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【体験記】パーソナルカラー診断はコーディネートの役に立つのか?

自分の似合う色を発見するパーソナルカラー診断。

ネットで検索すると「パーソナルカラー診断は意味がある説」と「パーソナルカラー診断なんてまったく意味がない説」に出会います。

実際どうなのでしょうか?

先日パーソナルカラー診断を受けてきましたので、自分なりの学びをまとめたいと思います!

結論

まず学びの結論です。

・パーソナルカラー診断を行うことで、「自分に似合う色」「似合わない色」が明確に分かる。これによりパーソナルカラーという補助線を用いて洋服選びを行うことが可能になる。その点で大きな意味がある。

・パーソナルカラーは自分の顔に色を当ててみて初めて判定できる。ネットでよく書かれている肌の色から推定する調査は全く意味をなさない。

・診断時の環境条件が非常に限定的である。そのため診断結果がそのまま適応できるのは「単色のTシャツ」を着るケースのみ。実際のコーディネートは複数のアイテムを組み合わせた複雑な条件下にあるので、パーソナルカラーを汎用的に妄信できない。あくまで補助線的な使い方に留まる。

・髪型、髪の色、目の色、眉の色、年齢老化、といった前提条件の変数が変わると診断結果が変わってしまう。また似合う色の個人差は小さい事が分かっており、日本人であれば「だいたい似たような色が似合う」という結論に落ち着く。

・診断を受けるメリットは自分に似合う色、似合わない色をセルフ診断できる審美眼を持てるようになる点にある。自分なりにコーディネートの中でどんな色が似合うのか自己評価できるようになる。

です。

約8000円を支払ってパーソナルカラーを受けましたが、「受けてよかった」と感じています。

それでは詳細を述べていきましょう!

どんなことをやるのか?

白いエプロンを被り座ります。そして自分の上半身に様々な色の布を当てていきます。一緒に鏡を見ながら何の色が似合うか見ていきます。

そして色に対するアドバイスを頂けます。

そう。これだけです!とてもシンプルですね。

診断の様子は以下の画像が参考になります。

画像1

画像引用元:clotteal

何が分かるのか?

「赤色より黄色が似合うね」という単調な判定は行われません。

「赤色の中で、どんな赤色が似合うのか?」という点を判定してもらえるのです。

赤色の中にも、ブルー寄りの赤、イエロー寄りの赤、薄いトーンの赤、位トーンの赤があるのです。

実際に布を当ててみると「薄いトーンのブルー寄りの赤は似合うけど、暗いイエロー寄りの赤は似合わない」といったことが明確に分かります。

このような作業を繰り返していく事で、どんな色が似合うのかという事を把握することができます。

意外ですが、似合う色、似合わない色が明確に分かります。(※これは個人差があるらしく、明確に分かりづらい人もいるようです)

画像2

画像引用元:Mu:Design

ネット診断は役に立たない

私は過去に一度ネットでパーソナルカラーを自分で調べたことがありました。自分の肌の色から判定する方法です。

しかしこの方法は誤りで、肌の色から判定する方法は全く役に立ちません。

なぜならパーソナルカラーは肌の色だけで決まるものではないからです。髪型、髪の色、目の色、眉の色、年齢、老化度合い、顔立ちから決まります。

そのためパーソナルカラー診断をする際は実際に色の布を当てることが必須です。

逆に言えば、髪の毛をブリーチしたらパーソナルカラーも変わってしまうので、再診断が必要だと言えます。

前提条件に注意が必要

私はパーソナルカラー診断は汎用的に妄信できるものではないと考えます。

なぜなら上述した通り、髪型や髪の色、年齢が変われば診断結果が大きく変わってしまうからです。

パーソナルカラー診断を理論として活用するためには、診断時における前提条件(環境条件)に注意を向ける必要があります。

診断時の前提条件が非常に限定的なのです。

診断時は上半身に単色の布を当てるだけです。

同じ条件に直面するシーンと言えば、単色のTシャツを着る時くらいしかありません。

これは滅多にないシーンです。実際のコーディネートはもっと複雑です。複数のアイテムを組み合わせ、アクセサリーを付け、全体のバランスやシルエットを考慮しなければなりません。

つまり「限定的な条件下で診断した『自分に似合う色』を身に着けること」なんかよりも、「コーディネートのアイテムの中で色のバランスを整える」ことの方が遥かに重要であるという事実に頷くでしょう。

限定的な条件下で診断した『自分に似合う色』が薄いピンクだからと言って、何でも間でもピンクを混ぜればよい訳ではないのです。

そう言う意味では、パーソナルカラーを妄信することよりも、コーディネート内の色のバランスを整えMB理論の「モノトーン+1色」を守った方が、おしゃれには有効です。

髪型、髪の色、目の色、眉の色、年齢老化、といった前提条件の変数が変わると診断結果が変わってしまう点からも、パーソナルカラーの扱いには注意が必要です。

参考:MB理論「モノトーン+1色」

パーソナルカラーは補助線として利用できる

では、パーソナルカラーは無駄なのか?

私は意味があると考えます。

なぜなら、特定の限定的な条件下であったとしても、似合う色、似合わない色が存在したからです。実際に目で分かるほど明確に区別できました。そのような色が存在する事実は間違いないと思います。

つまり色の影響は何らか受けるのです。全くの無駄ではないのです。

ただ、コーディネートに占める割合は小さいでしょう。「モノトーン+1色」を考えることの方が比重が大きいです。

そのためパーソナルカラーはコーディネートを考える補助線として利用するのが適切だと思いました。

例えばシャツの色を選ぶときに、パーソナルカラーを補助線として利用できるでしょう。

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審美眼を得られる

限定的な条件下でしか適応できないパーソナルカラー診断は一見すると使い物になりません。

しかし「パーソナルカラーを調べる方法を学ぶ」「審美眼を持てる」という点に立てば、非常に大きな意義があると思います。

自分の髪型が変わったとき、条件が変わったときに「どんな色が似合うのだろうか?どんな色が似合わないのだろうか?」とセルフ診断ができるようになるのです。

このような審美眼を獲得するために8000円支払うのであればよい買い物体験だったように思います。やはり色彩学を学んでいる方からの色のフィードバックは参考になる点が多いです。

余談:パーソナルカラー無意味論の理由

ところで「パーソナルカラー診断無意味論」は良く聞く話だと思います。

なぜなのか。調べてみると納得に値する理由があることに気づきます。

まず1つ目に、「この人はイエローベースしか似合わない」「この人はブルーベースだ」と明確にカテゴライズすることができない。そこに統計的差異が見られない。ということが知られているからです。*1

したがって「私はSpringな色しか似合わないのだ」と考えてしまうのは全くの誤りなのです。あくまで補助線として利用するのに効果的なだけで、妄信できるものではありません。

2つ目に、前述したように髪型、髪の色、目の色、眉の色、年齢老化、といった前提条件に左右される背景から、「多くの人で似合う色が共通する」という点です。*1

多くの日本人は髪が黒で、目が黒色です。似合う色はおおむね一緒です。ある人に似合う色が別の人で極端に似合わないということは滅多にないのです。

多くの人に似合うと呼ばれる色はどんな色なのか?を調べると、「ダークトーンや彩度の低い、地味な色」が似合うという結論に至ることで知られています。

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画像引用元:パーソナルカラーの印象評価

上の図ですと分かりにくいので、多くの人に似合う色を端的に説明すると、MBさんの定義する図におおむね等しくなります。

以下の図のように「原色から遠く離れるほど似合いやすい」と言い換えることができます。

いや、凄いですねMB理論…笑

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もちろん「個人差がない」という訳ではありません。

実際にパーソナルカラーの結果は、髪質や髪の色に大きく左右されることも知られています。*2

個人差はあるのです。

以上より、Spring、Summerなどのタイプで明確に分かれることなどないし、多くの日本人に似合う色はだいたい似通るので、「無意味」などと言われてしまうのかなと思いました。(また、診断の前提条件も限定的ですしね)

したがって、妄信しようとすれば無意味。補助線として利用するなら有意義なのではないか。というのが自分なりの見解です。

補助線としては参考になると思うので、一度パーソナルカラー診断を受けてみてはいかがでしょうか?

参考文献

*1:パーソナルカラーの印象評価

*2:髪質とパーソナルカラー診断結果の因果関係の検証、およびヘアカラーの際の色の再現性における髪質の違いの重要性

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