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2019年夏カザフスタン・キルギス旅行~ビシュケク→オシュ移動編~

〇乗り合い車での移動(14時間!!)

 トレッキングを楽しんだ(前回記事)翌日は、一日かけてキルギス南部のオシュへ移動することとした。乗り合い車での移動は朝早くから夜までかかるもので、限られた旅程の丸1日を移動に費やすのはどうかと思ったが、一日かけて移動する価値のあるほど素晴らしい旅程だった。

〇まずは客引きから

 朝早く、宿から歩いて6時台にはバスターミナルへ着く。オシュバザールからでも乗れるようだが、バスターミナルで車を探した方が確実に乗れる(現地人談)。客引きがすごい勢いだが、強い意志を持って「オシュ!!」と目的地を叫べば「ならばあっちだ」と車のいるところを教えてくれる。

 車は1台いくらと決まっているため、同乗者がいればいるほど一人当たりの運賃が安くなる。1台分の運賃を払えば一人でも運んでくれるが、そこまで金を持っていないので、ドライバーが客引きして満員になるのを待つ。車はホンダのフィットであった。

 バスターミナル付近では捕まらず、市内の別所でドライバーが必死に営業し、3人の客を連れてきて満席となり出発する。私も客引きを手伝おうと思ったが、ドライバーに2リットルペットボトルのコーラを渡され、車で待っていると言われたのでおとなしくしていた。

〇壮観な山岳道路

 ビシュケク市内を出ると、ほどなくして峠道へ入っていく。切り立った崖、美しい渓谷に囲まれながらかっとばす。標高はかなりあるようだ。大型トラックの走行も多い。ビシュケクとオシュをつなぐ道路はここしかなく、事故が起こったり、冬に雪崩が起こって通行止めになると、物流が止まって大変らしい。

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※山岳道路

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※ユルタがところどころにある

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※標高はかなりありそうだ

 峠の最高地点でトイレ休憩をとる。気さくで色々気を遣ってくれ、少し英語が話せるドライバーは、「ブラザー!写真撮ってやるよ」と記念写真を撮ってくれる。

〇遊牧風景

 峠を下り始めてすぐ、羊の集団に出くわす。集団は道路を我が物顔で歩いており、車は羊が通るのを待っている。

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※羊集団

 峠をしばらく下ると、遠く山に囲まれた広い草原をずっと走る。ユルタが点在し、沢が流れ、羊がのんびり歩いている。この風景を見ただけで、この移動方法を選んでよかったと心から感じた。

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※平原

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※馬もいる

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※壮観である

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※斜面にも羊の群れがいる

 平原が終わると、樹木のたくさん生えた山の間を走る。途中、警察の取り締まりもやっていた。

 昼頃、山道の中の古びた食堂で昼食をとる。ロシア語のメニューを、ドライバーとお客さんで英語を使いながら説明してくれる。

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※昼食をとった店

 私は鶏肉のような塊肉を焼いたものに玉ねぎが付けあわされたものを頼んだ。平べったいパンとチャイは好きなだけ食べていいようだ。周りを見ると皆、肉もパンも手でちぎって豪快に食べている。日本ではこんな豪快にたくさんの肉を食べる機会はない。ドライバーと同乗客にごちそうになってしまった。

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※肉

 外には、巣ごと入ったハチミツが売られており、私は少し買った。日本に帰ってから食べてみると、巣は噛んでも口の中に残り、ハチミツは若干の刺激のある味で、濾過されたものとはまた違う味わいだった。

〇キルギス南部へ差し掛かる

 どこを走っているのかよくわからない状況だったが、高度を下げ徐々に気温が上がってきた。途中、美しい湖がいくつか見えた。絶えず壮観な風景で飽きない。

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※湖

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※穏やかな平原

 途中、ウズベキスタンとの国境の側を走る。柵の向こう側がウズベキスタンだそうだ。

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※ウズベクとの国境

 キルギス南部へ来ると、風景は異なってきて、山は見えなくなり、畑が多くなってくる。砂地で気温が高く乾燥しているような印象である。ビシュケク付近の山岳地帯とはまた違った風景である。

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※畑が多くなってくる

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※畑

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※乾燥した土地

 途中、建設の際に日本も支援したという橋を通った。こんなところで日本の痕跡を見るとは思わなかった。

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※日本を感じられる橋

〇乗り換え@ジャララバード

 私以外の乗客は、途中の集落で降りていった。私のみになってしばらく走ると、ジャララバードという街に着いた。夕方になっていた。売店に入ると、ドライバーが「なんでも買ってやる、日本へのギフトをオレが買ってやるよ!」と言い、私のための飲み物や、日本に持って帰れといってドライフルーツや乳製品を発酵させた丸い塩気の強いお菓子を買ってくれた。これ以外にも、道中ドライバーは私に色々気を遣ってくれた。本当に感謝している。

 ここで、ここまで走ってくれたドライバーはジャララバードで泊まり、ジャララバードからオシュまでいく別の車に乗り換えていくこととなった。引継ぎは極めてスムーズに行われ、運賃も次のドライバーに引き継いでくれた。次の車はエスティマだった。

〇いよいよオシュへ

 エスティマにはキルギス人の他、19歳のウズベク少女二人組が乗っていて、少し英語が話せるようだった。ウズベク人はキルギス人とまた違った顔つきで、彫が深めで整った顔をしていて美人である。少女二人ともスラリと背が高く、小顔で美人だった。

 あっという間に日が暮れ、景色が見えなくなる。ところどころで乗客を降ろしていき、オシュ市内へ入る。ドライバーは追加料金なしに私を目当てのゲストハウスまで連れて行ってくれた。着いたのは夜10時くらいだったと記憶している。

 いくら安いとはいえ1日移動でつぶすのはもったいないのではないかと思っていたが、全くそんなことはなく、むしろ1日かけて体験すべきくらいの価値のある移動だった。お互いに「ブラザー」と呼び合う仲になったドライバーは、安全に運んでくれただけでなく、とても楽しい交流ができた。移動だけではあったが、忘れられない1日であった。

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