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私にできることは何か。生まれ育った阿久根を知る6日間【インターンシップ体験記#5】

下園薩男商店のインターンシップ

下園薩男商店ではインターンシップを受け入れています。
下園薩男商店は、丸干しを中心とする加工工場と直営店のイワシビル、山猫瓶詰研究所がありますが、希望に合わせて、工場、直営店だけでなく、弊社の拠点である阿久根の魅力に触れられる内容もあります。

今回は、阿久根出身の鹿児島短期大学の学生さんに、2024年6月14日から20日までのインターンシップを通して、インターン生の視点から見えた下園薩男商店と阿久根について体験記を綴っていただきました。


インターンシップ体験記

はじめに

青く澄んだ海に真っ赤な夕日。進学で阿久根を出るまでの18年間、生まれ育った阿久根が私は大好きである。

短大の2年生となり、就職活動が始まった。自分のやりたいことってなんだろう。何から始めればいいのかも分からない就活の中で考えた。地域貢献につながる仕事ができないだろうか。

阿久根に住んでいて感じていた危機感があった。近くの小学校がなくなり、前はあったお店もいつの間にかなくなっている。大学に入ってからも出身を聞かれて答えても、ちゃんと知っている人は少ない。

大好きな阿久根のために自分にできることはないだろうか。

そこで阿久根の企業である下園薩男商店にインターンを申し込んだ。地域にあるものに一手間加え、商品や新しい事業を生み出している下園薩男商店から学ぶことで、地域貢献につなが ることを知ることができるのではと考えた。

1日目

人見知りの私にとってどきどきのインターンが始まった。1日目のはじめは下園社長が阿久根のまちを案内してくださった。馴染みのある阿久根のまちだったが、案内していただいているとき思った。

こんなにおしゃれなお店あったっけ。

地元だからある程度は知っていると思っていたため驚いた。港町珈琲焙煎所、お宿ととと、ともまち珈琲、港の直売所ハーベスト。何もないと思っていた阿久根に、つい覗いてみたくなるような魅力的なお店がたくさんある。周囲におすすめしたい場所がたくさんあり、阿久根市民としてなんだか嬉しくなった。

お昼は、海沿いにある、ともまち珈琲でカレーをごちそうになった。大好きな阿久根のきれいな海を見ながら食べる本格的なスパイスカレーは、本当においしくて、緊張した気持ちをじんわりと落ち着かせてくれた。

ともまち珈琲のスパイスカレー

午後からは、阿久根の地域おこし協力隊が開催した大石酒造のワークショップに参加させていただいた。大石酒造は明治32年創業の老舗の蒸留所である。はじめに蔵の中を案内しながら焼酎ができるまでを説明してくださった。

説明していただいている中、私は焼酎を作る際に使われる釜の大きさにとても驚いた。人が入ったらはしごがなければ出られないほど大きい。それほど大きな釜に入った発酵中の液体をかき混ぜるというので、ものすごい体力が必要だ。さらに、二酸化炭素が発生する仕込みの段階があり、危険を伴うという。ここでは説明しきれないが、多くの工程を踏み、丁寧に手間ひまかけて作っていることを間近で見て知ることができた。とても貴重な経験となった。

説明後は焼酎の試飲ができたが、私は残念ながら未成年で飲むことができなかったため、匂いだけ嗅いでみた。驚くことに、原材料だけでなく、製造方法でも匂いが違うことが分かり、おもしろい体験だった。20歳になったらぜひとも飲んでみたい。普段は知ることのできない焼酎について学べるワークショップだったので、ぜひ多くの方に参加してもらいたいと思った。

2日目

朝8時前。港の朝の市場を見学した。魚の匂いとたくさんのトロ箱。トロ箱の中のイワシはつやつやで新鮮さが伝わってきた。朝一番に獲れるイワシはおなかに何も入っていないため、苦みがなくおいしいという。8時から競りが行われ、魚の状態や大きさ、漁獲量を見ながら価格を決める。よりよい商品のために選ばれる魚や急速冷蔵する様子に、ここから商品づくりが始まっているんだと実感した。初めて見た水揚げの様子は圧巻だった。

朝の市場のイワシ

市場の見学のあとは、湯田工場でイワシの加工体験を行った。マイワシ、カタクチイワシ、 ウルメイワシの見分け方を教えてもらい、手作業で目抜きを行う。単純作業だが、だんだんと肩と腰が痛くなってきて、ハードさに驚いた。さらに、あっという間に刺していく周りのスピードがすごい。自分の作業が遅くて、どんどん追加されていく魚に目が回った。手間ひまかけて商品ができていることを実際に作業してみたことで実感できた。家に帰った私は、家族に「3種類のイワシの違い分かる?」と違いについて、つい語ってしまった。

3日目

3日目はイワシビルでのインターンだった。ホテルの清掃、ベッドメイキングから始まる。ホテル内は、隠れ家のような小さなドアやリメイクされた家具、壁に描かれた阿久根のイラ ストなど、遊び心のある素敵なデザインだった。

お昼前はイワシビルの名物たい焼きづくりを体験した。熱された型の傍はとても暑く、焦がさないように様子を見ながらのたい焼きづくりは難しかったが、とても楽しい体験だった。たい焼きは羽根つきで大きく、生地はもちもちでたっぷりの手作りあんこが入っている。 実際にたい焼きの生地作りやあんこ作りをさせていただいたことで、こだわって作っていることを知ることができ、休憩時間に食べたたい焼きはとてもおいしかった。

お土産ショップでの作業では、様々な商品が並ぶ棚を整理しながら、阿久根はこれも特産なんだと新たな発見がたくさんあった。この日は海外からの観光客が多かったが、気軽に店員さんに質問するお客様と、笑顔で気さくに商品の説明をしている店員さんの姿を見て、ここはつい立ち寄りたくなる素敵なショップだなと感じた。

4日目

この日は海沿いにある道の駅でのインターンだった。まずは、フィッシュアンドチップス のお店、TRITONでの体験。材料の仕込みから始まり、レジやハンバーガーづくりをさせていただいた。からっと揚げられていくイワシやタカエビ。どれもすごくおいしそうだったが、一番驚いたのは期間限定のこぼれしらすバーガーだ。あふれそうなほど乗せられるしらすと揚げたてのチキン。見たお客様からも「おー!」と声が上がり、私は作りながらよだれが出そうだった。嬉しそうに商品を受け取るお客様を見て、私も嬉しくなった。

TRITON のタカエビアンドチップス

午後からは道の駅内での作業。商品を丁寧に並べたり、賞味期限の確認をしたりする。棚には、阿久根の特産品が立ち並び、絶え間なく訪れるお客様がじっくりと商品を見ながら、手に取っていた。商品を並べるだけでも、お客様に手に取ってもらうための工夫が見えた。

5日目

この日もイワシビルでの作業。今回は、2階にある工場できびなごの袋詰め作業と商品のシール貼りを行った。工場内は、魚を焼き上げるためじんわりした暑さと魚の匂いがした。少しずつきびなごを手に取り、異物が入っていないか、商品にできる状態かを手作業で確認し、重さを量っていく。単純作業に加え、立ち作業。かなり大変だった。シール貼りも手作業。この体験から、商品が消費者に届くまでにたくさんの人の手間と思いが込められている ことを知り、商品の価値について改めて考えることができた。

6日目

インターン最終日は、地域おこし協力隊の方々と交流する機会をいただいた。地域貢献に興味がある私にとって、とても貴重な時間だった。地域おこし協力隊の方々は、自分がしたいことを芯に持ち、チャレンジを恐れない姿勢で物事に取り組んでおり、とても尊敬した。お話しする中で、自分のこれまでの経験から、こうすれば地域貢献につなげられるのではないかなど、たくさんのアドバイスをくださった。

将来、具体的に何がしたいか決まっていない私は、アドバイスをいただいたことで、地域おこしの仕方は人それぞれであり、自分のしてきたことが役に立つかもしれないと少し自信がついた。就職活動としてだけでなく、将来においてもとても有意義な時間となった。

港町珈琲焙煎所のパスタ

おわりに

私はこのインターンを通して、様々な働き方や生き方があることを知ることができた。 様々な人と出会い、多様な価値観に触れ、自分の視野が広がったインターンで、関わった方々は自分のやりたいことをした結果が阿久根というまちにあるものと結び付いてまちおこしにつながっていた。今の時点で、地域貢献がしたいという曖昧な考えのままである。なぜ地域貢献がしたいのか、自分がどうしたいのか常に考え、様々なことに挑戦する気持ちを大切にしたいと思う。やっていくなかで得られることがあるだろう。自分がしたいことに対し、どれだけの思いで取り組むか、このインターンで学んだことや成長できたことをこれからの人生に生かしていきたい。

また、このインターンで、私は阿久根の魅力を再発見した。住み慣れたまちだと思っていたが、新しい発見がたくさんあり、より阿久根を好きになれた。阿久根にはこんなにいいところがあるんだとたくさんの人に知ってもらいたい。

今回、快くインターンを受け入れてくださった下園社長、さまざまな体験で関わってくださっ た方々、アドバイスをくださった多くの方々に感謝したい。今回関わった様々な方との出会いを大切にし、学んだことを糧により良い生き方を模索していきたいと思う。


そのほかのインターンシップ体験記は以下のマガジンからご覧いただけます。

下園薩男商店のインターンシップ

下園薩男商店では関心を持ってくれた方にいつでも問い合わせ・エントリーができるようになっています。
応募いただいた方のやりたい事と、下園薩男商店で依頼できることを話し合いながら進めていきます。

たとえば…

  • 学生だけど1日だけアルバイトしたい!

  • 学校やサークル等でする商品開発をインターンの形で一緒にやってもらいたい!

  • 大学1年から下園薩男商店のことを知り、広報活動をアルバイトでやってみたい!

短期から長期まで、いろんな方との出会いを楽しみたいと思っています。
さまざまなお問合せをお待ちしております。

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下園薩男商店の採用サイトは下記からご覧いただけます。

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