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実務で活かす『経理学校出身』の強み【 講師を担当しました 】

 お久しぶりです。書こう、書こうと思いつつもズルズルと12月になってしまいました。習慣化の大切さを実感している今日この頃です(元気です!)。

 さて、今回は先日担当させていただいた講義のお話と振り返りを記したいと思います。11月~12月にかけて、県内の経理専門学校の学生に向けて特別講座の講師を務めてきました。

 来年4月から社会人になる学生が対象。また、就職先は会計事務所や会計・経理の知識を期待されて一般企業へ入社するとのことです。社会人になる前に知っておきたい実務を…という依頼でしたので、所得税実務の中で「年末調整」をテーマにしました。

■ 授業の概要

 年末調整というと11月・12月の作業というイメージかもしれませんが、年末調整に関わる実務は年間通じて存在します。毎月の給与計算・所得税の源泉徴収は、年末調整への準備作業ともいえます。また、扶養情報等を記載する扶養控除等申告書は「その年の最初に給与の支払を受ける日の前日」までに提出する資料ですから、新入社員であれば、入社早々自分の情報を会社に伝えなければいけません。

講義レジュメより抜粋

 ただでさえ緊張する入社時に、ドカッと「書いてね~」の契約書やら申込書やら税務書類やらが渡される。「えぇ……」となるよりも、そこに備えて「スタートダッシュしようぜ!」ということで、給与計算や年末調整に関する実践講義を行いました。取り組んだ概要は以下のとおり。

⑴ 年末調整とは?
⑵【ワーク①】給与明細を作ってみよう
⑶ 年末調整のスケジュール
⑷ 扶養控除等申告書とは?
⑸ 保険料控除等申告書とは?
⑹ 基礎控除等申告書とは?
⑺【ワーク②】自分の資料を作ってみよう
⑻【ワーク③】例題で色々なケースの資料を作ってみよう
⑼ 最近の実務について(DX化、電子化など)

喋るの半分、手を動かすのも半分。
1つ1つの実務を問題形式で習得しました。

 この学校は、授業で「所得税法」を学んでいるため、年末調整の趣旨や制度説明は簡単に済ませ、とにかく実践!実践!実践!


■ 伝えたかったこと=「自信」をもつこと

 私は以前、経理専門学校で非常勤講師をしていました。社会人向けの資格学校を通算すれば講師経験は10年以上です。そこで出会った教え子が社会に出てまずぶつかる壁が「学んだことが活かせない」ということでした。実務経験ゼロでも「〇〇君は経理学校出身だから詳しいよね」と過度に期待されたり、学んだとおりに処理をすれば「学習上はそうでも、実務はこうだよ」と指摘されたり。

 専門職の場合、資格を取得するための「実習」が用意されているケースが多いですが、会計・経理の世界ではそういった機会がなかなかありません。

 社会人1年目、実務経験で差がないのは当たり前。しかし、採用企業は専門学校卒業を人柄だけでなく「会計の基礎力」も個性の1つとして見ています。私自身も教え子を当事務所に採用していますので、それは決して過大評価ではないと言えます。そして、基礎力というのは即戦力とは違う、縁の下の力持ちのような存在であると理解しています。

 今回の学生は、そんな教え子や当社若手社員の後輩たち。実務を説明しながらも、実務を行う上で「学習で身に付けたもの」をどう活かせるか。そのヒントをなるべく多く伝えたいという思いで授業を進めました。

■ 専門職は「一言」で差がつく

 偉そうなことは言えないのですが、私が専門家として意識していることは相手に有益な情報を提供したいということです。情報そのものの有益性はもちろん、しっかり納得してもらえるよう伝えることも重視しています。そのためには、自分自身が情報をしっかり基礎から熟知していなければいけません。

 経理専門学校で高めた「会計の基礎力」を1つの個性として生かすのであれば、年末調整の説明をする際に、形式的な書類の説明をするだけではもったいない。例えば、

・毎月の給与計算(源泉徴収制度)と繋げて、年間の流れを説明しよう。
・確定申告との関係を説明しよう。
・税制の変遷を絡めて説明すれば、控除の趣旨が分かりやすいね。
・ふるさと納税制度も併せて説明すればいいかもね!

 と、こんな感じで。全体の繋がりを見る力や、制度の趣旨・背景を見る力は、基礎をしっかり学んだ人にこそ使えるものです。まずはその土台があること。そして、最も重要なことは今後、意識して使わないと伸びない力であることを伝えました。

隙あらば板書を加えて例え話(という名の脱線)
※まだ黒板がきれいな序盤です
上の黒板の内容(講義レジュメより抜粋)

 最終日はどんどんアツくなり、終了チャイムが鳴る中、ロスタイム1分で未来の後輩たちへ長友選手の「ブラボー!」のごとくゲキを飛ばして終えました 笑。


■ おわりに

 学生への授業でも、当然有益な情報を提供したいと思っています。社会を経験していない彼らにとって、著名人でもなんでもない外部講師の言葉がその場で響くことはなかなかないでしょう。それでも、潜在的にいつかどこかで響くかもしれない。そう思って想いを連呼していますが、結果、私自身も前向きになります。

 さて次回は高校生に対しての租税教室を担当します。18歳成人となり、ますます税を身近に感じてほしい世代。グループワークで税制を議論形式で行う予定なので、高校生の発想がまた楽しみです。

#私の仕事 #税理士 #租税教室 #専門学校  

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