚があるからです。
そして何より自身の容姿に気を配ることを忘れてはいけません。


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先日ランチ営業の終わり際、ラウンジを通ると食後のお茶をしていたゲストから声をかけられました。コックコートの私を見るなりサッと立ち上がり
”お料理とてもおいしかったです。日頃の嫌なこと全て忘れました、ありがとうございました”
この言葉が全てです。私たちのレストランでは料理やデザート、サービスを手段に、幸せを届け、社会へ貢献することを目指しています。
こうして嬉しい言葉をくださるゲストを裏切ることはできません。裏切るとはここで紹介したことを徹底できないこと。難しいことは言っていません。少しの意識です。全てクリアしてスタートラインに立てるのです。

ありがとうございました。


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