伝える準備 - 正しく、カラフルに、届ける【 #読書の秋 】
■ はじめに
今回はこちらの本を読みました。
日本テレビの藤井アナウンサーの本です。
How-to本ではなく、藤井さんが各テーマに対して語りかけてくれるような構成になっています。
過去の経験談や仕事に関するポリシーなどを、相槌を打ちながら聞いていたら「あ、もう時間ですね」という感覚で、あっという間に「おわりに」のページでした。
テレビでは温厚で優しそうというイメージでしたが、本書を読むと、真面目さに圧倒されます。真面目というのはガリ勉とか固いとかネガティブな意味ではないですよ。責任感があり、仕事に向かう姿勢が本気であるということです。
私も仕事に本気であるというポリシーを伝わる人でありたい。では、どんな準備をしているか。その準備で十分か。自分自身に置き換えて考える機会になりました。
本書の感想として、仕事に対する「丁寧さ」と「準備することで得られるもの」について書きたいと思います。
■ 責任があるからこそ丁寧
日々全国ネットの生放送を担当しているということは、とてつもない責任です。そんな藤井さんは「言葉の力」や「伝える力」を信じながらも、同時にその脅威性について記しています。
藤井さんに感じた真面目さは、頭で考えるだけで済まさずに、常々「書くこと」にこだわっている点です。例えば後輩へアドバイスするために、まず自分が思いつく言葉をノートに記すそうです。仕事で感じたものをリストアップし、その言葉をどう表現すれば、相手に届くか。
念入りな準備というよりも、丁寧な準備だなぁと感じました。良い仕事をしようという目的ではなく、相手に届けようという目的だからこそ、自然に行われている。1つの仕事に終わりがあっても、届けたいものに終わりはない。だからこそ、何事も「書き留めておく」という丁寧さが相手に届くのだろうと思いました。
■ 言葉を蓄える
本書の半分は藤井さんの「日記を書く習慣」について触れられています。
その時の出来事と自身の心情を残しておく。これだけでも財産になりますが、言葉を扱う人間として「見出し」や「言葉のチョイス」を磨いているそうです。その日を残し、表現を鍛え、蓄える。
本書の中にも引用した箇所のように、表現の1つ1つに、こだわりが詰まっています。
■ 昔の自分と出会う
これも日記を書くことで得られるものの1つです。藤井さんは手書きかつ修正の効かないペンで書くことにこだわっており、形式が全く違いますが、私もnoteを2年半前から書いています。本書を読んで、私も2年前に書いたnoteを振り返りました。
この投稿は、社会人1年目の自分にエールを送るという企画のもの。その中に「発信する税理士になりたい」というフレーズが出てきます。書いた日から2年半たち、僅かですが「発信する税理士」と紹介されるようになりました。昔の自分に会い、歩みを振り返ることが、前へ進む力になります。
■ おわりに
本書で印象的だった点の1つは、書き出しの文章です。
このたった11文字に、私は見事につかまれました。
読み終わった後、もう一度この一行目を読むと「なるほど」と種明かしされた気分になります。なぜこの本を書かれたのか。それはSNS等で人々が傷つき合っている今、「伝える」ことをもう少し丁寧に考えてみてほしいという願いかもしれません。放つ言葉の責任は、アナウンサーだけでなく、皆が抱えているものです。
「人生・誤解・戦い」の3つからイメージできることは、正しく届けるための習慣的な準備。所々に入るカラフルな表現とともに、本書の思いが、私に届きました。
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