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[IWJ日米地位協定スペシャルNo.4]日本全土が戦場に 在日米軍はまず逃げる!? 米軍「統合エアシーバトル」全容判明~岩上安身によるインタビュー 第295回 ゲスト伊波洋一元宜野湾市長

(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 2013年4月2日(火)14時より、沖縄県にて、元宜野湾市長の伊波洋一氏のインタビューが行われた。IWJ日米地位協定スペシャルNo.4として、沖縄県民の米軍基地問題やオスプレイ配備に対する民意とその変化、また、米軍の動向からみた基地移設の真意について、岩上安身が聞いた。さらに、「日本全域がバトルゾーン(戦場)になる」という、統合エアシーバトル構想についても取り上げた。伊波氏は、在日米軍が機能せず、日本全域が戦場となることについて、警鐘を鳴らした。

■イントロ動画

 伊波氏は、2010年11月27日、沖縄県知事選に出馬し惜敗、現在は講演活動で全国を回るなど、多忙な日々を送っている。岩上は「辺野古は、鳩山政権の冒険の敗北だった。普天間基地の移設は最低でも県外、と言いながら、内外からの圧力に屈して元通りとなり、鳩山首相は辞任に至った。今の安倍政権は、より積極的に辺野古移設を進めるだろう」と述べ、伊波氏に、鳩山政権敗北後の沖縄基地問題の進展について尋ねた。

 伊波氏は、はじめに「沖縄県民に、大きな意識の変化が見られる。2009年、自民党から民主党への政権交代で、鳩山首相の掲げた米軍基地の県外移設で盛り上がった。2010年、辺野古のある名護市長選挙では、基地移設反対派の稲嶺進市長が、移設推進派だった島袋吉和氏を破り、当選する。仲井眞弘多知事は、当初、辺野古への移設容認を変えなかったが、自民党沖縄県連も、民意を考慮して辺野古移設反対に変わり、仲井眞弘多知事も反対を言い出した」と振り返った。

 続けて、「今年1月27日、沖縄県全41市長村の首長、議長(代理を含む)が参加する、前代未聞のオスプレイ反対集会が、東京で行なわれた。そこでの政府への建白書の提出など、基地問題、オスプレイ配備に対する沖縄県民の意識は、まとまっている。政府は、元島袋市長や建設協会などの推進派をたきつけたり、名護市漁協が1人1500万円の補償を受け入れた、とメディアへ喧伝するなど、反対派の民意をかき消すシナリオをぶつけてくる。そういうわけで、大和(日本)政府と、沖縄県民の意識の溝が広がりつつある」と述べた。

 さらに、「日本政府は、沖縄の側に立って米軍と対峙してくれるのではなくて、アメリカ側と一緒になって沖縄をいじめてくる。今回、オスプレイの低空飛行訓練が明らかになったのは、環境レビューを出してきたからで、それはアメリカ政府の義務・規則だからだ。沖縄では、伊江島だけで1万回以上の米軍の飛行訓練があり、その半分は夜間に行なわれる。環境レビューの中では、普天間は危険だ、規定違反だと指摘されているが、日本ではまともに報道されない」と、伊波氏は思いの丈を吐き出すように語った。

 「アメリカ国務省は国益優先、国防総省は命を扱うので、規則やルールが優先だ。アメリカ連邦議会は、規則やルール、規定作りを軍に指示する。なぜなら、長期的な国益からみれば、他国への短絡的な環境破壊や人権侵害は、アメリカにとってデメリットの方が大きい、と考えているからだ。その相克にあって、日本も堂々と主権を主張すれば、米軍基地を排除できると思う」と述べ、次のようなエピソードを紹介した。「2011年4月、米連邦議会のレビン、ウェッブ両上院議員が、辺野古に視察に来た。帰国後、ウェッブ、レビンと、元大統領候補のマケインの3名が、『辺野古移設は困難。日本にとっても震災復興があって負担が大きい。海兵隊の家族は、経費のかからないハワイや本国に移せ』と提案した。のちに、日本の超党派議員が渡米した際、レビン氏にその本意を訊くと、『辺野古の海はきれいすぎる。基地など作れるか。信念をもって予算をつけるのが自分たち政治家の義務なのだから、これは認められない』と答えたという。このように、アメリカだって一枚岩ではない」。

 伊波氏が「アメリカの空襲と原爆以外、日本は他国から侵略されたことがなかったが、沖縄では陸上戦で12万人の住民が殺され、戦後は土地を没収された。まさに侵略されている気持ちだ。沖縄の人たちは、アメリカ軍に守ってもらっているとは思っていない。沖縄住民の感覚や意識は、本土とはまったく乖離している。1989年、ソ連崩壊で冷戦が終わり、世界中の米軍基地は縮小し始めた。ところが、日本では増えている。なぜなら、米軍に思いやり予算を払っているからだ」と指摘した。岩上が「フィリピンは、米軍を追い出した。すると、中国が南沙諸島に横やりを入れ始めた」と言い、話題は中国との関係、日中米の現状に移った。

 伊波氏は…

※この記事はIWJウェブサイトにも掲載しています。
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